新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 287
  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105747

作品紹介・あらすじ

慶応三年十月十三日、京は二条城の大広間で、十五代将軍徳川慶喜は大政を奉還すると表明した。ここに幕府の三百年近い政権は幕を閉じた。-時勢はこの後、坂を転げるように維新にたどりつく。しかし竜馬はそれを見とどけることもなく、歴史の扉を未来へ押しあけたまま、流星のように…。巻末に「あとがき集」を収む。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。武力倒幕一本の薩長に対し、複雑な立場の土佐藩側から竜馬の発案した「大政奉還」を実現するべく奔走する土佐の面々。薩摩、長州そして岩倉具視を説得した中岡慎太郎はさらに陸援隊を結成して浪士救済と同時に兵力増強を図る。

    しかし長崎で英国船イカルス号の水兵殺害事件が起こり海援隊に容疑が掛かる事件が勃発、英国公使と幕府の船が土佐へ乗り込んでくる前に、竜馬も急ぎ土佐へ。このあたり、少し前に再読したアーネスト・サトウの日記にも詳しかったけれど、実は海援隊は全くの冤罪でとんだとばっちり。大政奉還の大仕事前に足を引っ張られた竜馬は大変気の毒。竜馬不在のあいだは後藤象二郎のターン。近藤勇とのエピソードなども。

    それにしても司馬さんが上手いなあ、と思うのは、この終盤になってようやく、しかしラストシーンではなく何てことない場面(越前福井藩に三岡八郎=のちの由利公正に会いに出かけるくだり)で、さらりとタイトル「竜馬がゆく」を織り込んでくるところ。激情家のイメージの強い志士たちの中で、坂本竜馬という肩の力の抜けた風変りな人物でありながら、大仕事を成し遂げた男の凄味みたいなものを同時に表現していて素晴らしい。

    改めて読み直すと、思っていた以上に娯楽小説で、史実より物語としての面白さ重視であることに気づかされた。あまりにも面白くて(あまりにも竜馬が魅力的すぎて)これが本当の歴史だと誤解してしまうほどに。しかしいわゆる司馬史観というのはそういう創作部分を指すのではなく、たとえば幕末と比較して昭和の戦争の愚かさに憤ったりする、そういう余談の部分だと個人的には思っているので、要は読むほうの読解力の問題。面白い歴史小説を読んで歴史に興味を持つ、小説の役割はそれでいいと思う。

  • 8巻を1ヶ月ちょっとで読み切りました。
    数年前に大河ドラマ「龍馬伝」を見ていたので
    基本的に登場人物はその時の雰囲気で頭に思い描いていました。
    しっくりくるような来ないような。
    饅頭屋は大泉洋だったと思うので見た目と一番ギャップが
    あったように感じましたかね。

    昔氷川清話という勝海舟の語った話をまとめた本を
    読んだのですが、その時は坂本竜馬はあまり出てこず
    西郷南州がとにかく凄かったみたいな語り口だったので
    実際のところ途中で暗殺されたが故に竜馬は実際以上に
    持ち上げられたのではなど色々考えていたのですが
    この長編物語を読む限り坂本竜馬は幕末で唯一無二の存在ですね。
    幕府だ藩だと小さい議論しかしていなかった人々の中で
    一人日本という国のことを考えてずっと行動し続けていた
    というところに素直に感動しました。
    また、よく竜馬が心の中で語る言葉に勝ち過ぎは良くない
    というのがあり、議論などで相手を完膚なきまでに叩き伏せることを
    ついついしがちですがそんなことをしても建設的ではない
    というようなニュアンスでした。
    常に大局を見て結論を出そうとする人柄がよく現れていると感じました。

    物語の終盤はいつ殺されるかこちらがヒヤヒヤしながら
    読んでいたのですが、江戸時代を終わらせるための
    仕事はやり切った上で暗殺されていたのだなと改めて思いました。

  • ☆は5つ!

    最終巻だというのに、作者はどうにも土佐びいきのようで甚だ平等感に欠ける。竜馬本人以外のことはもうここまで来たらどうでもいいような気がするのに。司馬遼先生、一生懸命に取材旅行などするうちに土皿鉢料のファンにでもなってしまったのだろうか。気になるので今度『・・・街道を行く』シリーズに探りを入れてみよう。『土佐街道を行く』って有ったかなぁ。ま、いっか。

    さて司馬遼『竜馬がゆく』。思えばなんとも宴会場面の多い小説であった。剣を交えて戦っているより、お酒を飲んで宴を張っている場面の方が圧倒的に多かった。
    聞けば作家という生業は偉くなると出版社の編集長や担当編集者達と銀座界隈で宴会をするのがその習性になると言うが、司馬遼先生もそおであったのだろうな。いやこれは坂本竜馬とは直接関係はないがこの小説のキモであると思ってしまったのでつい書いた。すまぬ。

    しかし、竜馬最後の場面を描く最終の何枚かは、心が打ち震えるものがある。やはり名作である。

  • 遂に大政奉還が成った。薩摩や長州が倒幕戦をしようとしている中で、竜馬だけが無血革命の方針を打ち立て、成功させた。大政奉還が成された後、慶喜の心中を思い、「この公のためには一命を捨てん」と言ったその言葉が竜馬らしいと思った。対立していた相手のことを理解するなんてなかなかできることではない。
    また、ここまで事を成し遂げ、維新後の構想を明確に持っていたのは竜馬ぐらいだったにもかかわらず、第一線からは退き、政治には参加せず、世界の海援隊をやると言った竜馬の生き方はやっぱりかっこいい。ただ、これから自分の好きなことがやれるというときに暗殺されたのが残念でならない。

  • ついに読了。
    明治維新の中核をなす施策の大半が竜馬のアイデアから生まれており、その何割かはまさに彼の提案したそのまま実行されたということを本シリーズを読んで初めて知りました。
    そこまで偉大な業績なのに教科書には殆ど書かれていないのは何故だろうと考えると、彼の活躍は一部の仲間内では伝説的に知られていたものの、歴史の表舞台に出ることは望まず、また担ぎ出される前に不幸な死を遂げてしまったことも一因ではないかと思います。
    仮定の話をしても仕方がないのは分かっているものの、暗殺などされずに世界を舞台に活躍していたら、誇張ではなく今とは全く違う世の中になっていたかもしれないと思えば残念で仕方がない。

  • もしかしたら、この巻は無くても良いのかもしれない。
    竜馬の集大成なのだけど、でもどちらかというと、もう竜馬のやるべきことは全部終わっていて、あとは事が成るのを見ているだけな気もする。
    この世から去る前から、竜馬はすでに去っていた。

  • 竜馬の人柄と器の大きさ、そして思考力のすごさに圧倒されて全編通しておもしろかった。こんなにもひとを隔てなく、そして決して奢らず、万物をみているのがすごい。今の日本があるのも竜馬のおかげだなと思った。

  • 第1巻を買ったのが1997年。それから2、3冊読んでは挫折し、しばらく経ってからまた1巻から読み直し、また挫折する。そんなこんなで読破するのに20年以上もかかってしまった。でも、読破するだけの価値のある作品だった。

    1回しか読まないのはもったいないし、またいつか読み返そう、読み返すべきとは思ってるけど、通読するのには相当の覚悟が必要だろうなぁ。他に読みたい本もいっぱいあるし。

  • 色んな坂本龍馬の本を読んで来たけど、
    やっぱこの小説のラストが一番好きです。

  • ぶれない生き方やね

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著者プロフィール

1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語学科卒業後、産経新聞社に入社。59年「梟の城」で直木賞受賞。独自の史観を駆使し、戦後の歴史小説に新風を吹き込んだ。代表作は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶがごとく』など。93年に文化勲章を受章。96年に72歳で死去。

「2008年 『豊臣家の人々 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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