- Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105747
作品紹介・あらすじ
慶応三年十月十三日、京は二条城の大広間で、十五代将軍徳川慶喜は大政を奉還すると表明した。ここに幕府の三百年近い政権は幕を閉じた。-時勢はこの後、坂を転げるように維新にたどりつく。しかし竜馬はそれを見とどけることもなく、歴史の扉を未来へ押しあけたまま、流星のように…。巻末に「あとがき集」を収む。
感想・レビュー・書評
-
再読。武力倒幕一本の薩長に対し、複雑な立場の土佐藩側から竜馬の発案した「大政奉還」を実現するべく奔走する土佐の面々。薩摩、長州そして岩倉具視を説得した中岡慎太郎はさらに陸援隊を結成して浪士救済と同時に兵力増強を図る。
しかし長崎で英国船イカルス号の水兵殺害事件が起こり海援隊に容疑が掛かる事件が勃発、英国公使と幕府の船が土佐へ乗り込んでくる前に、竜馬も急ぎ土佐へ。このあたり、少し前に再読したアーネスト・サトウの日記にも詳しかったけれど、実は海援隊は全くの冤罪でとんだとばっちり。大政奉還の大仕事前に足を引っ張られた竜馬は大変気の毒。竜馬不在のあいだは後藤象二郎のターン。近藤勇とのエピソードなども。
それにしても司馬さんが上手いなあ、と思うのは、この終盤になってようやく、しかしラストシーンではなく何てことない場面(越前福井藩に三岡八郎=のちの由利公正に会いに出かけるくだり)で、さらりとタイトル「竜馬がゆく」を織り込んでくるところ。激情家のイメージの強い志士たちの中で、坂本竜馬という肩の力の抜けた風変りな人物でありながら、大仕事を成し遂げた男の凄味みたいなものを同時に表現していて素晴らしい。
改めて読み直すと、思っていた以上に娯楽小説で、史実より物語としての面白さ重視であることに気づかされた。あまりにも面白くて(あまりにも竜馬が魅力的すぎて)これが本当の歴史だと誤解してしまうほどに。しかしいわゆる司馬史観というのはそういう創作部分を指すのではなく、たとえば幕末と比較して昭和の戦争の愚かさに憤ったりする、そういう余談の部分だと個人的には思っているので、要は読むほうの読解力の問題。面白い歴史小説を読んで歴史に興味を持つ、小説の役割はそれでいいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆は5つ!
最終巻だというのに、作者はどうにも土佐びいきのようで甚だ平等感に欠ける。竜馬本人以外のことはもうここまで来たらどうでもいいような気がするのに。司馬遼先生、一生懸命に取材旅行などするうちに土皿鉢料のファンにでもなってしまったのだろうか。気になるので今度『・・・街道を行く』シリーズに探りを入れてみよう。『土佐街道を行く』って有ったかなぁ。ま、いっか。
さて司馬遼『竜馬がゆく』。思えばなんとも宴会場面の多い小説であった。剣を交えて戦っているより、お酒を飲んで宴を張っている場面の方が圧倒的に多かった。
聞けば作家という生業は偉くなると出版社の編集長や担当編集者達と銀座界隈で宴会をするのがその習性になると言うが、司馬遼先生もそおであったのだろうな。いやこれは坂本竜馬とは直接関係はないがこの小説のキモであると思ってしまったのでつい書いた。すまぬ。
しかし、竜馬最後の場面を描く最終の何枚かは、心が打ち震えるものがある。やはり名作である。 -
遂に大政奉還が成った。薩摩や長州が倒幕戦をしようとしている中で、竜馬だけが無血革命の方針を打ち立て、成功させた。大政奉還が成された後、慶喜の心中を思い、「この公のためには一命を捨てん」と言ったその言葉が竜馬らしいと思った。対立していた相手のことを理解するなんてなかなかできることではない。
また、ここまで事を成し遂げ、維新後の構想を明確に持っていたのは竜馬ぐらいだったにもかかわらず、第一線からは退き、政治には参加せず、世界の海援隊をやると言った竜馬の生き方はやっぱりかっこいい。ただ、これから自分の好きなことがやれるというときに暗殺されたのが残念でならない。 -
とうとう竜馬が死んでしまった…
最後の描写があまりに切なく、哀しい。 -
いよいよ最終巻。討幕運動は大団円を迎え、もちろん竜馬は最後、その生涯を閉ざすことになるわけです。竜馬の最期を知っていながら読んでいると、大政奉還がなるのか命が尽きるのか、運命と競争しているような生き様に魅せつけられました。すごい人物でした。
-
遂に完結。分かっている最後だけど、生きて世界に乗り出して欲しかったものだ。名作!
-
ついに読了。
明治維新の中核をなす施策の大半が竜馬のアイデアから生まれており、その何割かはまさに彼の提案したそのまま実行されたということを本シリーズを読んで初めて知りました。
そこまで偉大な業績なのに教科書には殆ど書かれていないのは何故だろうと考えると、彼の活躍は一部の仲間内では伝説的に知られていたものの、歴史の表舞台に出ることは望まず、また担ぎ出される前に不幸な死を遂げてしまったことも一因ではないかと思います。
仮定の話をしても仕方がないのは分かっているものの、暗殺などされずに世界を舞台に活躍していたら、誇張ではなく今とは全く違う世の中になっていたかもしれないと思えば残念で仕方がない。 -
もしかしたら、この巻は無くても良いのかもしれない。
竜馬の集大成なのだけど、でもどちらかというと、もう竜馬のやるべきことは全部終わっていて、あとは事が成るのを見ているだけな気もする。
この世から去る前から、竜馬はすでに去っていた。
著者プロフィール
新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)のその他の作品
司馬遼太郎の作品






外部サイトの商品情報・レビュー
新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫)を本棚に登録しているひと
-
- dfootjapan
- 2019年12月8日に登録
-
- a123a
- 2019年12月2日に登録
-
- nhashi74
- 2019年6月23日に登録
-
- nakameka
- 2019年3月18日に登録
-
- kike
- 2019年3月16日に登録
-
- 7key
- 2018年12月24日に登録
-
- 学園長文庫
- 2018年12月19日に登録
-
- beginning2end
- 2018年11月18日に登録
-
- meinanlibrary
- 2018年11月12日に登録
-
- みらぽん
- 2019年12月10日に登録
-
- 左衛門佐
- 2019年11月23日に登録
-
- theoutsidertai
- 2019年8月14日に登録
-
- スカイウォーカー
- 2019年7月4日に登録
-
- 11yk
- 2019年2月2日に登録
-
- naokifukuda
- 2019年1月26日に登録
-
- ace1125work
- 2019年1月16日に登録
-
- nameko
- 2019年1月10日に登録
-
- asamisoleil
- 2018年12月21日に登録
-
- 武之助
- 2019年7月17日に登録
-
- Daisuke Daimatsu Hiramatsu
- 2019年7月9日に登録
-
- 5.由貴の信頼する人
- 2019年7月5日に登録
-
- ミラたん
- 2019年1月14日に登録
-
- 菅官房長官
- 2019年1月14日に登録
-
- bmk0013
- 2018年8月16日に登録
-
- a_take6
- 2018年4月17日に登録
-
- umi-505
- 2017年1月22日に登録
-
- summerapricot
- 2016年11月23日に登録