新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫) (文春文庫 し 1-77)

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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105778

作品紹介・あらすじ

戦争が勃発した…。世界を吹き荒れる帝国主義の嵐は、維新からわずか二十数年の小国を根底からゆさぶり、日本は朝鮮をめぐって大国「清」と交戦状態に突入する。陸軍少佐秋山好古は騎兵を率い、海軍少尉真之も洋上に出撃した。一方正岡子規は胸を病みながらも近代短歌・俳句を確立しようと、旧弊な勢力との対決を決意する。

感想・レビュー・書評

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  • 第二巻を文庫本で読もうと思ったら、最初の3つの章「日清戦争」「根岸」「威海衛」は、すでに前回読んだ内容だった。単行本(ハードカバー)と文庫本では、一巻に収められている章の数が異なっていたんだな。

    そういうわけで、続き、「須磨の灯」の章から「渡米」「米西戦争」「子規庵」「列強」の章を文庫本第2巻で読み進めた。この後は文庫で行こう。

    新聞社に勤める正岡子規は、従軍記者を強く希望していた。そして念願かない従軍することが決定したのは、なんと日清戦争の決着の前後だった。彼が出発したときには、条約談判のために、李鴻章が下関に来ていた。

    日清戦争では、おおかたの予想を覆し、大日本帝国の勝利となり、子規はほぼ一か月で帰国。従軍は、「こどものあそびのようなものだった」と表現されている。

    それでも、彼はそれに救われたのではないか。帰国途上の船上で血痰を吐き、下船と同時に神戸病院に担ぎ込まれている。入院中には、そのころ京都にいた後輩の高浜虚子が見舞いに出向いていたようだ。そして、結局、須磨保養院から、故郷の松山に帰ることとなる。

    そのタイミングが絶妙というか、帰ったころに大学時代の学友、夏目漱石が松山中学の英語の教師として赴任してきており、子規はその漱石の下宿に転がり込む。こんんな今にも死にそうな結核患者の子規と一緒に暮らしてよいものだろうか?

    乗り込む方も乗り込む方なら、受け入れるほうも受け入れるほうだ。しかし、現実、それは成立し、しかも子規は、他人の下宿で活発に俳句作りの活動をする。この熱意は、病をも凌駕するのだろうか。

    このころ、秋山好古は妻帯、そして弟の真之は、明治30年6月26日、米国留学の発令を受ける。日清戦争時にも出撃していたが、この渡米で彼はさらに海軍軍人としての資質を高めていくことになる。

    ワシントンの日本公使館に勤務し、自ら、戦略・戦術の研究を決意するが、折よく、キューバをめぐって米西(アメリカースペイン)戦争が勃発し、彼は日本における観戦武官に任命される。この時真之が書いたレポートは優れもので、「的確な事実分析と創見に満ちた報告書」と評され、この実績で後のバルチック艦隊との交戦時の参謀に起用されるのである。

    一方、子規。再び、陸羯南の新聞社「日本」に戻り、住居も根岸に移る。この根岸の家賃は月5円だったらしい。米屋への支払いは4円。そこへきて、菓子屋への支払いは1円50銭を下らなかったという。死にそうな結核を患いながら、菓子をバクバク食って短歌や俳句の創作活動をする男。まったく変わった人物だ。ある意味自由人だ。

    そして、このころの子規の文筆活動が最も凄まじかったようである。量的な凄まじさもさることながら、その質というか、熱というか、それが凄まじかったようだ。

    この時に「歌よみに与ふる書」というのを書いているが(今も青空文庫などで読めるが)、その舌鋒は強烈である。既成歌壇を滅多切りだ。歯に衣着せぬストレートな批評。「紀貫之はど下手だ」などと単刀直入に切り込んでいる。

    おそらく、自分の残すべきものへの思いと、自分に残された時間とを意識し、自身の信念を100%ぶつけたのだろう。

    当然のごとく、彼に対する反発も高まるが、まったく動じる所なし。反対にすべてを論駁していく。

    最後の「列強」の章では、日露戦争の前段の模様が描かれている。帝国主義により、英仏に追い付けとアメリカ、そしてロシアの領土拡大意識が高まってくる。

    日清戦争で、それまで巨獣と意識されていた清国が、死亡寸前の巨獣と化し、周囲の食肉獣(=列強)がその肉を狙いだした。

    日清戦争での日本の戦利品の一つである遼東半島にロシアが目を付けた。南下政策の妨げとなる日本の遼東半島進出。ロシアは仏独を巻き込んで、「遼東半島を清国へ返還せよ」と干渉してくる。三国干渉である。

    ついには、その遼東半島や満州を勝手にロシアが略奪していくのである。奪ったもの勝ちの帝国主義。

    不凍港を獲得するために南下政策を実行し、シベリア鉄道を完成させた鋼鉄の意思の人・アレクサンドル三世は、満州と朝鮮を除く大陸を制覇した。それを受け継いだのがニコライ二世。性格は父の真逆らしい。

    そのニコライ二世には、皇子の時に日本を訪れた際に、日本人の巡査から問答無用で切りつけられ大けがを負ったという経緯がある。明らかに日本人も外国から侵略されるという思想の異常性に侵されつつあった。彼は日本人を「猿」と呼んだ。

    そのニコライ二世が、日露戦争の開戦にかかわりがあるのは当然すぎるかもしれない。

    秋山真之は、子規のことをこう言った。
    「升さんは、俳句と短歌というものの既成概念をひっくりかえそうとしている」

    そう語る真之も海軍の既成概念をひっくり返そうとしていた。

    歌壇革命と、日露の関係は、第三巻でどう展開していくのか楽しみだ。

    • ハイジさん
      こんにちは
      正岡子規って本当にユーモアあふれる繊細ですよね
      この本ですっかり正岡子規に魅了されてしまいました(笑)
      こんにちは
      正岡子規って本当にユーモアあふれる繊細ですよね
      この本ですっかり正岡子規に魅了されてしまいました(笑)
      2020/03/21
    • abba-rainbowさん
      おはようございます。ハイジさん、コメントありがとうございます!

      ハイジさんはもう、「坂の上の雲」読まれたんですね。私は、プレバトの夏井...
      おはようございます。ハイジさん、コメントありがとうございます!

      ハイジさんはもう、「坂の上の雲」読まれたんですね。私は、プレバトの夏井いつき先生の「子規365日」って本から、この本にきました。もう一回、さっきの本がよみたくなってます(笑)。さらっ俳句を読み流しただけだったんですけど、本人知って、また味わってみたくなりました。

      「歌よみに与ふる書」ちょっと覗いてみてますが、痛烈ですね(>_<)。ホントに魅力的な人ですねー。
      2020/03/22
  • 【あらすじ】
    戦争が勃発した…。
    世界を吹き荒れる帝国主義の嵐は、維新からわずか二十数年の小国を根底からゆさぶり、日本は朝鮮をめぐって大国「清」と交戦状態に突入する。
    陸軍少佐秋山好古は騎兵を率い、海軍少尉真之も洋上に出撃した。
    一方正岡子規は胸を病みながらも近代短歌・俳句を確立しようと、旧弊な勢力との対決を決意する


    【内容まとめ】
    1.日清戦争の詳細と、日露戦争勃発までの経路
    2.現在軽視している中国は、日清戦争まではむしろ敬うべき存在であった
    3.


    【感想】
    うーん・・・
    世界史、特にヨーロッパ史を見直す必要がある。
    何故こんなにも栄えているのか、いつから差がついたのかが単純に興味有り。

    内容の感想として、主人公は好古・真之・正岡のみではなく、この時代のあらゆる人物に焦点が当てられている。
    「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」と異なり、東郷平八郎、伊藤博文などなど、明治時代の多数の人物にスポットが当てられる
    だからなのか、話の脱線はえげつないほど多く、読むのに時間がかかってしまう・・・
    好古や真之が一向に出てこない。笑
    まぁこの方がより深くこの時代の事について詳しく分かり勉強になるが、もっと短縮できるのでは?と読んでて少し疲れてしまう。


    【引用】
    p27
    ・日清戦争とは、なにか?
    「日清戦争は、天皇制日本の帝国主義による最初の植民地獲得戦争である。」
    あるいは、
    「朝鮮と中国に対し、長期に準備された天皇制国家の侵略政策の結末である。」

    また、好古・真之コンビの成長が著しすぎてついて行けない。
    好古はまだ分かるが、真之こんなにヤバかったっけ?
    カッコイイけど、それまでの経緯が分からない。
    昔からこんなに凄かったっけ?いつこんなに成長したの?と、疑問に思う。

    とまぁツッコミどころは満載だが、単純に物語としては面白い!!
    日露戦争終結まであと6巻、物語の脱線具合も非常に見所ですな!


    p41
    ・小村寿太郎
    中国赴任の外交官
    国外からはねずみ公使と軽視されていた。、
    中国を深く観察し、分析したことで日清戦争勝利の大きな立役者となった。


    p96
    軍人になると、国家は彼にヨーロッパ風の騎兵の育成者として期待し、彼もそのような自分であるべく努力した。
    彼は自己教育の結果、「豪傑」になったのであろう。
    戦に勝つについてのあらゆる努力を惜しまなかったが、しかし彼自身の個人動作としてその右手で血刀を振るい、敵の肉を刺し、骨を断つようなことはひそかに避けようとしていたのではないか。
    勇気あるいは固有のものではなく、彼の自己教育の所産であったように思われる。


    p104
    好古「戦は、たれにとっても怖い」
    「そういう自然の怯えを押さえつけて悠々と仕事をさせてゆくものは義務感だけであり、この義務感こそ人間が動物とは異なる高貴な点だ。」


    p164
    清国を破った後の、伊東による清国への明治維新のすすめ
    清国 丁汝昌の降伏時の人民・兵への配慮

    昔の戦争の終わり方
    毒殺した丁汝昌への敬意


    p230~
    ・真之の考え方
    物事の要点が何かを考える
    不要不急のものは切り捨てるという大胆さ
    得た知識を分解して自分で編成し直し、自分なりの原理原則を打ち立てる。


    p396
    『俺の一生の主眼はひとつだ』
    好古は、自分の人生は簡単明瞭でありたいと思っている。

  • ロシアの成り立ち、ロシアに関連する人の説明がメインでした。日露戦争がなぜおこったのか背景が丁寧に説明されている。
    一転正岡子規の章は松山のお国言葉なども交じりあたたかい気持ちになった。

  • 歴史と世界と人間が好きになる。よく観察されている。

    100年くらい前の人も、国境は異なれど今と同じような世界地図を見ていたんだな…と、当たり前のことに気づいた。

    勉強したくなる本。

    秋山真之さんの、過去の膨大な書物に触れて要点を抜き出すスタイルに感銘を受けた。

  • 日清戦争の海戦の臨場感がいい。この時代は本当に興味深い

  • ▼2巻は好古・真之・子規を追いつつ、日清戦争勃発。▼結局、秋山兄弟は貧乏のために軍人になる。正岡子規は貧乏とは言えない。なので軍人にはならぬ。単に出世を目指すが落ちこぼれて文学を目指す。その際に「"初めて世代"は良いなあ。大したことなくても世に出れた」と、嘆き羨む。これはほぼ、「西洋化」の第一世代か。▼結局、正岡子規は、アメリカ開拓時代終盤の移民者が必死に空き土地を探すかのように、自分の居場所を探して俳句・短歌の文学評論にたどり着く。▼このあたりの心情は、デジタル化という現今の変化でも、似たようなことがあるんだろうなあ。

  • 日清戦争勃発。真之の純粋、真面目な勤勉姿勢や正岡子規の死を意識した中での俳句への情熱。今とあまり変わらないロシアの思想、時代の世相を表した街の雰囲気。躍動的な時代を感じます。



  • 「たとえば、軍艦というものはいちど海洋航海に出て帰ってくると、船底にかきがらがいっぱいくっついて船あしがうんと落ちる。

    人間もおなじで、経験は必要じゃが、経験によってふえる智恵のとおなじ分量だけのかきがらが頭につく。

    智恵だけとってかきがらを捨てるということは人間にとって大切なことじゃが、老人になればなるほどこれができぬ。」


    「人間だけではない。国も古びる、海軍も古びる。かきがらだらけになる。」

    「山本権兵衛という海軍省の大番頭は、かきがらというものを知っている。日清戦争をはじめるにあたって、戊辰以来の元勲的な海軍幹部のほとんどを首切ってしまった。この大整理は海軍のかきがら落しじゃ。(中略)おかげで日本海軍の船あしは機敏で清国戦隊をどんどん沈めた」


    秋山真之・正岡子規の会話より。
    海軍や和歌の世界をひっくり返そうとするときの会話がすごく心に残った。

  • この章の最後にある 司馬遼太郎の言葉に「日露戦争に勝って、舞い上がった気持ちが、昭和の戦争につながり原爆を落とされてしまったかも知れない。」
    という意味が少しだけ理解できました。 この戦争は英雄達というが、市民の実情が描かれていないので、実際はかなりひもじい時期が長く続いたのではとも著書を読んで思う所です。

  • 日清戦争での勝利、真之のアメリカでの留学の様子、子規の文学活動、三国干渉、義和団事件を経て日露戦争の足音が聞こえてくるまで。

    山川の日本史教科書では「日本軍は、清国軍を朝鮮から駆逐するとさらに遼東半島を占領し、清国の北洋艦隊を黄海海戦で撃破し、根拠地の威海衛を占領した」と一行で記述されている箇所に150ページ近くを費やして詳細に描写している。

  • 明治中期(日露戦争の手前)俳句の正岡子規、陸海軍人である秋山兄弟、それぞれが己の進路を見定めた。これからがむしゃらに走る。

  • 明治時代に興味がなかったせいで、時折出てくる偉人の名前が分からず、Googleで検索しながら読み進めた。
    いつもの倍の時間がかかったが、更に先が気になる。

  • 続編。日清戦争〜日露戦争前まで。世界情勢の把握。どちらかと言うと真之の視点が多め。真之の海軍での成長をメキメキと感じた。真之の得意な効率の良さ、瞬時に物事の根幹を読み取る能力を参考にしたい。

  • 面白かった!

  • 大学2年または3年の時、同期から「読んだこともないの?」と言われてくやしくて読んだ。
    長くかかったことだけを覚えている。
    文庫本は実家にあるか、売却した。
    そして2009年のNHKドラマの数年前にまた入手して読んだ。
    秋山好古・真之、正岡子規について、初期など部分的に爽快感はあるが、とにかく二百三高地の長く暗い場面の印象が強い。
    読むのにとても時間がかかった。
    その後3回目を読んだ。
    バルチック艦隊の軌跡など勉強になる点はある。なお現職の同僚が、バルチック艦隊を見つけて通報した者の子孫であることを知った。
    いずれまた読んでみようと思う。(2021.9.7)
    ※売却済み

  • 司馬遼太郎さんの本で一番好きな本。
    日本人であることに誇りが持てる。

  • 好古、真之、子規。

    それぞれが猛烈なスピードで成熟していく様がとても面白い。
    3人に共通しているのは、物質的に不自由な環境下で、精神的に充実しているということ。

    自身の目標を明確にし、覚悟を持ってその達成に邁進している姿は、率直に言って妬ましい。

    覚悟の裏にあるのは責任感。
    前巻では功名心に猛っていた3人の変わり様も鮮やか。

  • どうも長い。勧める人は多いけど。全体で2冊ぐらいになりそうな。

  • 人間の頭に上下などはない。要点を掴むという能力と、不要不急のものは切り捨てるという大胆さだけが問題だ。

  • 歴史の勉強にもなるし小説としても面白い。関心があるとここまで情報を突き詰められるものかと、人間の底力まで感じてしまうスケール感がある

  • 日清戦争、正岡子規の、真之さねゆきとマハン

    日本とは悲痛な国よ〜で始まる真之の感想。国力は農業以外に大した産業を持っていないのに、超一流の軍艦を揃えたがると、そして、その原動力の一つは、恐怖、外国から侵されるかも知れぬという恐怖が明治維新をおこし〜 は、今でも日本人の根底にあるのだろうなと思う。

  • 少し急ぎ目で読んでも、かなり時間がかかった。日清戰争、日露戰争に向かう過程を「ふんふん」と読んで堪能したつもりでいるが、いざ読み終わってみるとなんだかわからなくなっている。色んな国の思惑があり、同じ国の中でも色んな人がいて、おそらく忠実に描いているだけに複雑。著者も日清戰争の理由について触れるとき「歴史科学は善玉と悪玉に分けようとする性質があるが、歴史にそのような区分をつけると見誤る」というような趣旨の事を言っていて、その通りだなと思う。

  • 日本史の中でも、あまり興味なかった、日清戰争〜北清事変。真之の米国調査中に発生する米西戰争。帝国主義真っ盛りの欧米列強国から見たアジア、アメリカ。また、ロシアの極東侵略。何故日本がロシアと戦うことになったのか…
    正岡子規の病床でのホトトギスの執筆。病状悪化。写生主義を貫くその精神が人を集めるのか…
    好古の人生哲学に共感。

  • 日本人すごい。

    日本人は努力する、日本人は頭がいい
    と外国におるとよくいわれる。
    世界中に日本車の車や電子機器がいっぱい出回っとるのが所以やと思う。
    でも、そこに行きつくまでには日本人の民族性があったからこそやとすごく感じさせられた。
    そこまで作り上げてきた日本人に対して、本当に敬意を感じる。

    それを伝えてくれる司馬遼太郎にも敬意を感じまくっている。

  • 近代日本初の対外戦争となる日清戦争と、近代短歌確立のため旧弊勢力への論証を仕掛ける正岡子規。共に鍵となるのが規制概念に対する新しい思考を貫こうとする意思の強さ。旧態依然の体質で衰退する清国やスペインが象徴的。目標に向け一途に邁進する明治日本人の姿勢が実に眩しい。

  • 司馬遼太郎はやはり面白い。
    畦道に落ちた馬糞が真夏の太陽に焼かれてにおってくるような熱気を感じる。

  • 平易な表現で書いてあり、読みやすく面白い。

    日本やアメリカが新興国であった頃。16世紀に無敵艦隊を誇ったスペインはイギリスにとってかわられ、清やロシアはその国家体制が古びてほころんでいたころ。

    海軍も幹部候補生を留学に送り出したようだが、その人材の育て様は、おおらかであった分、本人たちに裁量権があったようで、やりがいがあったに違いない。

    一方、この時代にも固定観念にとらわれた「かきがら」はいたはずで、維新の功労者たる彼らは、その後どういう処遇に生きたのか。

  • この巻は日清戦争とその後の三国干渉を経て、日露衝突が近くなるまでが内容。

    後の日本軍部の大物が、この戦争では現場で指揮官やってたり、清国側の政治構造と軍の関係、黄海海戦の動きなど、詳細な情報を知れて、全体的に深められた。

    正岡子規は病床の中、俳句短歌の革新に本格的に乗り出していく。
    自らの生命が短いことを自覚し、その運命に苦しみながらも、熱い思いで革新の動きをしていくのは、まじで格好いい。


    激動の明治世代でも、この時期の人達のアツさには感化されずにはいられないな

  • 長所も短所も含めた登場人物たちの姿が描かれており、読みやすい。ただ、戦争の描写が淡々とし過ぎてややリアリティに欠ける。

  • 明治27年(1894)子規の退学と「日本」入社、日清戦争〜明治36年(1903)ベゾブラゾフの宮廷工作、ニコライ2世の保養海外旅行。

    ついに戦争が起こった。一巻とはうってかわって世界がぐんと広がった。日清戦争ではテレビでは扱われなかった、海上での具体的作戦を知る事ができたし、なにより清国側の腐敗、丁汝昌の悲劇ぶりが凄まじかった。これは小説にしか取り上げられてないので原作の特典のひとつ。米西戦争のセルベラ少将も同様に悲劇的であった。

    また、軍事色が濃くなる2巻だからこそ、子規の生活、くだりが一巻以上に際立って面白く感じた。
    これはドラマの中での子規の台詞ー
    「こうして世間と戦っておると、その反面、のどかなという風な趣に強くひかれるときがある」という言葉にも凝縮されているように、この小説では戦いと日常お互いを引き立てるために相互が本当にうまく化学反応を起こしていると思う。

    また、原作にはないドラマのよかったところは多美との結婚するときのくだり。好古のドラマでのプロポーズがなんともいえない心地よさでした。

    司馬さんの小説は土地勘の強いものが多く、その点においてもドラマと重複して読む事でイメージがつきやすくなる相乗効果を生み出していると思う。

    まとまらないけどもあとはやはり人物の個性の豊かさに感情移入してしまう。子規、小村寿太郎、ウィッテ等々。

    ドラマの第二部に突入!!

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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