新装版 日本の黒い霧 (上) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167106973

感想・レビュー・書評

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  • 若い頃に読んだ本をまた買って読み直しました。力作ですね。

  • 知らない事件ばかり。サスペンス調で思わずぐいとストーリーに引き込まれる。日本を売った男、伊藤律事件の短編で参照されていた尾崎秀樹の「生きているユダ」をたどって読んでみたが、事件の真相は当事者の証言をもってしても判然としない。別々の証言をする人たちが居る、という事を胸に留める。

  • 日本の黒い霧 (下)

  • 元々は週刊誌に連載されていた物らしい。
    が故に当時としては有名な既知の事実に対しての詳細な説明は省かれている。
    そこが読みづらいのが難点。

  • -108

  • 戦後、日本はGHQの統治を受け、米ソ冷戦が顕在化していた時期に起こった怪事件。推理小説の大家である著者が、様々な文献等からその真相へ迫ろうとするが、1960年に連載された当時は、まだ事件関係者が健在で、実名の掲載を控えねばならないと文中にある。本書の購入動機となった柴田哲孝著『下山事件完全版』と「下山国鉄総裁忙殺論」を読み比べると、推理による真相究明の難しさを感じた。

  • 戦後、占領下の日本で起こった数々の怪事件を松本清張が独自に洗い直す。まだ記憶の生々しい1960年頃に出た本。
    下山事件や帝銀事件など、そのものが暗黒の印象なんだが、松本清張が指摘する背景がスパイやらGHQの暗部やら謀略に満ち満ちて、胸がうずうずするくらいに闇が濃密だった。
    清張の推理の妥当性については批判があるが、本書はそこを追及して読むものではないと思う。
    日本は戦後すぐに明るい未来へ踏み出したわけではない。気まぐれなGHQの正義のもとにあらゆる勢力の暴力がうごめいていた。主権のない国はどう転ぶかわからない危ういもので、国民にはろくに人権もなかったのだという体感が書かれている。
    時間がたった今、もう一度検証しなおすべきことが、戦後には色々とあると思った。

  • なんで?

    誰が儲かったの?

    というような取材報道。調査報道。

    最近、減っていますね。

    そういう読み物にお金を払う人が減ったから、ということなのでしょうけれど。

    当たり前の疑問が、大前提の「なんで?」が放置されたまま報道されています。

    どうして沖縄に米軍基地があるの?どうして沖縄県内で移転しなくてはいけないの?

    どうして憲法を変えなくてはいけないの?

    気持ち悪いですね。

    #

    団塊世代前後の、本を読むのが好きな人は、「ああ、あれね」という有名な本ですね。
    松本清張さんが1960年に発表した、まあ、「(当時の)ほぼ近過去現代史ノンフィクション」。
    この手の本としては、これが嚆矢だったそうですね。

    これも大昔、ほんとうに25年とか昔に、恐らく部分的につまみ読みしたもの。

    内容は、全て戦後直後からGHQの占領下の時代、またはその直後の時代。
    つまり執筆当時からすれば、10年~15年前の、「あの事件は何か政治的に裏があったんぢゃないの?」という疑惑を追求する内容です。

    #


    ●下山国鉄総裁謀殺論

    1949年に、当時の国鉄総裁だった下山さんという方が、轢死体で見つかりました。
    コレはもう、どこからみてもおかしなことだらけ。
    とにかく結果どうなったかというと、直後に予定されていた国鉄の大量リストラが無事に行われて、
    共産党分子が嫌疑をかけられて割と喰った形。
    いろんな説がありますが、「GHQがかかわってたんじゃないの?」。


    ●「もく星」号遭難事件

    1952年に、旅客機「もく星号」が墜落して大勢が亡くなった。
    この事故は、真相がわかるまでに米軍経由でデマが流れたり、事故原因よりも、事故の情報公開にいろんな疑惑が。

    ●二大疑獄事件

    1948年に起きた「昭和電工疑獄」。昭和電工という会社が自社利益のために、政治家に金をばらまいた。
    GHQ内の勢力争いから露見した事件で、当時の革新系の芦田内閣に大打撃。
    1954年に起きた「造船疑獄」。造船業界が利益のために、政治家に金をばらまいた。
    これは当時の吉田内閣が、佐藤栄作幹事長を守るために「指揮権発動」というわけのわからん手段に訴えた。
    ちなみに、佐藤栄作さんは、現首相の安倍さんの身内。

    ●白鳥事件

    1952年に起こった警察官・白鳥さんが殺された殺人事件。
    共産党系の組織的な犯罪ということで落ち着いたけど、「ほんとにそうだったのか?」

    ●ラストヴォロフ事件

    1950年、東京にいたソ連の官僚、ラストヴォロフさんが失踪。
    数ヶ月経ってアメリカで「亡命していました」という会見が行われた。
    なんだけど、これが、「本当に本人?」という疑惑…

    ●革命を売る男・伊藤律

    共産党の伊藤律さんというのが、戦前から特高警察のスパイだったのではないか、というお話。

    #

    恐らくどの話も、松本清張さんの発表から既に50年以上が経過しています。
    ある話は、闇の中のままで、
    ある話は、「どうやら清張さんの誤解だったらしい」という史料が出てきたりしています。

    #

    ただ、当たり前ですが、書き方が巧みなので、どれも文章として娯楽として面白い。

    そして、結局僕たちの戦後史というのが、「アメリカの権力の傘の下で歪められているかもしれない」というのは、実は利害関係の理屈で考えれば至極もっともな視点。

    それは結局、2016年現在の日本の政治を見る上でも、(例外は無論あるにせよ)初期的に持っていないと見誤ってしまう考え方だと思います。

    #

    当然、下巻もあるのですが、連続読み物でもないので、また気が向いた時に(笑)。

  • まあまあかな⁈

  • 反米・反体制の立場で書かれた書だが、期せずしてアメリカの陰謀や白人種キリスト教徒の体質など、戦前日本が煮え湯を飲まされた事象を暴き出しているようで興味が尽きない。

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著者プロフィール

●1909年、福岡県に生まれる。印刷工、新聞社社員を経て42歳で作家の道へ。「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。『点と線』『眼の壁』『砂の器』『ガラスの城』『黒革の手帖』など推理小説の第一人者として多くの作品を発表する一方、『日本の黒い霧』『昭和史発掘』などノンフィクション分野でも活躍。日本ジャーナリスト会議賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、朝日賞など受賞多数。1992年死去

「2017年 『徳川家康 (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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