聖女の救済 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 1027
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167110147

作品紹介・あらすじ

『容疑者Xの献身』から3年。今度のガリレオの敵は、女!
男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。湯川が推理した真相は「虚数解」だという
ガリレオシリーズ長編がついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾さんの作品は無理なくすっと入っていけて、そのままじっくり安心して楽しめる作品なので、何冊かキープしている→これが妙に精神を安定させる。で、手に取るタイミングもあって、いつでも読みたいときに読むのではなくて、自分へのご褒美的な→何か頑張った後とか、少々落ち込んでいるとか→タイミングで手に取ると、期待する通りの効果をもたらしてくれる不思議なご縁のある作家さんのお一人。

    今回は初めは短編かと思う勢いで容疑者が絞られていく中で、兵庫県のスプリング8まで登場してあり得ない犯罪を推理していく過程は「おもしろい」だけでは表現しきれないほど、本の中に入り込んでしまった。とても楽しい時間が過ごせた。感謝。

  • 最初の段階で犯人は分かりますが、考えてもトリックが分かりません。天才湯川も「おそらく君たちは負ける。僕も勝てない。これは完全犯罪だ。」と珍しく弱音を吐いています。トリックが分かってもこれは完全犯罪だと思いました。相当な憎悪や執念がないと成し遂げられない完全犯罪です。東野圭吾さんの本はやはり読みやすくすぐ物語に入り込め、一気に駆け抜けました。家族で読みながら、どのようなトリックか推理しながら読み、より楽しめました。

  •  出版後、すぐにハードカバーで読みましたが、先日のドラマされたものを観て、「あれ、こんな話だったかな?」と思い、再読。
     
     原作はもちろんとてもよい作品なのですが、ドラマ版もよく2時間にうまく収めたなと関心しています。時間の都合上、登場人物や犯行動機、トリックも大きく変更されているところがあり、それは別の作品としてみればおもしろいと思いますが、やはり原作の奥深さは超えられません。ドラマ版しか観ていない人は是非、原作も読んで欲しいと思います。

     この作品を初めて読んだ時、思い出したドラマがあります。『古畑任三郎』シリーズの『ニューヨークの記憶』という、鈴木保奈美さんがゲスト出演されている回です。夫を殺したものの裁判で無罪判決となり、完全犯罪を成し遂げた女性が、そのことを「ある友達の話」として、偶然長距離バスで隣り合った古畑任三郎に話して聞かせるというもの。(うろ覚えなので間違っていたらすみません、)
     
     綾音も、ほんのあと少しで完全犯罪を成し遂げられたのに……という思いで二度目を読み進めました。完全犯罪を遂行するためには、炎のような執着心と氷のような冷静さ、気の遠くなるような精神力、忍耐力、綿密な計画性が必要不可欠で、それは女性にしか無理なのではないか……と、この2つの作品を通して思いました。

     この作品の評価は分かれると思います。こんなトリックはどう考えても無理だと思って白けてしまう人。「理論的にありえても、現実的には考えられない」方法に夢をみる人。私は後者でした。1年間も夫を浄水器、いやキッチンにすら近づけさせず、夫を守る聖女のように、真柴の言葉を借りれば「リビングの高価な置物」としてパッチーワークをしながら佇んでいる綾音の姿を想像すると、胸が震えます。

     
    以下、自分メモ↓
    ・草薙が如雨露代わりの空き缶を取っておいたのは、ただの刑事の勘だけではなくて、彼も綾音を実は疑っていたということを表しているのではないか。大学時代の捨て猫を介抱している場面で「(介抱しようがしまいが、どちらにせよ猫は死んでしまうが)それがどうした。」という発言をしている。綾音が犯人かもしれない、でも「それがどうした」、ただがむしゃらに他の犯人の可能性を否定しないで捜査し続けたのかと。
    ・内海は今回、いつもにもまして鋭い推理をしていたと思います。シャンパングラスや化粧直しの痕跡など、女性らしい細やかな視点での推理がおもしろいです。
    ・ドラマ版の良い点。天海祐希の演技。しっとりと抑えた演技が素晴らしかったです。真柴との仲睦まじい回想シーンもその後に続く展開を知っているだけに、より優しく残酷に映し出されていました。庭とベランダにある花をパンジーではなく、薔薇にしたのも華やかになりよかったと思います。映像化ならではですね。湯川と綾音が一緒に博物館にいって恐竜のCTスキャンの話をしたのは良かったと思います。
    ・ドラマ版の悪い点。2時間に収めるためには仕様がなかったのかもしれませんが、登場人物を大きく削ったために、犯行動機の重さを表現できていなかったのではないでしょうか。また、湯川と綾音が同級生だったという設定もなくてもよかったのでは。『容疑者Xの献身』での湯川の悲壮が報われないと思ったのは私だけではないはずです。

  • ガリレオシリーズ。
    犯人が誰かというより、どうやったのか、何故そうしたのかを追いかけるミステリ。
    すっかりドラマのキャスティングで読んでしまう。

    思わせぶりな発言の湯川先生に引っ張られ、あっという間に読了。そしてそのトリックに脱帽。
    完全にミスリードされていて、思わず頭からまた読み返してしまった。

    今回は容疑者に恋心を抱いてしまった、草薙刑事の想いとその結末も切ない。

    こんなところで久しぶりに虚数解なんて言葉を聞くとは。
    虚数解=i =愛とかかっているのかな。

    福山雅治の曲を聴いちゃうのは、何のサービスなんだろう 笑

  • ガリレオ・シリーズの長編第二弾、前作"容疑者Xの献身"が男の情念を描いたものならば、
    こちらは女性の情念を描いた、とも言えましょうか。

    相変わらずに読ませる構成で、一気に読んでしまいました。

    - それが女性なんです

    内海さんがいい味出していると、思います。
    "救済"との言葉の真意を知った時、背中がゾッとしました。

    ん、それにしても湯川さん、イメージがすっかり福山さんになってますね。

  • 草薙がかっこよかった

  • ガリレオシリーズ 2作目の長編

    容疑者Xの献身とどうしても比べてしまい、それにしてはスリス感が全くないなと思った。
    けれど、こんな内容を思いついてすごいなと思います。犯人は最初からわかってしまっていたけれど、どうやって犯行したのか全くわからなかった。

  • ガリレオシリーズとしては2作目の長編。

    読み終わって最初に思ったことは、恐ろしく執念があるというのが記憶にあります。
    それぞれのキャラクターが構築していた分、スラスラ読みやすく、最後まで楽しめました。最後まで読んだ後に題名を読むと、その意味が納得できるかと思います。
    一つの殺人しか起きないのにここまで長編の作品に仕上げていて、文章に引きこまれたことに改めて東野さんの作品は素晴らしいなと思いました。
    ただ、犯人のトリックが意外性があってよかったのですが、その反面、なんとなく歯に物がはさまった感じでスッキリ感が否めませんでした。

  • ガリレオシリーズ第4弾

    犯人がわかっていながらも、決定的な証拠とその動機を掴めないでいるという構成。
    答えが最初からわかっているが、途中式のない数学の問題を解いているかのような感覚で、まさに湯川先生にとって知的好奇心をくすぐられる難問だったのではないでしょうか。

    湯川・草薙・内海のこの3者のバランスがとてもよかったです。

  • 今回は、初めから引き込まれるようなストーリーで一気に読み進められた。好き。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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