- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105761
作品紹介・あらすじ
明治維新をとげ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。この時期を生きた四国松山出身の三人の男達-日露戦争においてコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の参謀秋山真之兄弟と文学の世界に巨大な足跡を遺した正岡子規を中心に、昂揚の時代・明治の群像を描く長篇小説全八冊。
感想・レビュー・書評
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【あらすじ】
明治時代初期~日露戦争まで。
国力を上げようとしていく日本を舞台として、旧松山藩で軍人の秋山好古・真之兄弟と、俳人である正岡子規を中心とした物語。
【内容まとめ】
1.好古と真之兄弟の兄弟関係は上下関係が厳しいが、好古は素晴らしい兄であろうと努め、信頼し合っている。
2.正岡子規の優等生ではない感じが意外。友達思いの、ただの面倒くさい悪がき。
3.隣国の熾烈な土佐藩と違い、松山は話し方を始め非常に穏やかな国風。
【感想】
司馬遼太郎の代表作「坂の上の雲」遂にチャレンジ!
1巻は登場人物たちの紹介や幼年期~大人の始めまでしか描いておらず、歴史背景も日清戦争まで行っていないこともあって特に面白くはなかった。
また、「竜馬がゆく」や「翔ぶが如く」と比べ、主人公たちがマイナーなところがやや面白みに欠けた。
あと、各登場人物の晩年が既に語られているため、楽しみがないなぁ・・・(司馬遼太郎の作品はそういう傾向にあるから仕方ないが。笑)
ただ、好古の性格はとても格好いいし、これから日清・日露戦争に舞台が移って行くと面白くなっていくのだろうなと期待ができる。
結論、今後の話の流れに期待!ってところだな。
ドラマもキャストが面白そうだから是非見てみよう。
【引用】
p41
「世間には色んな人間がいる。笑って腹中に呑み下すほかない。」
p58
「人を故なく罵りなさる以上、命をお賭けになっておるのじゃろと思いますがな。
私もここで命を捨てる覚悟がでけ申したけん、チクと表においでませ」
p130
珍しいほどの美男であったが、好古は何が嫌いといっても自分が美男と言われることほど嫌いなことはなかった。
この人物は目的主義であり、美醜(びしゅう)は男にとっても何の意味も為さずと平素から言っていた。
男にとって必要なのは、「若い頃から何をしようかということであり、老いては何をしたかということである」というこのたった一言だけを人生の目的としていた。
p166
元々、子規という少年には哲学趣味がなかった。
上京してきた頃には、大物政治家になろうと思っていた。「だから大学では法律をやる!」
ところが、子規はだんだん成長している。
「あしは、あの荘子(そうじ)の講義にはびっくりしたぞな。」
「荘子は、『人間とは何か、世の中とは何か、生命とは何か』を考えさせる。」
このため大学では法律をやらずに哲学をやろうと思った。大物政治家の夢は簡単に破れた。
しかし、同じ大学生の米山保三郎(やすさぶろう)という哲学者との対面の印象で打ちのめされ、哲学者を諦めた。
p201
真之「兄さん、伺ってもいいですか。人間というものは、どう生きれば?」
好古「俺は、単純であろうとしている」
好古「人生や国家を複雑に考えてゆくことも大事だが、それは他人に任せる。それをせねばならぬ天分や職分を持った人がいるだろう。
俺はそうゆう世界におらず、既に軍人の道を選んでしまっている。
軍人と言うのは、己と兵を強くして、いざ戦いの場合、この国家を敵国に勝たしめるのが職分だ」
好古「だから、いかにすれば勝つかということを考えてゆく。その一点だけを考えるのが俺の人生だ。
それ以外のことは余事であり、余事というものを考えたりやったりすれば、思慮がその分だけ曇り、乱れる。」 -
日本史で勉強した人がちらほら出てくるので、読んでいて楽しい。
飛鳥山の下りとか、エピソードのセンスがいいなと思った。
歴史上の事実を追う本なのに、今も変わらない人間らしさみたいなものと、明治初期独特の風潮を感じられて、読んでいて飽きなかった。 -
久々の長編歴史もの。
のんびり読んでいこう。
戦争は嫌いだけど、日露戦争に貢献した秋山兄弟のお話。
優秀な若者が田舎から出てきて、道を切り拓いて行くところ。
明治維新で世の中のなにもかもがひっくりかえった。
コロナ禍の比ではなかったのかもしれないよね。
そんな中でどう生きていくのか、たのしみです。
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初めて司馬遼太郎作品を読んだ。
引き込まれる感じはしないけど、文章がさっぱりしていて読みやすかった。
明治という社会に日々変化が起きている中で自分の適性を見極め、勉強して、立身していく姿は見ていて気持ちいいし、魅力的。
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<開明期を迎えた小国“日本”とそこに生きた人々の、“独り立ち”の物語>
上記のように評しても間違いはないはず。
司馬遼太郎は昔よく読んでいましたが、この本は全八巻ということでなかなか手がでませんでした。
んで昨今のNHKのプッシュに触発され(TVなくてドラマは見れないし)、読みだしました。
思えば、外圧に押され、その外圧に負けないために明治維新がおこり、
初めて国民国家というものを経験し、富国強兵に励み、
欧米列強の一角であるロシアと戦いそれに勝つ・・・
わずか30年程度の期間でやりとげたことは奇跡といってもよいものです。
しかし司馬遼太郎はそれを奇跡と認めながらも、人々の、弱者の、日本人の力と描いています。
最初の青年期では、能力さえあれば何者にもなれる明治という時代にあって、
秋山兄弟と正岡子規の青春に胸を熱くさせられ、
日露戦争では、山本権兵衛や大山巌に指導者・経営者の偉大さを、
評価が分かれる乃木や、児玉とともに戦った旅順・奉天等の会戦では
締め付けられるような痛みと悲しみを、
そして東郷をして歴史に名を残さしめた日本海海戦では、緊張と高揚と喪失感を・・・
これだけでは言い表せないほど、たくさんのものをこの本からいただきました。
歴史は断片断片で見るのではなく、一つの文脈としてみるべきなのでしょう。
だからこそ、先にあげた人だけでなく、その他たくさんの人々が、
“日本”を創ってきた・・・このことを感じずにはいられません。
全8巻という大長編に没頭できたこの時間を本当に幸せに思います。 -
中学生以来に読む司馬遼太郎作品。
当時「燃えよ剣」を、飽きながらも頑張って読了し、そのしんどかった思い出からなんとなく避けていた彼の小説。
最近になって近現代に興味を持ち、この本を手にとってみたところ、まさか読み易くて面白い。
立身出世目指して幼いころから野心を滾らせ、ひたむきに疾走していく登場人物たちの姿はシンプルで良いなぁと思った。 -
ドラマも見てみたいと思った。
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数年前に購入して読み始めたものの、何故か途中で挫折してそのままになっていた。。。
久しぶりに本棚から取り出して読んだら、面白かった。
正岡子規は教科書にも出てくるし大概の日本人なら、知っているだろう。
でも、この物語のもう一人の主人公、秋山 好古、真之兄弟が日露戦争時に活躍した事を知らなかった(お恥ずかしいが)
一巻は、まだまだ走りといった感じ。
高校や大学で勉強しながら自分の将来について悩んだりしている姿は、今現在もこの明治時代の若者達も変わらない。
物語の途中で、正岡子規と弟の真之が江ノ島まで友人と無線旅行にいく場面があるのだがそこのやり取りが面白くて、ずっと笑ってしまった。俳人になる前の正岡子規は、とても面白い人間だ。
引き続き、二巻以降も読み進めて行く予定。
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品






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