宮澤賢治に聞く (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2002年12月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167111243

みんなの感想まとめ

多面的な視点から宮澤賢治の魅力を掘り下げた一冊で、井上ひさしの独特な語り口が印象的です。架空のインタビュー形式で賢治の言葉を引き出すことで、彼の人柄や作品に対する深い愛情が伝わります。また、賢治の生涯...

感想・レビュー・書評

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  • 単行本は1995年文春ネスコ刊、その文庫版。井上ひさしのフィルターのかかった宮澤賢治、324ページ。巻末に井上「イーハトーブの劇列車」(こまつ座公演)の台本を収録。
    賢治をめぐる井上の各種エッセイ、井上の講演「賢治の世界」を収める。全体的に饒舌、かなりハイ(気分のほう)。典型は冒頭の架空インタビュー「賢治に聞く」。本人に喋らせずに、こうですよねと、井上が喋るまくる。後半には、賢治の中学の先輩、啄木も飛び入り参加し、啄木が喋りまくる(あんたじゃないっつーの)。
    賢治の生涯の写真ページは、90ページ強。これだけでも見る価値あり。とくに生原稿の写真がいい。「雨ニモマケズ」は見開き10ページ。確かに、最終ページは南無妙法蓮華経で埋まっている(やはり、この詩の一部なのか)。

  • 井上ひさしの視点でまとめられた宮澤賢治。年譜がついており、作品を読む際の参考にできそう。井上ひさしも没している今、現世ではないどこかで心ゆくまで賢治(と啄木)にインタビューしていそう。短所も長所もひっくるめて、全体的に賢治への愛が深い。

  • 宮沢賢治とバリ島      -2007.02.28記
    井上ひさしの「宮沢賢治に聞く」を読んで意表を衝かれたのは、賢治の「羅須地人協会」誕生の背景には、当時の世界的なバリ島ブームが刺激なりヒントなりを与えたのではないか、という指摘だった。
    この新説はどうやら井上ひさしの独創らしい。

    オランダがスマラプラ王朝を滅ぼしてバリ島全土を植民地支配するようになったのは1908(明治41)年だが、各地の旧王族を残しつつ間接統治を採ったオランダ政府の政策が結果的に効を奏し、従来各部族が棲み分けていた島社会の混乱を招くことなく、習俗や伝承文化の保護継承に繋がりえたとされる。
    おりしも、ヨーロッパ中を疲弊させた第一次世界大戦がやっと終わった1918(大正7)年、O.シュペングラーの「西洋の没落」が発刊され、一躍ベストセラーとなっている。
    「西洋の没落」というこのフレーズは、センセーショナルなほどに彼ら西洋の現在と近未来を映す常套語となり、大戦の疲弊と相俟って深刻な終末観に襲われるが、その反動は一部に異郷趣味を増幅させもする。
    西洋におけるオリエンタリズムの潮流は、当時のバリ島を「ポリネシア文化とアジア文化が合流する地上の楽園」と憧憬のまなざしで見、多くの欧米人たちが訪れるようになる。
    とりわけ島を訪れ、滞在する芸術家たち、たとえばドイツ人画家ヴァルター・シュビースらが原住民たちとの協同作業のなかで舞踊劇として再生させた「ケチャ・ダンス」のように、絵画や彫刻、ガムランやバロン劇などが、彼らのもたらす西欧的技法や感性と交錯しながら、バリ特有の伝承芸術として再生され定着していく。
    いわば西洋におけるバリ島の発見、バリ原住民たちの伝承文化が西洋の芸術様式と出会い、再生させられていくピークが1920年代から30年代であった。

    井上ひさしによれば、賢治の蔵書の中に、当時のバリ島が紹介された一書があるという。
    賢治が花巻農学校の教員を辞してのち、実家の離れに住みながら羅須地人協会を発足させたのは1926(大正15)年のことである。
    農民芸術を説き、近在の百姓たちとともに劇団をつくったり、オーケストラをやろうとした賢治の脳裏には、この西洋によるバリ島の発見があり、宗教も芸術も渾然と一体化した島民たちの生活習俗が、ひとつの理想的モデルとして鮮やかに刻印されていたのかもしれない。

  • 石川啄木ファンにはカチンとくるかもしれない描写があります。

  • 2009/9/2図書館で借りる
    2009/9/5返却

  • 賢治と啄木の会話がいいww

  • わたしが持っているのは、文庫ではなくて
    「ネスコ」という出版社の大きいサイズのものです。
    文庫になる前のもの?

  • 宮沢賢治を新たな視点から、といった感覚を受けた。著者と賢治のインタビューから始まる。そして賢治が歩んだ人生を作品、写真を通じ紹介される…など。今まで触れた賢治とは別の視点からのアプローチが著者によって可能となった。実に面白い作品であったと感じている。

  • 簡潔に宮沢賢治という人のことを知りたかった。ちょうどいい本だった。21 Oct 2006

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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