本の運命 (文春文庫 い 3-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167111205

感想・レビュー・書評

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  • とても興味深い内容で、一気読みをした。井上ひさしさんの本は読んだことがないが、タイトルに惹かれ読んでみた。とても面白かった。

    これを読めば、読書に興味のない人も興味を持ってくれるかもしれない…と思ったが、おそらくこれを読んで面白いと思うのはすでに読書好きの人がほとんどだろうと思う。なので、これを読んで読書を広めたいとか本が無くならないでもらいたいと思う読書好きが読書の魅力を読書に興味のない人に伝えられるといいと思った。

    本は人の手から手に渡っていくというところが素敵。本を手渡していけたらいいなぁ。

  • この著者、井上ひさしさんの書籍は初読みでしたがとても読みやすくぐいぐい読めてしまいました。自伝的な章ではなかなか波乱万丈、褒められることじゃないこをしたことも赤裸々に書かれていてとても面白い。しかしこの著者の時代、いろんなことを受け入れてくれる環境、周りの人はなんだかいいなぁと憧れも持ちます。本が好きな方には読んでもらいたいと思った本です。読んでるうちに本が読みたくなる一冊でした。

  • 全ての本を読む前に読んでおくべき一冊

  • 知人さんにお借りした一冊となります。
    その方のオススメもあって、痕跡本に初トライしてみました。

    ちなみに痕跡本とは、ボールペンなどで本に線をひいたり、
    ふと感じた一言付け加えたりしながら読み進める、読書術です。

    なんというか、作者さんと対話をしているような気分で、
    非常に楽しい時間を過ごせたなぁ、、と。

    井上ひさしさん、あまり読んだことは無いのですが、、
    ご自身の蔵書で図書館を作ってしまう位の読書好き、、と。

    自宅の底が抜けたとか、家の中が本に侵食されるとか、、
    ふむふむ、何とも共感してしまうようなエピソードがてんこ盛りでした。

    ん、井上ひさしさん、本当に「本」がお好きなんだなぁ、と。

    また、自分から「痕跡」というアクションを起こすからでしょうか、
    まるで実際にお会いしているかのような時間を過ごせました。

    本との出会いは一期一会、その大海の中を自由に泳ぎ回っていきたいですね、、なんて。

  • ・自分が何を感じたか、思ったか、つまり頭の中の感情や情緒を文章で表現するのは難しい135p

    言葉を使ってモヤモヤな部分を言語化し明らかにすることは、読書の大きな役割の一つである。

    ・結局小説であれエッセイであれ論文であれ、周囲の無秩序な訳の分からないところを整理してくれる本を、人々は必ず要求しているわけです。150p

    本書に散りばめられた読書に関する示唆に富んだ言葉が、そういった無秩序な世界に立ち向かうための指針を示してくれる。

  •  著者の読書法や本にまつわる楽しみなどを書いた本だ。

     本との出会いには「一期一会」があるという。インスピレーションで互いに意気投合して読者のもとに、しかし、気に留めた本を何かの都合で見送ると二度と会えなくなることも。

     この読書法は人によって同じものもあるし、参考になるものも多いと思う。その一部を紹介します。

     ☆一人の作家が作り出した小宇宙へ一か月ぐらいどっぷり浸かるというのは、じつに贅沢なたのしみです。

    著書の言葉遣いや書き方についてきずいたことをこまめにメモしていく。

    ☆本は書き込み赤線だらけ

    ☆索引を自分で作る

    ☆究極の整理法   情報をどうやって整理するか。

    「書き抜き帳」本でも新聞でもなんでもこれは大事だなと思うことは書き抜いていく。手書きで。

    いかに早く読むか

    ☆本はゆっくり読むと早く読める。
    というのは最初基本的なことはじっくり精読すると自然に早く読める。これほんとです。

    ☆目次をじっくり読む

    ☆ 積読にも効用がある。

     著者は本を買った時のこだわりがある。儀式と言っていいかもしれない。本を買ったら家には帰らずに、客がいなそうな喫茶店に入って、目次を眺め、中身をペラペラし、なんとカバーや帯わのり付けするらしいのだ。
     本とのご対面、著者の嬉しそうなあのニンマリした笑顔が想像できるのだ。

     驚いたところでは「司馬遼太郎」が神田の古本屋にこれを調べたいと依頼すると、横のつながりで皆んなが持ち寄り段ボールで送ってくれるそうだ。

  • この方はほんとに本が大好きで、言葉にこだわりがある。素晴らしい方であると理解出来ました。ご存命の頃にもっと読んでおけばよかったと今さら後悔しました。

  • 井上ひさしさんの本は初。
    読書や本に関する本は好きだから、いろいろ読んでいたが、その中でもやはり読書量のある人は視点が面白いと思った。読書量のある人だから発信できる言外のメッセージがあるし、読書量のある人だから感じられる視点がある。そういうことを感じられることはもちろん、発信できる人になりたい。
    中でも、「子どもを本好きにするには」は興味深かった。日本では読書感想文をよく書かす。そして、感じたことがおかしいと大人が判断し、ダメ出しをする。子どもは本を読まなくなる。
    そりゃそうだ。「感想を書くのは難しい」という視点を持っている大人がそもそも少ないだろう。
    感想文を廃止し、要約を書かせることのほうが大切と言うが、おっしゃる通りだと思う。また、本書で提案されている、日本の「1+1=2を文章で書きなさい」より、アメリカの「阿片について調べなさい」のほうが本に親しむだろうことはよくわかる。
    やっぱり大人は、自分が嫌だったことでも、自分がしてきたこと、されてきたことをする傾向にあるのだ。そこをどれだけ子どもが主語にできるかの発想の転換が最も難しい。

  • 一時代を築いた大作家さんなのに、現代の我々にも通じるユーモア溢れる文章。
    中でも本の重みによって家の床が抜け落ちた話が好き。
    また、融通が効かない一昔前の図書館に業を煮やし、『それならば』と自分が本を寄贈。
    これにより、よって万人が使いやすい図書館を地元に作ってしまう壮大なエピソードも。

  • いつだったか新聞の書評欄で知り、最近手にいれた井上ひさしさんのエッセイ。
    筆者の作品は読んだことはないのですが、もちろんお名前は存じており、本について書かれたということで興味を持ちました。

    これは本好きにはたまらないエッセイだと思います。
    そうそう、本って、読書ってこういうところが楽しいんだよね、と共感したり、
    井上さんに比べると自分を本好きと呼ぶには恥ずかしいレベルだと恐れ入ったり。

    娯楽が少なかった時代からずっと本をこよなく愛された方だからこそ書ける内容ですし、難しい言葉もなくさらりと読めるので、あまり読書に馴染みのない方にもおすすめ。

    個人的には六章の「子供を本好きにするには」が好きです。
    タイトルに沿った内容だけではなく、日本の学校教育の問題点や、本や物語の果たす役割にまで触れていて、大変興味深く感じました。

    手元に残しておいて、時々読み返そうと思います。

    2018年7冊目。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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