菜の花の沖 三 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2000年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167105884

みんなの感想まとめ

物語は、江戸時代の高田屋嘉兵衛の人生を通じて、当時の物流や経済、地理を描き出します。第3巻では、嘉兵衛が念願の貿易を始めるために自らの船「辰悦丸」を完成させ、ついに憧れの蝦夷地に足を踏み入れます。彼の...

感想・レビュー・書評

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  • ▼高田屋嘉兵衛とその時代を描く第3巻。オモシロイ。江戸時代の真ん中というか後半というか。つまり1800年よりちょいと前なので、実は時代としては「剣客商売」の時代なんですね。その時代の物流と経済、日本の地理などが嘉兵衛の人生を通してじわじわと入ってくるような不思議な小説。

    ▼嘉兵衛は巨大な船を作り、念願の松前との貿易を始める。そういう意味では志もうなってしまったとも言えます。ところがこの3巻の終わりくらいから、「蝦夷地の政治との出会い」が始まりますね。嘉兵衛がやや政治的になってくる。あるいは、「高尚な志」を持ってくる。

    ▼ハングリーだった頃のほうがオモシロイ、というのが普通の小説なんですが、最早これは普通の小説ではないので、先が楽しみです。わくわく。

  • いよいよ辰悦丸登場。

    嘉兵衛が大洋に繰り出すための彼にとって初の持ち船が、まさか秋田の小さな港町から生まれてこようとは物語の前半には決して想像がつかなかった。それにからめて「新造さん」という言葉そのものが新造船舶のそれからきているということを知れたのも小さな「へぇ。」であったり。

    話の中心はもっぱら蝦夷地のこととなり、物語はどんどん佳境へと突っ走る。今まではチョイ役であった武士階級の中からもあちらから嘉兵衛の人柄に引き寄せられるようにやってくる。

    ますます目が離せない!

  • ついに飛躍していく巻となります。
    だけれども、松前は嘉兵衛にとっては
    あこがれとともに、課題の残る場所となりました。

    この中には、私たちがこれから
    変えていかないといけない部分があります。
    それに関しては今も騒がれていることで
    必ずその負の連鎖は立たないといけないでしょう。

    彼が史実上どのようになっていくかは知っていますが
    これからが楽しみです。

  • 三巻読了。

    ついに大型船「辰悦丸」が完成し、憧れの蝦夷地へ足を踏みいれる嘉兵衛。
    蝦夷人を酷使し、自身の利益と保身しか頭にない松前藩と、実態調査に臨む幕臣達という、政治面ではややこしい事になっていますが、初めての蝦夷地に降り立ち、感動している嘉兵衛が微笑ましいです。今後の高田屋の運命が気になります。

  • 年度末&年度初めのドタバタで随分と時間がかかってしまった。別に難解な内容ではなく、冒険小説でありどちらかと言うと読みやすいのだが、それでも空き時間に読書をするよりは身体を休めたり睡眠を優先させたかったため、後回しになってしまったのだ。で、最近ようやく仕事が落ち着いて一気に読了。
    さて、主人公の高田屋嘉兵衛、順調に海運業を営んでいく。蝦夷地の方々を周り、最上徳内などの幕府役人と知り合い知己を得る。多くの人間から信頼を得られたのは、ひとえに嘉兵衛の実直な性格ゆえであり、淡路島における年少時の境遇とは無関係ではないだろう。
    これから本格的に蝦夷地における交易が中心となり、やがてはロシアに捕らわれることになるのだが、どう展開していくのか楽しみである。そして、たまにしか帰らない旦那をひたすら待つ留守宅のおふさが、今後このまま大人しくしていられるのかも興味深い。全6巻中3巻を読了したので折り返し地点。まぁのんびり読み進めよう。

  • 戦国大名や幕末の志士を主人公にした小説が目立つなかで、司馬遼太郎にしてはめずらしく、民間人である廻船商人・高田屋嘉兵衛を主人公にした長篇小説。この高田屋嘉兵衛という人物については、わたし自身はゴローニン事件の一方の当事者として、日本史ですこしだけ習った記憶があったが、ラクスマンやレザノフといった海禁政策下におけるほかの来航者と、それに対して幕府がどのような対応を行ったかという一聯の流れのなかで教わるため、個個の案件や人物については詳しくは知らない人が多いのではないであろうか。わたしもほとんど名前だけしか知らない状態で読み始めたが、この嘉兵衛という人物がじつに魅力的で、なぜいままでもっとよく知らなかったのだと後悔するほどである。嘉兵衛はたんに巨万の財を築きながら、不運にもロシア艦船に拿捕されてしまった被害者というわけではない。嘉兵衛は拉致された人質という立場にありながら、坐してただ助けを待っていたわけではなく、みずから事件解決の糸口を切り開こうと尽力する。突然言語もわからぬまま極寒の地に連れられてきて、希望を失わないどころか事態を理解して日露交渉に活路を見出したその姿勢には舌を巻くばかりである。また、事件に至るまでの前半生もすばらしい。「百姓は生かさず殺さず」という言葉に象徴されるように、江戸幕府がさまざまな規制によって農民を締めつけていたことは有名な話であるが、こと商人に対しても例外ではなく、たとえば船舶の建造にかんしても、じつにさまざまな制約があり、他国に見られるようなより技術的に発達した種類の船の建造は禁じられていた。嘉兵衛はこのような規制を率直におかしいと感じつつ、禁を侵さずにできるだけ最適の構造を追求して建造するなど、開明的な思想の持主であった。開明的といえば蝦夷地開発においてもそうで、当時まだ寂れた漁村に過ぎなかった箱館にその航海上の利点を見出し、開発に尽力したほか、松前藩が非人道的な扱いをしていた土着のアイヌに対しても、ちゃんと人間として尊重して、漁法を教えるなどの交流があった。こんにち、嘆かわしいことにいまだにネット右翼などのあいだでアイヌに対する差別が見受けられるが、いまから200年以上前の高田屋嘉兵衛のほうがよっぽど進歩的な考えの持主であった。嘉兵衛の行動については、それぞれ人質として助かりたい一心からどのように振る舞うことが最適か考えただけに過ぎない、あるいは商人としてひたすらに利益を追求した結果としてこのような姿勢になっただけである、という側面もないとはいえないかもしれないが、たとえそうであったとしてもやはり偉大な人物であることには変わりがないと思う。司馬遼太郎はよくもまあ、教科書にちょっと名前が出てくるだけの商人がこのようにすばらしい人物であるということを「発見」したものである。

  • やっと蝦夷まで来ましたね〜。長っ。松前藩の酷さ、幕府若手官僚の優秀+正義感。高田屋嘉兵衛の単なる商売人+船乗りを超えるロマン人の片鱗が出てきました。次巻は本格的に蝦夷でしょうか。北海道大好きなので楽しみ。

  • 高田屋嘉兵衛が蝦夷に進出する三巻目。
    蝦夷人を構造的に搾取し続ける松前藩の傍若無人ぶりは驚きを感じる。

  • 3巻は千五百石の大船辰悦丸を手に入れ、松前や函館に赴くまで。

    当時の蝦夷事情が詳しく描かれている。ロシアの進出についての描写にデジャヴを感じたが、「坂の上の雲」と重なるところがあるからだろう。

    アイヌの人々が圧政に苦しんでいたことは知っていたが、借金で外国に連れてかれたりするなど、思っていた以上に酷いようだった。

    また、幕府の役人と、松前の役人が深く対立したことも初めて知った。

  • アイヌ人を奴隷化する松前藩の罪深さ
    行政(松前藩)が商売をすることは今も昔も失敗する
    権力に胡座かく組織は腐敗する。
    行政が商売をすると賄賂が横行する
    情報の価値化(北風家の重視するもの)

  • 105

  • 本格的に面白くなってきました。
    何年か前に買って積読にしていたのを、昨年酒田に旅行に行くので読み始めて、ときどき思い出した頃に読み進めてきたけど、ここにきて今どハマり中の金カムと内容がリンクしてきて胸躍る展開に。

  •  図書館から借りて読んでいるのは単行本。
     内容は面白いのだが,小説を読み慣れていないのでずいぶんと時間がかかっている。
     第3巻では,いよいよ嘉兵衛が辰悦丸という日本一にの船を作り,箱館まで商売に行くことになる。そして蝦夷と初対面するのだ。
     当時の松前藩の蝦夷の扱い方に対する幕府の捉え方がとても興味深い。今後,嘉兵衛がどのように蝦夷と関わり合っていくのか,楽しみだ。
     ところで,嘉兵衛の航海中に,いろいろな地名が出てくる。当然肝癌線の様子なども…。そこでわたしは,Googleマップを画面に映し出しながら,小説を読んでいた。

    あとがきでは,「灘」「取り付く島もない」の話が興味深い。

  • 江戸後期に廻船業者として活躍した、高田屋嘉兵衛の伝記小説の第3巻です。
    屋号は名乗れないながらも、自らの船で商いをする。
    そんな嘉兵衛の二十代後半の生活から、この巻はスタートします。
     
    蝦夷地の産物を扱うという、大望を抱いていた嘉兵衛。
    兄弟や出身地である淡路の人々に働いてもらい、千五百石もの大船を建造します。
    前半は、その船「辰悦丸」建造、そして蝦夷地への航海が、描かれています。
     
    そして、かなりのページを割いて書かれているのが、蝦夷地に関すること。
    この時代、松前藩はどのように蝦夷地を統治していたのか。
    周辺国は蝦夷地をどのように見ていたのか。
    江戸幕府は松前藩の統治の仕方を、どのように見ていたのか。
     
    嘉兵衛の活躍を読み進めながら、北海道の歴史について、学ばせてもらいました。
     
    続けて第4巻を、読み進めていきたいと思います。
     
    『菜の花の沖 (2)』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/416710587X
     .

  • 大型船「辰悦丸」を入手した嘉兵衛。いよいよ蝦夷地へ。高田屋嘉兵衛の生涯を描く全6巻中の第3巻。

    いよいよ嘉兵衛は辰悦丸を完成させ憧れの蝦夷地へ。そこは松前藩がアイヌ人を搾取する地。一方、ロシアの進出を恐れる江戸幕府。密かに蝦夷地を幕府直轄にすべく調査を開始。嘉兵衛は理想に燃える幕府の官吏たちに心を打たれ協力するが、松前藩との板挟みになる。

    嘉兵衛が利を捨てて蝦夷地の魅力にひかれていく巻。松前に比べ寒村の箱館。東蝦夷地は幕府直轄に。嘉兵衛の新たな挑戦が始まる。


  • 周囲と摩擦が生じ始め、大きな決断を迫られるところ。まぁ、そうだよな。

  • 廻船商人高田屋嘉兵衛の物語。嘉兵衛の人物の大きさ。素晴らしい。司馬さんは初読みだがもっと読みたい。詳細は→http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou23901.html

  • 「儒教という社会の停滞を最高の価値とする思想」(83p)、という断定は刺激的だ。

  • 読了。レビューは最終巻で。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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