片想い (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2004年8月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (624ページ) / ISBN・EAN: 9784167110093

みんなの感想まとめ

内面の葛藤や生きづらさを抱える人々の姿を描いた作品で、性同一性障害というテーマに深く切り込んでいます。タイトルからは甘いラブストーリーを想像しがちですが、実際には登場人物たちの苦悩や、世間の無理解に対...

感想・レビュー・書評

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  • 性同一性障害
    この本の単行本が発売された時
    ミッツマングローブさんや
    マツコ・デラックスさんが
    活躍し始めて はるな愛さんも
    この性同一性障害のことを
    メディアで沢山話してたのを
    記憶している。

    この本のタイトルから甘々の
    ラブストーリーを連想させられるけど
    そうではなくて、誰もがもつ内面の葛藤だったり
    半陰陽 という性分化疾患の人もいることを
    この本で知ることができた。

    そんな生きずらさを抱えながら
    必死に『自分らしく』生きようとする切ない姿を
    ミステリー要素を交えながら、東野圭吾さんは
    伝えてくれたのは。。。

    『人間は未知のものを恐れます。
    恐れて、排除しようとする。』

    どんなに理解させようと行政やマスコミが
    伝えても。。。

    この本は何度も何度も読み返してるけど
    やるせなさとか どうにもならない悔しさとか
    言葉では表現できない気持ちが押し寄せてきて
    いつも同じところで泣いてしまう。。。

    読んでる途中
    何度も何度も
    斉藤和義さんの『男と女』のフレーズが
    思い浮かんで。。。

    • 雷竜さん
      ぼくもこの本で泣きました。
      ぼくもこの本で泣きました。
      2025/10/19
  • 2004年初版。でも、ジェンダーの問題がここまで複雑で繊細なものとは知らなかった。ミステリー作品としてより、こちらで頭がいっぱいになった。

  • 東野圭吾読み直し44冊目。
    「性同一性障害」に焦点を当てたミステリー。
    性同一性障害に悩む人の苦悩や葛藤、また世間の考え方などを背景に、いろいろな視点で考えさせられることがあった。
    登場人物は、主人公のアメフト時代の同級生達が中心で、スポーツをやってきたためか、一人一人確固たる信念みたいなものを持っており、かっこいいと感じる場面もあった。
    性同一性障害に関する話が大部分を占めるが、普通にミステリーとして楽しめる本。

  • 男と女の関係は表と裏ではなくてメビウスの帯であるというのが印象に残った。性同一性障害や半陰陽、同性愛などさまざまな人の葛藤がミステリーと絡んで進み、性別はヒトを二分するものではないと考えさせられた。

  • 甘酸っぱい恋愛小説のようなタイトルだけど、そこは東野圭吾作品。
    アメフト部OBの人間模様。そこに絡むジェンダーの問題。
    殺人事件の真相、結末。
    600ページ超の長い物語だけど飽きることなく読めました。
    友情と愛情。男と女。様々なかたち。
    深く感銘を受けた作品のひとつになりました。

  • LGBTQが昨今よく話題に上るようになったけれど、これは1999年に書かれたと思えない性同一性障害を題材としたミステリ。

    精神としての男と女は誰しもはっきりと分けることは出来ない、というのがなるほどと思った。人間はなんでも言葉にあてはめて区別して考えがちだけど、そもそも物事はそんなに単純ではなく、多面的で多義的。人生とはすべからくメビウスの帯のうえを歩いているようなもの。そしていつも理解してくれない反対側へ片想いをしている、という示唆に富んだストーリーだった。

    「私は性同一性障害という病気は存在しないと考えています。治療すべきは、少数派を排除しようとする社会のほうなんです」

  • 「片思い」という題名だったので、切ない恋愛ものかなと思いながら読み始めましたしたが、まさかのジェンダーがテーマの物語でした。2025年の今でこそ、多様な性自認への認識が一般的になっていますが、これを執筆していた2000年に、このテーマで作品を世に出そうとする作者の時代の先取り能力には、畏敬の念しかありません。私が2000年に考えていたことと言えば「ノストラダムス当たらんでよかったー!」ぐらいなものでした。性自認には、はっきりとした境界はなく、時と場合によっても変わるという見解がとても興味深かったです。作中の「私は性同一性障害という病気は存在しないと考えています。治療すべきは、少数派を排除しようとする社会のほうなんです」というフレーズが心に響きました。あれから20年以上たった2025年の今現在、美月さんは、どこでどんな暮らしをしているのだろうか…少しは暮らしやすくなっただろうか…そんな思いをめぐらせています。

  • 10年前に一度だけ読んで、とてもいい作品だということと、QBという人が出てきたことは覚えていた。
    性同一性障害に対して、美月の在り方だけでなく色々な人の違いが描かれており、凄いなと思った。
    ジェンダーに対して言及することは中々難しいけれど、メビウスの帯という表現で合点がいった。
    人間は皆メビウスの帯の上に存在するのだから、誰はどこなんて、他者のことを決めつけることは、良い悪い以前に不要な議論なのかもしれない。
    芸能界などでは個性のある人のほうが人気が出る傾向にあるし、一般人でも同じように思う。その中で何故ジェンダーの問題になった時だけ、自分と彼ら彼女らは別の人間であると遠慮し区別してしまうのか。
    『片想い』が出版された当時よりも性差別は無くなってるのではないだろうかと私は思ったけれど、実際のところは分からない。
    同じメビウスの帯の上に居るのだから、分かり合えずとも当事者意識を持ったほうが。曲った性差別を解消していくことは、自分は性差に悩んだことのないと考えている人間のことも無意識で救うことになるはず。

  • 何回も読み返している大切な作品。

    初版は2004年だが、昨今、更に社会で課題化されているLGBT、性同一性障害に早くもスポットをあてた作品である。
    全編を通して男と女とは、男らしさ女らしさとはを私達に問いかける。
    登場人物はそれぞれの「男女の性差」を自分の言葉で表現している。自分のと何が近いのかを考えるのもおもしろいかもしれない。

    毎回泣いている。

  • 心に沁みた文章。

    『性別なんてどうだっていいじゃないか。
    本人が男だっていうんだから、それでいいじゃないか。
    なんで、きちんと書類にしなきゃいけないんだ。
    書類に書いてあることは、いつも真実なのかよ。
    そんなことないだろ。』

    誰もが幸せになれる世界になれますように。

  • 「片想い」いや600ページの重さを読んでいくと、この本の題名の意味合いが変わっていく。一度だけの愛の相手は片想い?いや、そうじゃない!愛の相手の本当の姿が見えない。必死になって見つけようともがく西脇哲朗。相手は日浦美月、ジェンダー。
    ところが、もっと複雑。男と女の間にいるようだ。美月もそのことに気づかなくてもがき苦しみ、そのことから逃げる。メビウスの帯のように表が裏で、裏が表。xとy染色体の世界のちょっとしたいたずら。それが哲朗や美月、そして周りの人間を苦しめる。
    余韻がいつまでも残る作品。

  • 3.5評価
    アメフト部だった仲間の話し。久しぶりに会ったマネージャーの美月が男になっていた。美月から人を殺したと告白される。自首はさせずに匿ることとする。学生の頃に付き合っていたノンケの中尾が性同一性障害のために戦うように決意した理由が納得できなかった。
    哲郎の妻が理沙子が気が強くてやっぱり嫌い。

  • 他の人も書いてるけど、性同一性障害が主軸にあるお話。
    完全な男も完全な女もなく、男でも女っぽいところはあるし、女でも男っぽい瞬間はあって、その程度差により心と身体の性が不一致になる人もいると。現在では当たり前みたいな話だけど、この小説が書かれた時代にこのテーマで小説が書ける東野圭吾さんの才能は凄いど思う。
    当たり前って書いたけど、実生活では依然として偏見や差別が横行しているのが現実。こないだ、心が女の人が女湯に入って大騒ぎになったニュースがあったけど、やっぱり、男女を区別しているうちはいろいろ難しいだろうねぇ。

  • 2004年発刊の文庫なので、もう10年以上前の作品ですが、
    ここのところのガリレオor加賀恭一郎ばかりではなく、
    こういう書き下ろしにも力が入っていた時期かな、
    と勝手に思っている頃の作品です。
    (この前くらいには秘密を上梓しています)

    おそらく2005年ごろに人からお借りして読んだような記憶があるのですが、
    ほぼ内容を忘れていたため今回買って読むことにした次第です。

    一応東野さんらしく、殺人事件が軸になっていて、
    そこを中心にストーリーが展開していくわけですが、
    やはりここも東野さんらしく、その登場人物たちの抱えている事情が
    殺人事件以上に物語を彩っています。

    主人公は元アメフト部のクオーターバック、
    その奥さんは当時の美人マネージャーです。
    そこへ当時一緒にマネージャーをやってた
    日浦美月という女性が男性になって姿を現した、
    というようなところから話が始まり、
    殺人事件に深く関わっている美月をどうにかして守ろうと、
    主人公たちが奔走していくことで物語が進んでいきます。

    途中で美月が抱える性同一性障害に関連して、
    色々な登場人物からジェンダーに対する意見・見解が出てきます。
    この物語で一番の肝は多分ここだったのかなと思いました。

    男とは何か?そして女とは何か?

    ただの性染色体のXXとXYの違いということではなく、
    心が男、心が女というのは一体なんなのか?

    そういう問いに対しての、
    現在の日本社会の許容性の低さへの警鐘や
    実際に自らの性へ違和感を持っている人たちの声を届けるため、
    この小説を書き上げたんじゃないかなと思いました。

    その中で男と女の関係を評して、ある人物が言います。
    「男と女ってのはメビウスの輪みたいなもの。
     普通は表はどこまで行っても表、裏はどこまで行っても裏だけど、
     このメビウスの輪は表だと思って進んでいたらいつの間にか裏にいる。
     そういう風に繋がっているのが男と女なんじゃないか」
    (かなり短くまとめてます)

    言いえて妙だな、と思いました。
    自分の中の男性性と女性性は否応無く存在しています。
    男だから男らしいことしかしないわけじゃない、考えないわけじゃない。
    でも、表面上は男らしさという社会が作ったレッテルに
    合わせて生きている部分はあるように思います。
    これ、それぞれは違和感なく同居してるんですよね。
    マーブル模様のように存在してるんです。

    だから男が男として存在しているのは
    その90~95%程度男っぽく出来ているから。
    女が女として存在しているのは
    その90~95%程度女っぽく出来ているから。
    ただそれだけのことなんですよね。
    そのバランスが偏ってなかったり、
    自らの身体の性とは違う方に偏ってしまったりする人が、
    性同一性障害となってしまうんだと思います。


    社会が作ったレッテルというものの多くは、
    こういう小説や映画、テレビなどから学んできたと思いますが、
    その小説からまたそれを考えさせられるというのは
    なかなかに面白い体験でした。

    単純に東野圭吾ファンでなくとも、
    こういうテーマに興味がある人ならおススメの一作です。

  • この小説を読み、過去の友人を思い出した。彼は女の身体と男の心を持つ人だった。胸をサラシで潰し、髪は短く切り、男性ホルモンを注射していた。喉仏が出始めて声変わりしていく様子、髭が生えたり筋肉がつき始める身体的な変化と共に、精神的に不安定になりやすいこと、自殺未遂をした過去についても話してくれた。当時の私はまだ幼くてトランスジェンダーという存在を知らず、「珍しい=カッコいい」という単純な思考だったおかげで、彼の身体の変化や彼女との交際の話も素直に聞けた。彼は面白い話でよく笑わせてくれたが、この小説に出てくる人たちのように辛い悩みを抱えていたのかと思うと苦しくなる。彼の存在のおかげで、トランスジェンダーに対する抵抗や偏見を持つことなく育ってこれた私は幸運だと思う。非常に繊細なテーマをミステリー小説としてここまで昇華させた東野圭吾氏に拍手を送りたい。

  • 大学アメフト部の仲間が卒業後13年目で迎えるかつてのマネージャーだった女性が絡んだ殺人事件。そしてその女性美月は主人公のQB西脇哲朗の同じマネージャーだった妻理沙子の親友で、久し振りに現れた時、殺人を告白し、そして心は男性になっていた。
    かつての仲間のそれぞれの人生、殺人事件に絡む人間の人生、複雑な人間模様が絡んで、単なる殺人事件ミステリーではない、性同一性障害と言われている人達の苦悩、そして殺人事件の真相と結末に驚愕し、愛と友情に感動する。

  • 前に人種差別や貧困を題材にした小説を呼んだ時にも思ったけど、こうした答えのない複雑な議題を投げかける作品好きなのかも

    他の人も書いてるけど20年以上前にジェンダーをテーマにした東野圭吾の先見の明がすごすぎる

    女性とは男性とはと定義付けすることが人を苦しめることがあるというのも納得、気をつけたい

    早田は主人公の敵?のような書き方をされていて、最後どんな風に関わるのかなと読んでた中で最後の関わりは熱かった、全体的に満足の1冊でした

  • タイトルだけを見ると、甘酸っぱい恋の物語かと思っていたが性に関するかなり複雑な話であった。それに、これほど長い小説を読むのは久しぶりだったので読み終えるのに10日ほどかかってしまった。
    この中で性同一性障害という病気は存在しない。治療すべきは少数派を排除しようとする者である。
    と東野さんは言っていて、今となっては社会のLGBTの理解が少しずつ進んできてはいるように感じるが、まだまだ理解出来ていない部分が自分にもあったなと感じた。
    他の方も言われているようにこの時代から性の同一性について小説を書ける東野さんはやはり天才だと思った。

  •  ミステリー部分はは安定の東野圭吾クオリティという感想でした。東野作品は先端の題材を上手く取り入れて執筆されているので、過去の作品を読んでも古さを感じないのが個人的に好きな所ですね。

     ここからは大筋から離れますが、主人公夫婦の仲がアレでソレなのも安定の東野作品といった感じでした。作者も離婚経験があるので、それが作品に影響しているのかもしれませんが、私が一生独身でいたいと思うようになった原因の数割は子どもの頃から読んでいた東野作品にあると思います。

     また、青春時代に築いた絆は強くて切れないものなんだなぁと思わされました。もちろん、この作品のような題材で絆がどうこういう訳ではありませんが、ロクでもない青春時代を過ごして来た人間にとって、このような関係が少し眩しく見えるのも事実です。

  • 毎回ここまで深い社会テーマを題材に小説を書けることに感嘆せずにいられない。

    性別とは厳密に言えば明確に男と女に分けられるわけではなく、メビウスの輪の様に繋がっているものだと言うのは現代の考え方に即している。

    2004年に書いているとは思えない

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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