容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167110123

感想・レビュー・書評

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  • かつての親友で大学の同期、石神の完全犯罪の謎に挑む。
    親友の関係だったからこそ分かる何気ない異変や表情の動き。
    葛藤しながらも最後まで親友の思いを汲んで結論を出したのだろうと思うと胸がいっぱいなった。

    石神の最後の手紙は靖子への深い愛情を十分に感じた。石神が靖子を大切に思い続けたように湯川先生も親友の石神を好敵手として友人として思っていたのだと思う。だからこそ最後の場面で石神の両肩に手をそっと置いたのだと思った。

  • 市井の片隅で殺人が起こった。元妻が殺したのは、娘のために必死で働く元妻にしつこく金をせびり、暴力も振るう元夫。その現場のアパートの隣には天才数学者のストーカー男が居て・・・。世の中からはみ出してしまう人々の哀切な感情模様のミステリー。

    ちょっと前話題になっていて、まだ読んでいなかったの?と言われるだろう一冊、直木賞受賞作。この文庫版33刷、やはり読み継がれているのだなあ。主人公湯川学の知識豊富が売りのガリレオシリーズということで続いているらしい。本当にありそうでよくできている、また、ところどころにある数学の考察が面白かった。

  • いろんな所で評価がよかったから買ってみた小説

    どうゆうトリックかわからず、最後は予想外のトリックはびっくりした。

    最終的にはちょっと悲しい感じに終わったが、天才同士の対決はいい対決だった。

    刑事の人はちょっと博士に頼りすぎのような気もした。

    「思い込みの盲点をつく」これを学んだ小説でした。

    • きのPさん
      映画化作品の容疑者Xもオススメですよ!!
      映画化作品の容疑者Xもオススメですよ!!
      2019/08/20
  • ガリレオシリーズで長編の作品ですが、それまでのシリーズは短編だったので、サクサク読めて、長編はどうなるのだろうと期待して読みました。推理小説?と言えるのかと思うくらい奥深いストーリーでした。
    まさかガリレオシリーズで胸に刺さるとは、思いもしなかったことをよく覚えています。
    ストーリーとしては、「古畑任三郎」のように犯人はわかっていて、完全犯罪をどう崩していき、追い詰めるのかという展開ですが、どんどんページをめくるたびに「え?」と驚くところが多数ありました。読めば読むほど、改めて東野圭吾さんの凄さに感銘を受けたことを今でも記憶に残っています。
    謎解きを含めて完成度は高く、すべてを読んだ後に題名を改めてみると、切ないというか、儚いというか、純粋というか何とも一言では言い表せない愛の深さに惹きつけられました。
    東野作品の中では、必ず通ってほしい作品です。ぜひ一読してみては。

  • 読み終わった後感動で胸が震えました。
    あやうく涙が出そうでした。

    容疑者Xの献身。
    タイトルからして一度見たら忘れないインパクトのあるタイトル。
    黒い表紙に赤いバラが一輪。
    その全てが感動に色を添えてると思いました。

    とにかく内容は何も語れません。
    下手なことを書いて少しでも小説の内容が分かるようなことはしたくないです。

    中盤から話の中に引き込まれて、小説の風景が見えてきました。
    登場人物の誰かになってこの本の中にいました。
    ここまで引き込まれるのは久しぶりです。

    実は私、東野圭吾さんの本の中でガリレオシリーズは好きじゃないんです。
    でもこれは別格だと思いました。
    まったく違う雰囲気だと思います。

    また、この作品は映画化されるようですが、作中の石神さんは私の中のイメージでは完璧に温水洋一です。

  • 前作までと変わり長編だったのに、だからこそ一気読みしてしまった。
    ネタバレから入るが、死体を隠すために死体を増やすのは大胆で衝撃的だった。
    天才的にロジカルな証拠隠滅(穴だらけの計画を立てるわけがない)と、靖子の突発的な殺人が組み合わさって平行線になって捜査が難航していたのは面白い。

    石神と工藤の悲しい程の対比も石神という人間をよく表していたと思った。
    堂々と会って嘘をつかない工藤、隠滅のためにあらゆる嘘を積み重ね靖子とは会わず電話も一方的にかけるのみ。
    工藤の写真を撮ったときは石神が嫉妬しているからと思ったが、自分がストーカーになり済ますという切り札はまさに「献身」というワードがピッタリだなと思った 。
    論理的な思考が天才的であっても、人間味のある部分である恋心から綻びができる。罪悪感(適切では無いかもしれないが良い語彙が思いつかない)から靖子は自白し真実が明らかになるのも科学と感情の揶揄ように感じた。

  • 読了後、やるせない気持ちになった。
    石神の無償の愛には涙したし、何故そこまで自分を犠牲にしてまで花岡母娘を守りたかったのかを考えると切なすぎる。

  • 山程ある東野作品の中でも、必ず上位に食い込む名品!
    トリックの意外さや天才同士の駆け引きも十分面白いのだけど、あの結末をどう捉えたら良いのか…
    なかなか読み手に考える余地を残した素晴らしいラストシーン。

    ああ切ない。

    ………………………………………………………

    もうここでストーリーやトリックのことは言うまい(他の方がすでに十分レビューされているので)

    果たして、石神がしたことは花岡親子を本当に助けたことになったのだろうか?

    【心に曇りを持たぬまま工藤のもとへ飛び込んで行けたらどんなに幸せだろうと思った。だがそれは叶わぬ夢だ。
    自分の心が晴れることはない。
    むしろ、心に一点の曇りも持っていないのは石神だった。】

    花岡親子が犯した罪。
    その罪を隠すために石神が犯した罪。
    全てを自分に取り込み、退路を断ち、逮捕された石神。
    残ったのは彼に対しての重すぎる罪悪感だ。

    それらを全て背負い、死ぬまで秘密を抱えて別のスタートを切って幸せになる
    自分が心から愛した靖子は、そういう風に生きていける女だと石神は思っただろうか?
    そもそもそういう風に生きていける人間など、果たしているのだろうか?

    小説では石神の見た目のコンプレックスにもかなり重きを置いていたように思う。

    ずんぐりした体型。大きく丸い顔、
    細い目、薄くなった毛髪。
    いつも同じような服ばかり着ている。
    そして、自分のような男が靖子に気があることすらひた隠しにする。
    今まで数学のことしか関心がなかった彼は、恋をして笑われるのが怖くなった。

    石神は事件に関わった事で思わぬ機会を得た。
    これで心置きなく靖子に犠牲を捧げることができる。
    しかもこれは絶対の秘密だ。
    誰にも知られない形で、花岡親子のみが自分の愛を知る事になる。
    (マジのトリックは彼女らにも極秘だけど)
    これは石神にとって願ってもない機会だったのではないか、と思ってしまう。
    自分を貶めることすら構わない。
    彼の愛の深さに、心を揺さぶられる。

    それは愛に見える。
    けれど、その愛は彼女らが罪を償って身軽になるという権限を永遠に奪ってしまう事になる。

    果たしてラストは良かったのか悪かったのか…
    石神・湯川のキャラクターの素晴らしさ、ミステリーとしても超弩級の魅力を持ちながら、哲学的な余韻も残す、まさに素晴らしい作品。

  • あまりにヒットメーカーなのであえて避けて通ってきた東野圭吾氏の代表作を読んでみた。

    いやはや面白かった。
    はじめから犯人が分かっているのに、次の展開が楽しみでページを捲る手が止まらない。
    サクサク読めるというのはとてもよい読書体験だとあらためて感じた。

    今まで避けてきたことを後悔というより、これから氏の膨大な作品群に触れられるという喜びの方が大きい。

    次は何を読んでみようかなぁ?

  • ガリレオシリーズ初の長編。
    色んなトリックがとき明かされるラスト、ほんとに声が出そうなくらい…驚きました!

    のめり込んで、サクッと読み終えました。
    すごく好きな作品です!
    面白いし切ないし、色んな形の愛をみせてもらいました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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