新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 240
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105792

作品紹介・あらすじ

明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。緒戦から予断を許さない状況が現出した。

感想・レビュー・書評

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  •  旅順攻撃が中心となる4巻

     印象的なのは旅順攻撃の際の日本軍のグダグダっぷり。

     旅順の要塞に無策の正面突破を繰り返し、多くの兵士たちを犬死にさせながらも、攻撃方法や作戦を一向に変えようとしない、大将の乃木とその参謀、伊地知の頑迷さ、無策っぷりに呆れかえりました。

     そして彼らの更迭案を何度も出しながらそれを実行できない大本営にも読んでいてイライラ。こういう上層部のグダグダや無理解で被害を被るのは現場の人間、この場合は兵士たちなのですが……。太平洋戦争の際もそうですが、いつの時代も日本軍は兵士たちを駒としてしか見ていなかったのかもしれないなあ、と思いました。

     ロシア軍も日本海軍に恐れをなして、イギリスの漁船を間違って攻撃してしまうという、とんでもない失態をしてしまう場面が描かれます。

     戦争という極度の責任や恐怖がのしかかる局面になると、その人の本当の姿が表れてくると思います。そしてそれが大将だとか将軍だとか、責任のある立場になるとなおさらそうです。

     乃木・伊地知やイギリス漁船を攻撃してしまったロジェストヴェンスキー提督は、そうした状況の中で周囲の状況が見えなくなったり、冷静な判断が出来なくなった人間の姿だと思います。その姿は愚かと言ってしまえばそうなのですが、そうした状況下で冷静な判断が出来なくなってしまう人の哀しさ、というものも少し感じてしまいました。

     また日露戦争を続ける上での海外からの資金援助に苦労する日本軍の上層部や、人種問題から日本に援助するユダヤ人の存在など日本が対外的にいろいろ動いている姿も印象的でした。

     そして資金援助を得るために戦争の結果を海外にアピールしたり、人種問題の存在を実際に肌で感じたりと、日本が海外に出ていく中で新たな価値観にぶつかっていく姿も読んでいて面白かったです。

     こういうのは教科書では全然教えてくれないところなので、こういう裏側的なところが読めるのが歴史小説のいいところだよなあ、と改めて思いました。

  • 3巻と比較して、戦況に大きな変化がなかったためか、人間味のある話題が少なかったためかわかりませんが、極端に読むスピードが遅くなりました。6日かかりました。

  • 司令官 乃木希典は尊敬する人物だったのに日露戦争でこんなにも無能だったと初めて知った。
    参謀長 伊地知幸介はさらに輪をかけた人物。

    無能であることをわかりながら交代させない大本営は無責任。
    人命の尊厳さを無視している愚かな人々。

    絶対服従するしかない兵士にとって上層部がどんな方針をたてるかがいかに大事か。

    陸軍は太平洋戦争でも同じ過ちを犯した。
    学習していない。

  • 4作目。
    主に日露戦争の話。
    非常に興味深く、いかに激戦であったかが伝わってきた。
    続きが早く読みたい。

  • いよいよ本格的に日露戦争に突入。最初から最後まで戦場でのおはなし。司馬さんの視点は比較的マクロ的かつ上から(将校)のものであるため下士官を単なるコマとしてしか扱ってないように少しかんじた。実際そうでもしなければ耐えきれないほどの内容であるとは思う。コマとして描いているだけでも十分に悲惨さは伝わってきた。
    今回は陸軍についての記述が特に多いのだが、陸軍編成や地形を知らない自分にとって読むのは今までよりかなり骨が折れた。
    また、例の司馬史観の一つといわれる乃木さんに関する批判的な記述が大半を今回は占めていた。実際によんでみると乃木司令官に対してはフォローをたびたび行っているがその参謀長伊地知に対してはいっさいのフォローがなく批判的であった。彼ら二人が主だって行っていた旅順攻めに対する戦闘の記述が最も激しく悲惨さが感じ取られた。
    そしてその中においても下士官達は逆らう事なく命令に従った(100%死ぬ事がわかっていても)明治軍人たちの心というものが今からすれば異様なものにしか感じ取る事ができなかった。
    その中でロシアを含めたリーダーの葛藤というものも描かれていた。
    命と士気が天秤にかけられていたのが印象的だった。

  • 日露戦、黄海海戦、旅順の攻防など。著者の旅順戦に対する参謀伊地知へのこれでもかという批判はややくどいという感を持つ。

  • 日露開戦初期、両国の総司令官および各級司令官を丁寧に対比している章。

  • 黄海、遼陽、沙阿、そして旅順。激戦に次ぐ激戦。物資が枯渇する中生命をふりしぼって多くの兵士が大陸に倒れていく。どんどん辛くなってきました第4巻。それにしても旅順の乃木隊には苛立つ。平和時であれば無能は罪悪にはならないが、戦時や緊急の場では罪悪であり害悪であることが強く感じられます。今現在の無能な政府を思い返さずにはいられません。すぐれた小説は多くを学ばせてくれるものです。

  • 国の明暗を決めるトップの決断の重さと、その決断に従って任務を全うする兵隊の勇敢さ。一方では自分の立場ばかり気にする官僚。自分は前者のような志高い人間になりたい。

  • ひたすら日露戦争のお話。
    日本の陸軍の旧態依然さにところどころイラッとしてしまうし、
    秋山兄弟はあまり出てこないし・・・
    考えさせられはするけれど楽しんで読んではいなかったと思う。
    戦争はいやだな。

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著者プロフィール

1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語学科卒業後、産経新聞社に入社。59年「梟の城」で直木賞受賞。独自の史観を駆使し、戦後の歴史小説に新風を吹き込んだ。代表作は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶがごとく』など。93年に文化勲章を受章。96年に72歳で死去。

「2008年 『豊臣家の人々 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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