新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105792

感想・レビュー・書評

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  • (2014.01.05読了)(2003.06.14購入)
    NHKでドラマ化され放映されていたころ読んでしまうつもりだったのですが、第三巻までで挫折してしまいました。
    「日中戦争」を読んでいるうちに、やっと続きを読んでしまおうという気になったので、読み始めました。
    日露戦争真っ最中なのですが、戦場は中国であり、中国のうちの遼東半島のあたりです。
    海軍は、遼東半島の先端旅順の港に停泊しているロシアの軍艦を殲滅しようとしています。ロシアの軍艦は、旅順港に閉じこもっていたのですが、ウラジオストックへ移動せよという命令が出たので、湾から出てきて移動を始めた。
    日本の海軍は、これをあやうく取り逃がすところだったが、何とか戦闘に持ち込み、壊滅的な損害を与えることができた。ただ、沈没させることまではできず、一部の軍艦が再び旅順港に戻り、閉じこもってしまった。
    乃木将軍のひきいる軍隊は、旅順港を守っているロシアの要塞を落とすように指令を受けて奮戦している。海軍からの要望は、203高地を占領し、そこから旅順港に停泊する軍艦を脅かしてくれればいいというものであった。ロシアの要塞も203高地の守りは最初は、手薄であった。ところが、乃木軍は、要塞を正面から攻めることのみに固執して、死者を増やすのみであり、第4巻が終わってもまだ要塞は落ちていない。
    関東軍の主力は、奉天方面へ進撃しているのですが、弾薬が不足しているために思うように進撃できない。日本陸軍とは、精神論優先で、兵隊も消耗品と考えていたようです。
    戦争が始まれば、食料・武器・弾薬がどれだけいるのかという計算ができなかったようです。輸送についても、列車と馬車しか頭になく、トラックを輸送に使用するという考えはなかったとか。弾薬の備蓄がわずかしかなく、戦争が始まってすぐ弾薬が底をつき、あわてて弾薬の調達を始めたとか、国内での砲弾生産能力が、一日に300発とか。
    大砲が30門あれば、其々10発撃ったら終わり!
    海軍は、ちゃんと計算ができる人がいて、弾薬の備蓄がしっかりしてあった。
    そうこうしているうちに、バルチック艦隊が、日本海に向かって出航しました。
    司令官は、皇帝の寵愛する人物で、バルチック艦隊の日露戦争への参加を提案したために任命された。かなり、臆病な人物だったようで、出航して間もなく、イギリスの漁船を日本軍の船と間違えて、攻撃し、日英同盟を結んでいるイギリスにロシア艦隊の邪魔をする口実を与えます。
    バルチック艦隊は、日本海までたどり着けるのでしょうか。

    【目次】
    黄塵 (黄海海戦)
    遼陽 (遼陽会戦)
    旅順
    沙河 (沙河会戦)
    旅順総攻撃 (バルチック艦隊出航)
    関連地図

    ●海軍の砲弾(58頁)
    日本の砲弾は、日清戦争の経験により、まず敵艦を沈めるよりもその戦闘力をうばうことに主眼がおかれているという、世界の海軍常識からいえばふしぎなものであった。ふつう常識では徹甲弾を用いる。ロシア側もそれを用いている。この砲弾は艦に穴をあけ、艦体をつらぬいてなかで爆発するのだが、日本の砲弾は装甲帯をつらぬくかわりに艦上で炸裂し、その下瀬火薬によってそのあたりの艦上構造物を根こそぎに吹っ飛ばすのみか、かならず火災をおこしてしまう。艦が猛火につつまれると、大砲がもはや操作できない。
    ●砲弾不足(104頁)
    海軍は、あまるぐらいの砲弾を準備してこの戦争に入った。
    が、陸軍はそうではなかった。
    かれらは近代戦における物量の消耗ということについての想像力にまったく欠けていた。
    日本陸軍の伝統的迷信は、戦いは作戦と将士の勇敢さによって勝つということであった。
    ●外債の引き受け(168頁)
    ヤコブ・シフはあっさり、
    「その半分をひきうけてあげます」
    といってくれたのである。
    「われわれユダヤ人は、ロシア帝政のなくなることをつねに祈っている。時たまたま、極東の日本国が、ロシアに対して戦いをはじめた。もしこの戦争で日本がロシアに勝ってくれれば、ロシアにきっと革命がおこるにちがいない。革命は帝政をほうむるであろう。」
    ●旅順第一回総攻撃(184頁)
    この実施によって強いられた日本兵の損害は、わずか六日間の猛攻で死傷一万五千八百人という巨大なものであり、しかも敵にあたえた損害は軽微で、小塁ひとつぬけなかった。
    ●作戦担当(186頁)
    乃木希典の最大の不幸は、かれの作戦担当者として参謀長伊地知幸介がえらばれたことであった。乃木に選択権があったわけではない。
    ●頑固(216頁)
    乃木軍の司令部は人間を殺すということ以外に作戦を知らぬようだ、という声が、大本営でも高かった。乃木軍の作戦頭脳の頑固さは、みずからの失敗をつぎの作戦の知恵としてつかうということを知らぬようであった。
    「軍司令部はあまりにも後方にいすぎて、この前線の実状を知らない」
    ●攻勢の鉄則(256頁)
    ロシア軍は、敵よりも二倍ないし二倍半の兵力・火力を持つにいたらなければ攻勢に出ないという作戦習性を持っている。これはロシア軍が臆病であるからではない。
    敵よりも大いなる兵力を集結して敵を圧倒撃滅するというのは、古今東西を通じ常勝将軍といわれるものが確立し実行してきた鉄則であった。日本の織田信長も、わかいころの桶狭間の奇襲の場合は例外とし、その後はすべて右の方法である。
    ●沙河会戦(303頁)
    沙河会戦における日本軍の損害(死傷)は20497人にのぼった。約二個師団がまるまる消滅したかっこうである。
    ロシア軍の損害は、すさまじい。日本軍のそれの数倍であった。戦場に遺棄した死体だけで13333体で、捕虜は709人である。全損害は六万人以上にのぼった。
    ●砲弾製造能力(307頁)
    おどろくべきことに、陸軍においては東京、大阪の両砲兵工廠の砲弾製造能力が両廠あわせても一日わずか三百発でしかないということであった。三百発というのは、砲兵一個中隊で迅速速射すればわずか七分三十秒で射ちつくすという程度の数量である。
    ●秋山真之の反応(370頁)
    (バルチック艦隊の英国漁船群襲撃事件)
    「英国漁船は何バイ(隻)やられた」
    という一点にかかっていた。それによってバルチック艦隊の砲戦能力を知りたかったのである。かれは東京の軍令部に対し、あの北海における〝錯覚戦争〟の詳細をしらせてほしいという旨の電報を打った。

    ☆関連図書(既読)
    「坂の上の雲(一)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
    「坂の上の雲(二)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
    「坂の上の雲(三)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.02.25
    「条約改正」井上清著、岩波新書、1955.05.20
    「日清戦争-東アジア近代史の転換点-」藤村道生著、岩波新書、1973.12.20
    「日清・日露戦争」原田敬一著、岩波新書、2007.02.20
    「爆笑問題の戦争論-日本史原論-」爆笑問題著、幻冬舎、2006.07.31
    「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子著、朝日出版社、2009.07.30
    (2014年1月6日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。緒戦から予断を許さない状況が現出した。

  • 日露戦争勃発から。少し読みつかれてきた感は否めない。

  • 上手くのし上がった無能な上官のヘタレ具合は今も昔も変わらんなと変に憤りを感じながら読み進めていた。読了時の不快感ったら無かったが、でもそれだけ話の中にのめり込みながら読んで居たんだからかなり夢中にさせる内容だったんだろう。

  • 旅順がおちない。乃木さんってこんなだったのか。どうしてここまでひどいことになってしまうのだろう・・

  • 旅順要塞、陸海の戦い。
    上官の無能のせいで、一瞬で人が大勢死んでいく日本、そしてロシア。戦争物を読むことは避け続けてきたけれど、今、めちゃめちゃ日露戦争に浸っています。夢に見るくらい、戦前の日本軍の描写は胸に焼きついてしまったな。私も児玉さんにすがるような気持ちです。

    戦争物は嫌なのに、坂の上の雲を読むきっかけになった中村覚さんがついに登場した。かっこいいというか、バリバリの軍人。旅順で一瞬で死ななくてよかった。今度お墓参りに行こう。

  • 4巻終えて少し休憩。明治維新~日露開戦までのくだりは、おもしろく、時代背景など大変勉強になる。
    現代日本を生きる自分にとって、西欧列強に必死で追いつこうとする19世紀末の日本は、とてつもなく偉大に映る。
    たとえ現状が理想とかけ離れていても、悲壮感にひたらず、現状を起点にひたむきに努力するような。
    日露開戦以降の描写は、女性の自分には、少々読み進めるのがつらかったかも><5巻目以降は気長にがんばろう。。

  • 明治と言う時代を秋山兄弟と正岡子規の三人を通して描く。
    この時代の人々の豪快さ、潔さ、必死さがひしひしと伝わってくる。

  • 最高。

  • 日露戦争における旅順攻囲戦の始まり。
    乃木希典将軍と伊地知幸介参謀長の無能さが強調されている。
    (ロシア側もかなり無能であるが)
    何も考えずに突撃を繰り返す将軍と参謀の愚かさも判るが、士気が下がるからと無能な将軍と参謀を更迭できない大本営も無能ではないか?
    思い切って参謀長だけでも交代させれば、これほどの被害にはならなかったと思う。
    また、一方で乃木希典将軍は軍神と崇められている部分もある。
    この部分は少し作者の偏見が入っているように思われるがどうだろう。

  • 旅順における戦いぶりを読んでいると、日本は本当に日露戦争に勝利したのだろうか、と少々不安になってくる。

    乃木、伊地知が無能な司令官として描かれているが、それは今だから言えることであって、その時の状況においては、大いに悩み様々な判断を行ったに違いないし、責められるべきは彼らを任命し、任せ続けていた上層部であろう。

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著者プロフィール

1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語学科卒業後、産経新聞社に入社。59年「梟の城」で直木賞受賞。独自の史観を駆使し、戦後の歴史小説に新風を吹き込んだ。代表作は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶがごとく』など。93年に文化勲章を受章。96年に72歳で死去。

「2008年 『豊臣家の人々 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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