本の運命 (文春文庫 い 3-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 656
感想 : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167111205

感想・レビュー・書評

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  • 知人さんにお借りした一冊となります。
    その方のオススメもあって、痕跡本に初トライしてみました。

    ちなみに痕跡本とは、ボールペンなどで本に線をひいたり、
    ふと感じた一言付け加えたりしながら読み進める、読書術です。

    なんというか、作者さんと対話をしているような気分で、
    非常に楽しい時間を過ごせたなぁ、、と。

    井上ひさしさん、あまり読んだことは無いのですが、、
    ご自身の蔵書で図書館を作ってしまう位の読書好き、、と。

    自宅の底が抜けたとか、家の中が本に侵食されるとか、、
    ふむふむ、何とも共感してしまうようなエピソードがてんこ盛りでした。

    ん、井上ひさしさん、本当に「本」がお好きなんだなぁ、と。

    また、自分から「痕跡」というアクションを起こすからでしょうか、
    まるで実際にお会いしているかのような時間を過ごせました。

    本との出会いは一期一会、その大海の中を自由に泳ぎ回っていきたいですね、、なんて。

  •  著者の読書法や本にまつわる楽しみなどを書いた本だ。

     本との出会いには「一期一会」があるという。インスピレーションで互いに意気投合して読者のもとに、しかし、気に留めた本を何かの都合で見送ると二度と会えなくなることも。

     この読書法は人によって同じものもあるし、参考になるものも多いと思う。その一部を紹介します。

     ☆一人の作家が作り出した小宇宙へ一か月ぐらいどっぷり浸かるというのは、じつに贅沢なたのしみです。

    著書の言葉遣いや書き方についてきずいたことをこまめにメモしていく。

    ☆本は書き込み赤線だらけ

    ☆索引を自分で作る

    ☆究極の整理法   情報をどうやって整理するか。

    「書き抜き帳」本でも新聞でもなんでもこれは大事だなと思うことは書き抜いていく。手書きで。

    いかに早く読むか

    ☆本はゆっくり読むと早く読める。
    というのは最初基本的なことはじっくり精読すると自然に早く読める。これほんとです。

    ☆目次をじっくり読む

    ☆ 積読にも効用がある。

     著者は本を買った時のこだわりがある。儀式と言っていいかもしれない。本を買ったら家には帰らずに、客がいなそうな喫茶店に入って、目次を眺め、中身をペラペラし、なんとカバーや帯わのり付けするらしいのだ。
     本とのご対面、著者の嬉しそうなあのニンマリした笑顔が想像できるのだ。

     驚いたところでは「司馬遼太郎」が神田の古本屋にこれを調べたいと依頼すると、横のつながりで皆んなが持ち寄り段ボールで送ってくれるそうだ。

  • 井上ひさしさんの本は初。
    読書や本に関する本は好きだから、いろいろ読んでいたが、その中でもやはり読書量のある人は視点が面白いと思った。読書量のある人だから発信できる言外のメッセージがあるし、読書量のある人だから感じられる視点がある。そういうことを感じられることはもちろん、発信できる人になりたい。
    中でも、「子どもを本好きにするには」は興味深かった。日本では読書感想文をよく書かす。そして、感じたことがおかしいと大人が判断し、ダメ出しをする。子どもは本を読まなくなる。
    そりゃそうだ。「感想を書くのは難しい」という視点を持っている大人がそもそも少ないだろう。
    感想文を廃止し、要約を書かせることのほうが大切と言うが、おっしゃる通りだと思う。また、本書で提案されている、日本の「1+1=2を文章で書きなさい」より、アメリカの「阿片について調べなさい」のほうが本に親しむだろうことはよくわかる。
    やっぱり大人は、自分が嫌だったことでも、自分がしてきたこと、されてきたことをする傾向にあるのだ。そこをどれだけ子どもが主語にできるかの発想の転換が最も難しい。

  • 稀代の本好き、井上ひさしさんの、本をめぐる話。ある種、自伝でもあります。とっても薄いし、井上ひさしさん入門にもいいかもですね。
     どうも講演かなにかを書き起こしたようで、するする読み易く、とても面白いです。学術的、専門的な知識は全く要りません。本が、自分なりに好きなら。

     いくつか断片をメモ替わりに。
    「読書感想文という学校の慣習が最低。ならば写生文が良い」
    「図書館はもっと夜まで営業すべし」
    「一期一会、迷ったら買え!」
    「買って未読の本が貯まるのも、悪くない!(何故か、は読んでください)」

     そして本と読書と蔵書を巡る笑える、泣ける挿話の数々。

     世界の図書館事情とかのレポート部分もあります。その辺りはやや、「文化的に西欧素晴らしい。手本にすべき」系統で、そうかなあ、と疑問に思ったりもしますが。なんだかんだ、日本より活字が、本が、本屋が、溢れてる国はないのではと思うんですけどね。

     印象に残ったのが、「世界文学全集」「日本文学全集」的なものを子供の頃に読んで、それが後年ホントに、役に立った、というあたり。

     まあ創作家と同じになる必要はないんだけど、矢張りなんていうか、文系的な目線で世界を見る、考える。そういう時に基礎体力みたいなものが、アルよなあ、と。僕自身は「世界文学全集」「日本文学全集」的なものを読破はしていないので、意外と古典や名作に未読がある。そういうのを、老いる前に読みたいなあ、と感じていたので。
     それに、再読も楽しい。 

     と、思って読んでいたら、ハッ としてしまって。
     「この、本の運命、っていう本、俺、読んだことある!」
     数年前に、新刊で買ったんですね。で、読んだ。売った。忘れた。文庫で今回、衝動買いした。。。

     やはり、ブクログを大事につけていこう、と思いました。。。

     
     山形県川西町の、井上ひさしさんの蔵書13万冊がある、遅筆堂文庫、行きたいなあ。

  • 「本は人の手にとられて輝く」みたいな一節が心に残りました。やはり本の一番の幸せは読まれることだな、と。積読本を消化しなければ。「本は市塵に返せ」という言葉はなんだか夜は短し歩けよ乙女を思い出しました。

  • 井上ひさしも大読書家で、大量に買った本の重みで床が抜けてしまったというエピソードの持ち主だ。いずれにせよ、本の話は楽しい。
    本を買いに山形から東京まで出て行った話や、最後に蔵書で図書館まで作ってしまったエピソードが楽しい。図書館まで作るとは、読書家にとって究極の夢である。

  • 蔵書が十三万冊!
    寄贈したら図書館ができた…
    並の読書家ではない。
    ですます調ののんびりとやわらかい文体とエピソードが読みやすい。
    著名人が多々登場。
    読書術から書籍の未来まで。

  • 山形に行きたくなった。

  • 井上ひさしさんと本との繋がりについて書かれたエッセイ。
    本は、ゆっくり読むと速く読める。なるほど。
    1990年代に書かれているので、今読むと電子書籍についての意見はやはり古いかな。私も紙の本が好きだけど、それが全てではない。

    本を大切にする=本を読む。
    切る、書き込む、というのは私にはできないけれど、愛情をもったり読む機会を増やしたりしていると考えれば、そういうやり方もあるか。

  • 蔵書が大量になってしまい、ついに故郷に
    寄贈で図書館を作ってしまった。

    新刊でもない限り、発売日を過ぎてしまうと
    手に入らなくなってしまうかもしれない本。
    しかもそれが昔のものだったら、更に手に入れにくい。
    とはいえ、手持ちがなければ悩むのは確かです。
    そこを買ってしまう一択にしてしまうのが
    うらやましいような…。

    届けなければいけない本を、先に読んでしまう暴挙。
    この時代でなければ、怒られる、だけでは
    済まされない話です。

    しかし13万冊は…なかなかにすごい数字です。

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著者プロフィール

井上ひさし

一九三四年生まれ。上智大学仏語科卒。「ひょっこりひょうたん島」など放送作家として活躍後、戯曲・小説などの執筆活動に入る。小説では『手鎖心中』で直木賞、『吉里吉里人』で日本SF大賞および読売文学賞、『腹鼓記』『不忠臣蔵』で吉川英治文学賞、『東京セブンローズ』で菊池寛賞、戯曲では「道元の冒険」で岸田戯曲賞、「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で紀伊國屋演劇賞および読売文学賞、「シャンハイムーン」で谷崎潤一郎賞、「太鼓たたいて笛ふいて」で毎日芸術賞および鶴屋南北戯曲賞など、受賞多数。二〇一〇年四月死去。

「2021年 『さそりたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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