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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784167106867
みんなの感想まとめ
物語は昭和の不穏な時代を背景に、新興宗教や軍部、皇室の暗躍を描いた大作で、松本清張の最後の長篇小説として期待が高まります。読者は、クライマックスに迫る展開に引き込まれる一方で、未完のまま終わることに対...
感想・レビュー・書評
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ほぼ終わりにかけた状態で未完。それでも昭和の流れをベースにした大作として楽しめた。
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絶筆!ということは知っていたけど悔しい。ものすごい面白くて、いよいよというところで終わってしまった。吉屋と萩園泰行の再会はあるのか?月辰会(教祖平田と静子と美代子)の皇室乗っ取りの野望は?物語の結末は?まさかあの人がそっち側の人だったなんて!初松本清張にしてこの悔しみ。
しかし、蘊蓄なのか?はたまた事件の布石なのか?判然としないままことの成り行きに振り回される(清張の手のひらで転がされる)心地良さよ。
原武史さんがこの物語の解説と、残された創作メモを頼りに結末を予想しているようなので、そちらを読んでみようか。
昭和10年頃という不穏な時代と軍隊と新興宗教と皇室と、そんなキーワードから奥泉光『雪の階』への連想も。 -
松本清張最後の長篇小説。クライマックスがもうすぐ、というところで「未完」となったことが惜しまれる。
初出が『週刊文春』連載であるため、時折「おさらい」めいた記述が挿入されるのがややまだるいし、探偵役を担う二人(埼玉県の特高係長と貧乏家族の次男坊)とをなかなか接続しない展開は引き伸ばしとも受け取れる。しかし、大本教の流れを汲む神道系の新興宗教と満洲における阿片流通、軍部と皇族関係者(とくに貞明皇后と香淳皇后の対立)の暗躍を盛り込んでいくいあたりはさすがの構想力と唸らされる。1930年代の軍部と「神がかり」とのかかわり/つながりは、のちに奥泉光が『グランド・ミステリー』や『雪の階』で描いたテーマでもある。
清張の発想が面白いのは、新興宗教の問題を徹底的にビジネスとして世俗化した点だろう。ファシズムとオカルティズムの連携はじつは考えるべき問いなのだが、清張の手にかかればすべては金と力と慾の問題に帰着する。しかし作中でも、なぜ陸軍の将官や佐官たちが、「月辰会」のニセ神器に惹きつけられてしまうかは説明されていない。いまならさしずめ「陰謀論」で片づけられてしまうのだろうが、「決断」と「男らしさ」を重視するファシスト的な身体がなぜカルト/超越的なものに魅せられるのかという問いは、内在的に検討しなければならないテーマだろう。それは三島の『豊饒の海』4部作に差し向けられる「問い」でもある。 -
2月21日読了。図書館。
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さすが、松本清張遺作というだけあって、読み応えのある作品だった。
最後の編集部註の中でも触れているけれど、新興宗教と宮中という題材で
2つのタブーに切り込んでいくのに多大なエネルギーを使ったであろう事は
読んでいながらひしひしと感じた。
ミステリーとして読んでしまうと、はっきりとした確信がない想像の部分から
勝手に関連づけて結局それが関連づいてたり、
謎を解いているのが1人ではなかったり、逆の立場の人の視点が入ったりで
「?」と思考が追いつかなくなる箇所はあるものの、
ある意味主人公に視点を合わせるのではなく「神の視点」で
物語を読むようにするとあまり気にならないというか、逆にスッキリする。
本作は未完ではあるものの、大体の殺人事件の真相は読者に理解できるようになっているし
そこに描かれていない部分も最後の編集者註以降で取材班が知らされている内容をもとに
Q&Aとして出ているので物語の底にある大筋もわかると思う。
物語自身もページを捲るのが止まらなくなるくらい次が気になるのだが、
登場人物の1人である萩園泰之と妻のまさ子のキャラが好感度高すぎて
2人のやりとりや友達とのやりとりが読んでて楽しかった。 -
松本清張の遺作。未完の作品だけれど、物語がほぼ完結に至っているのが読者としては救い。
上巻で月辰会や関係者が概ね登場して、下巻では関係者が次々と結ばれていく。時代は満州事変前夜で張作霖爆殺事件も絡んできて読者の関心を引き寄せるのも忘れていない。
宗教物でよくある神々しく美しい女性と神つきと性みたいなモチーフから逃れられてはいないけれど、その薄っぺらさ=フェイクさも同時に語られていて、フェイクであるが故の説得力も語られている。
巻末の編集部註でその後の展開はおおよそ予想はつくけれど、唯一皇居のレシピの話はよくわからないまま。誰か解説してくれているのだろうか。原武史さんの解説本があるようなので、そちらも参照したい。 -
「松本清張」の長篇歴史ミステリー作品で最後の小説となった『神々の乱心』を読みました。
『失踪 ―松本清張初文庫化作品集〈1〉』、『月光 ―松本清張初文庫化作品集〈4〉』、『十万分の一の偶然』に続き「松本清張」作品です。
-----story-------------
〈上〉
昭和8年。
東京近郊の梅広町にある「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。
特高課第一係長「吉屋謙介」は、自責の念と不審から調査を開始する。
同じころ、華族の次男坊「萩園泰之」は女官の兄から、遺品の通行証を見せられ、月に北斗七星の紋章の謎に挑む。
―昭和初期を雄渾に描く巨匠最後の小説。
〈下〉
昭和8年の暮れ、渡良瀬遊水池から他殺体があがった。
そして、もう一体。
連続殺人事件と新興宗教「月辰会研究所」との関わりを追う特高係長「吉屋謙介」と、信徒の高級女官を姉に持つ「萩園泰之」。
「『く』の字文様の半月形の鏡」とは何か?
背後に蠢く「大連阿片事件」関係者たちの思惑は?
物語は大正時代の満洲へと遡る。
未完の大作。
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上下巻を合わせると900ページ余りで時間、空間、テーマともにスケールが大きな作品… 久しぶりの大作でしたね。
時代が大正末期から昭和初期で、当時の行政機構(特に警察や軍、宮中関係組織)がキチンと理解できていないことや、日常において興味の薄い新興宗教がテーマになっていること、知識がほとんどない神事や考古学に関する内容が次々に出てくることから、なかなか内容が理解できず読み進むのに時間がかかりましたねぇ。
大正末期の中国大陸での大連阿片事件や、謎の男「横倉健児」が新興宗教を興そうと企むエピソード、、、
時代は昭和初期に移り、新興宗教「月辰会研究所」と宮中の関係、女官「北村幸子」の自殺、大連阿片事件関係者の殺害事件、、、
それぞれ、別な立場や視点から真実に近づこうとして活動する特高警察警部「吉屋謙介」と公家の「萩園泰之」、、、
序盤~中盤で提示された数々のエピソード、事件や謎に関する絡み合った糸が少しずつ解けはじめたところで… 突然、物語は終わってしまいます。
う~ん、残念… 「松本清張」も書き切りたかったんでしょうが、残念ながら未完のまま召されてしまったそうです。
しかし、巻末に編集部が生前の著者から聞いていた内容から結末を想像する手掛かりが示されており、概ね、結末が想像できる内容になっていたので、モヤモヤは減少しましたけどね。
でも、できることから「松本清張」の手で描かれた結末を読みたかったですねぇ。
以下、主な登場人物です。
「吉屋謙介」
埼玉県特高警察の警部。
普段の拠点は浦和町の県警察部。
月辰会に関わる怪事件を捜査する。
「萩園泰之」
藤原不比等を祖とする子爵・萩園泰光の弟。
吉屋警部とともに本作の探偵役となる。
青山に住み、「華次倶楽部」という公家次男の親睦団体を結成している。
「萩園彰子(深町女官・深町掌侍)」
萩園泰之の姉。
皇宮御内儀に奉仕している。
「深町」は宮中での源氏名。
「伏小路為良」
華次倶楽部の会員で、萩園泰之と親しい。
華族内での情報通。
「北村幸子」
深町女官・萩園彰子の部屋子であり、使いとして月辰会に出入りしていたが、吉野川に謎の投身自殺を遂げる。
「北村久亮」
北村幸子の父。
吉野町の倉内坐春日神社の宮司。
「北村友一」
北村幸子の弟。
春日神社の禰宜。
「大島常一」
埼玉県特高警察課長。
吉屋警部の上司。
「足利千代子(喜連川典侍)」
室町幕府古河公方の末裔。
41年間宮中に出仕したのち、栃木県の佐野に隠棲している。
71歳。 -
全体的ひ読みにくいし、やけに偶然が重なるようにも思う。でも、これから大団円へってところで終わるのは惜しいなあ。つながりがどんどん分かっていくところだよね。
当時の満州や、華族の存在感みたいなものを垣間見られるのは面白かった。
鹿茸って、こんなに効用のあるものだったんだ。何かでもらって、適当に料理して食べてしまった。 -
本書下巻に入って、少しずつストーリーは進み、月辰会の正体が分かってくる。
終わりが近づくにつれて、月辰会会長からの独白が始まるも、未完。しかし、生前の清張と出版担当者と会話などが、巻末に記録されおり、未完ながら読者それぞれが、その後のストーリーに思いを馳せられるような工夫がなされている。 -
未完残念ですが。ワクワクしますね。
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神々の乱心 (下)
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松本清張先生には申し訳ないのですが、期待はずれでした。かなりの長さの上下巻合わせてもクライマックスになるシーンが少なく、月辰会や宮中の関係の話があまりなく、やたら他の背景の説明が長くて、結局何の話を読んでるのかなという感じでした。宮中の派閥争いの話が全体的にあれば話がぼやけなかっただろうに。上下巻にするほど長くする必要はなかったような気がします。
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上巻に同じ。
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未完と知ってたらたぶん読み始めなかっただろうけど、読んじゃったもんは仕方ない。
社会派と言われる真骨頂は、トリックとかではなく、動機やその他の歴史的背景が明らかになったときだと思う。
その深みが作者の死によって中断させられてしまったのは残念というほかない。 -
この下巻の途中で終わっています。途中なので★は三つにしましたが 期待感で五つはつけたい
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未完の大作、
ということを下巻を読み始めたときに知りました;まさか犯人がわからない!?と思っていたけれど、物語はかなり終盤まで描かれていました。犯人も、殺人方法もわかるのですっきり。もちろん解決していない何点かの問題がありますが、巻末に作者が編集者に話した構想がいくつか載っており、それを読みながら想像していくのも楽しかったです。
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