東慶寺花だより (文春文庫 い 3-32)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167111311

作品紹介・あらすじ

女たちの「駆け込み寺」を描く、涙と笑いの遺作離婚を望み決死の覚悟で寺に駆け込む女たちの強さ、家族の絆を描いて胸に迫る、涙と笑いの物語。十年をかけて紡いだ感動の遺作。

感想・レビュー・書評

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  • 2010年4月に亡くなられた井上ひさしさんの遺作
    単行本は 2010年11月に出版

    鎌倉の「かけこみ寺」東慶寺の御用宿の居候が語る話15編
    女性の名と季節の花を織り込んで江戸時代を写し取っている

    それぞれ興味深い話だけれど
    どの人物も独り立ちしてるなあと

    あとがきで作者が「江戸時代から女性は十分強かった」
    そう書いているが
    うーん、そうならざるを得なかった時代背景
    妻から離婚を要求するのも命がけだった

    東慶寺の院主様が痛快だった

    ≪ 境内の 花と季節が 巡り来て ≫

    ≪ 

  • 離婚を望む女が駆け込む寺での様々な事情を描く短編連作集。駆け込み寺、三行半などの言葉は知っていてもこのような寺が実在することすら知らなかったので、これは作者の創作された設定かもと思うほどよくできている仕組みだなぁと。中盤くらいまでは面白く読み進めたが、後半は話の筋立てにやや無理があったりで長く感じるものもあった。主人公が医者の心得があり、小説を書くという設定かもを活かした章をもっと読みたかった。作中で書いた本は結局どうなったのだろうか。東慶寺とは関係なく主人公の話を読みたい気持ちになる。
    巻末の「東慶寺とは何だったのか」も中々興味深く読ませていただきました。やはり女性は働き者で強いですね。

  • 江戸時代の史実に基づきながら、古くからの男尊女卑社会においても様々な救済の仕組みがあり、女性たちがそれを利用していかに逞しく生きていたかということがわかる本だった。
    人間模様がリアルで、江戸時代バージョンのゴシップ雑誌を読んでいる感覚だった笑

  • さすが作者の筆の力。江戸時代の鎌倉の四季が目に浮かぶ。訳ありで東慶寺に逃げ込む人妻。その生活を思いやって支え合う人達がみな粋でかっこいい。映画観てなくても信次郎のセリフは全部大泉洋氏でイメージできた(笑)

  • まさに名人芸のような井上ひさしさんの遺作。素直に面白いと思いました。
    本書は「縁切寺」と呼ばれた北鎌倉の東慶寺が舞台。妻の側からの離婚が難しい時代、寺の境内に身につけているものを投げ込めば、駆け込みは成立。そして駆け込み人が東慶寺で24か月過ごせば、夫は絶縁状を書かねばならないというシステム。井上さんは、このシステムを女性のためのアジール(聖域)として「素晴らしい発明」と評しています。井上さんは居を鎌倉に定めていることもあり、東慶寺を愛しているのでしょうね。楽しんで書かれたのがわかる作品となっています。

    本書は「オール讀物」に1998年から足かけ11年にわたって連載された全15話をまとめた短編連作集。全編を通じての主人公は中村信次郎。医者の見習いから転じた新米の戯作者。信次郎は縁あって身を寄せた東慶寺の御用宿「柏屋」の布団部屋に篭って、創作に苦しんでいます。一方では柏屋の番頭手伝いと駆け込み審議の書記を任せられています。本書は15人の駆け込み人と中村との交流、駆け込みの顛末を1話完結で描きます。

    本書のすごいのは1話1話の起承転結がはっきりと描かれていて、まるで落語の人情噺を読んでいるようです。話の展開はミステリー仕立て。それぞれにひねられたオチが準備されています。
    また、鎌倉の自然、地理が描かれていて絵画的な作品です。

    個人的には読み終えるのがもったいないような作品。ただ、時代小説ですので趣味に合わない読者もいらっしゃると思います。最初の1編が趣味に合えば、たぶんハマるのではないかと。

  • 確かに女性は強い、でもやはり不条理が多い気がして純粋に楽しめなかった。強くならざるを得ない、夫側のダメさのような感じ。

  • 江戸時代、女性から離婚を申し出るのが難しい時代の駆け込み寺の話。
    短編でそれぞれに事情を抱えた女性が出てくるが、その事情が笑える話。
    読んだ後に何も残らない話の短編集でした

  • 映画も悪くないが井上ひさしは矢張り天才だと思います。

  • 久々に井上ひさしの本を読んだ。井上氏のDV等の話を知っていると、こういう本を書くのはどういう思いなのだろう、と思わなくもないが、それを脇に置けば、心温まるショートストーリー集ということで楽しめた。東慶寺や鎌倉に何度か行っていて地名が分かるのもよかったのかもしれない。

  • うーん。ただただ退屈な話が続く。短編で構成されているが、印象に残った話がひとつとしてなかった。読んでいて本の世界に入り込めなかった点、作者の文章と私と相性がよくないのかも。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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