考えるヒント (3) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 206
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167107031

作品紹介・あらすじ

事物の核心を衝く鋭い感性と深い思索の小林秀雄講演集。生と死、美を求める心、喋ることと書くこと、政治と文学、悲劇について、表現について、など十二篇を収録。(江藤淳)

感想・レビュー・書評

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  • 「2」に完敗した。いやまるでその難解さに歯が立たなかった。悔しさと劣等感とで仕返しのように流して読んでやろうと、再度齧り始めたら驚きの咀嚼易さだった。しかも今まで読んできたどの文化評論よりも内容が濃く、今まで触れてきたあらゆる言説を網羅していた。
     現在までの文化批評なんざ、およそ小林秀雄の焼き直しに過ぎないということがわかってしまった。
    軽いのも、重いのも、わかりやすいのも、難しいのも。

  • 「夢もまた人生に必要ではないか、と。しかし、夢とは、覚めてみればこその夢なのではないか。日常の通念の世界でわれに還るからこそ、あれは美しい夢だったと言うのではないか。そして、通念とは万人の夢ではないのでしょうか。」(私の人生観)

    考えるヒントは私にとって、food for thought(思考の糧)であり、とてもすべてを理解したとは言い難いが、それでもなお率直な語りに刺激を受け、開眼させられることが多い。氏の文章を読むにつれ、もう一度日本の歴史を、中でも文学の歴史を、万葉集、西行、芭蕉、本居宣長と辿ってみたくなった。

  • 何度も何度も読み返している。

    小林秀雄の凄いところは、一旦小林秀雄を離れて周遊し、別のジャンルで知見を得た後に、再び小林秀雄に戻った時に感じる。新たな発見がその都度出てくるのだ。

  • 「読書力」おすすめリスト
    3.味のある人の話を聴く
    →「人形」は必読。

  • 講演などを書き下ろしたものが多くなり、前巻よりは読みやすい。
    戦争で旦那さんを無くした婦人が、旦那さんが死ぬ瞬間を夢で見たというエピソードに対するベルグソンの態度を書いているが、そのことをあるがままに受け入れるといった内容に感銘を受けた。
    でも、やはり難しい一冊である。

  • 私が秀雄信者なのは、何もイケメンだからだけではないのですよwwww ジブリ風に言えば「カッコいいとはこういうことさ」

  • やっと読了!昭和15年から49年までの講演集。「ドストエフスキイ七十五年祭に於ける講演」ロシア社会革命と文学者の話が興味深かった。
    このシリーズの4は中也がテーマなんだよなー。面白そう。

  • 3から読んだから

  •  論理とはまた異なる、別のものがあるのではないか。そんなものを思わせる本であった。小林秀雄は、読めば読むほど奥深く、鋭いものだ。

  • (2004.04.11読了)(2001.12.21購入)
    副題「小林秀雄講演集」
    本の中扉に<小林秀雄講演集>とあるので、あちこちで行った講演を文字にしたものを集めてある。
    ●信ずることと知ること
    ベルグソンの話と柳田国男の話を引き合いに出しながら不思議を不思議と受け取る素直な心が失われつつあることを嘆いている。
    ベルグソンの話。「ある婦人が夢を見た。夫が遠い戦場で戦死した時、ちょうどその時刻に夫が塹壕で倒れたところを夢に見た。それを取り巻いている数人の兵士の顔まで見た。後で調べると、夫は夫人が見た通りの格好で、周りを数人の同僚の兵士に取り囲まれて死んだということがわかった。」これに関するベルグソンの考えは「夢に見たとは、確かに念力という未だはっきり知られない力によって、直接見たに違いない。そう仮定してみることが自然だし、理にかなっている」というものです。
    この話を聞いたある医者は、「昔から身内のものが死んだ時、死んだ知らせを受け取ったという人は非常に多い。けれども、その死の知らせが間違っていたという経験をした人も非常に多い。たくさんの正しくない幻をほっといて、正しい幻のほうだけに気を取られるのか。」と答えたそうです。(これが近代科学の考え方です。)
    ●美を求める心
    「近頃の絵や音楽は難しくてよく判らぬ、ああいうものが解るようになるには、どういう勉強をしたらいいか、どういう本を読んだらいいか、という質問に対する答え」
    「絵は、眼で見て楽しむものだ。音楽は、耳で聞いて感動するものだ。頭で解るとか解らないとか言うべき筋のものではありますまい。まず、何を措いても、見ることです。聞くことです。」ピカソの絵を見てわからないのは、見慣れていないからだ。
    もっともなことで、僕自身もマーラーの交響曲第一番「巨人」やストラビンスキーの「春の祭典」を最初に聞いたときは、ちっとも楽しめなかったけれど、今は、楽しんで聞ける。
    ピカソ、カンジンスキー、クレー、ノルデ、ド・スタール、フォンタナ、ポロック、等も十分楽しめる。展覧会を見に行ったら、説明を読む時間より、絵を見る時間をより多くとるべきだ。説明を読むのも見る参考になるけど、説明を読むのに1分、絵を見るのは20秒ではもったいない。絵を見るのを2分とか1分20秒とかにすべきだ。
    「見ることも聴くことも、考えることと同じように、難しい、努力を要する仕事なのです。」
    ということは、やっぱり、何をどのように見、何をどのように聴いたらいいのかを学ぶ必要があるのかもしれないし、学ばずして感じることができる人だけが芸術に親しむことができるということなのかもしれない。
    「立派な芸術というものは、正しく、豊かに感ずることを、人々にいつも教えているものなのです。」
    ●政治と文学
    「きけわだうみのこえ」に収められた手記について
    「戦争の不幸と無意味を言い、死に切れぬ思いで死んだ学生の手記は採用されたが、戦争を肯定し喜んで死に就いた学生の手記は捨てられた。その理由が解らぬなどといわぬが、あの本に採用されなかった様な愚かな息子を持った両親の悲しみを思った。」
    これは、小林さんの、時代に迎合するジャアナリズムの危うさに対する警告と読むべきか?
    ●文学と自分
    「事変の始まった当時、戦争に処する文学者の覚悟如何という回答を雑誌社から求められたことがあった。戦うのは兵隊の身分として戦うのだ。銃をとる時が来たらさっさと文学など廃業してしまえばよいではないか。」
    「一文学者としては、あくまでも文学は平和の仕事であることを信じている。」
    (これは、1940年の講演)

    ☆小林秀雄さんの本(既読)
    「私の人生観」小林秀雄著、角川文庫、1954.09.15
    「無常という事」小林秀雄著、角川文庫、1954.09.20
    「ドストエフスキイの生活」小林秀雄著、角川文庫、1955.08.20
    「ゴッホの手紙」小林秀雄著、角川文庫、1957.10.30
    「モオツァルト」小林秀雄著、角川文庫、1959.08.10
    「モオツァルト・無常という事」小林秀雄著、新潮文庫、1961.05.15
    「対話 人間の建設」岡潔・小林秀雄著、新潮社、1965.10.20
    「近代絵画」小林秀雄著、新潮文庫、1968.11.30
    「考えるヒント」小林秀雄著、文春文庫、1974.06.25
    「考えるヒント2」小林秀雄著、文芸春秋、1974.12.10
    著者 小林 秀雄
    1902年 東京生まれ
     東京大学仏文科卒
    1929年 「様々なる意匠」雑誌「改造」の懸賞論文に入選
    1953年 「ゴッホの手紙」読売文学賞受賞
    1958年 「近代絵画」野間文芸賞受賞
    1959年 芸術院会員
    1967年 文化勲章受賞
    1978年 「本居宣長」日本文学大賞受賞
    1983年3月 死去

    (内容紹介) amazon
    好評の「考えるヒント」1・2に続く小林秀雄ファン待望の第三弾。巻頭に書き下ろし最新稿を、そして文藝春秋発表、単行本未収録の論考などをも収録した充実篇

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