富士山頂 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1974年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167112011

作品紹介・あらすじ

富士山頂に気象レーダーを建設するという大事業を軸に、それにまつわる錯綜した動きを追って現代社会のひろがりを捉え、さらに、山岳小説の興趣を深めた長篇。(尾崎秀樹)

みんなの感想まとめ

気象レーダーを富士山頂に建設するという大事業を通じて描かれる人間ドラマが、作品の中心に据えられています。昭和38年から39年にかけての物語では、葛木章一を主人公に、物資の運搬や建設過程での苦労、さらに...

感想・レビュー・書評

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  • 富士山頂に気象レーダを建設する
    という大事業を成し遂げる
    気象庁測器課葛木章一の物語
    昭和38年から39年ごろのお話
    山頂に物資を運ぶことから
    建築過程の苦労
    雪のない短時間での作業
    そして国への予算のお伺い
    業者はどこにするのか
    さまざまな人間関係も絡み合ってはいるが
    とにかく山頂の気候との
    兼ね合いから早く進めないと
    どうにもならない
    苦悩する葛木
    新田次郎の代表的な作品であり、
    本人の実体験でもあるようです

    大変興味深く読んだ
    プロジェクトXの第一回放送でも
    取り上げられていたらしい
    人の努力は計り知れない
    今、人間がこうして暮らしているのも
    こんな努力が数え切れないほど
    あるからなのですね

    現実だけでなく人と人との
    関わりや、政治的な問題なども
    考えさせられる
    良い作品を読めた
    富士山頂に立ってみたい
    とも思う


  • 読み応えたっぷり楽しめた。

    三部からなる。
    富士山への気象観測レーダー建設着信前の気象庁での話、建設途中での出来事、完成後の諸問題などとわかれる。
    現場は山岳だが、内容は国家予算による一大プロジェクトを成し遂げた省庁でのお仕事ドラマだろうか。

    仕事を受けたくでドロドロした対立関係になる会社は分割発注なのかシングルなのかで建設期間も限られた中での指示系統をも鑑みた、統括のとても難しい中での人間ドラマ。

    現場監督のことば、建設に関わった者の名をプレートで残すことで、この仕事の真意は人の数、技術、金、ではなく人の気持ちだ、という最後は人、その人を奮い立たす誠意と覚悟。

    完成を祝う乾杯の席でも葛木に本心を語る所員の言葉を過酷さをわかるが故に静かに聞き入る。

    喜怒哀楽、人の想いがびしびし伝わってくる小説であった。自身の体験を俯瞰して書かれていて素晴らしい。改めて知ることばかりですごい経歴の作者だ!

  • 富士山レーダー建設を通しての人間ドラマ。気象庁に勤めていた頃の作者の体験を元に書かれた小説。
    NHK「プロジェクトX」の第1回目が富士山レーダーの話で、ラストに作者も紹介されてました。

    新田次郎は、文体や作品の目線や作者近影が見るからに優しそうなのに、満州からシベリアへ抑留された過酷な経験をしていたり、奥様の藤原ていによると結構子供っぽかったり怒りっぽかったりしたらしく(要するに邪気がないのかな?)、藤原さんの満州引き上げ体験記やエッセイなども興味深いです。

  • 富士山にレーダーを設置するというロマンとそれに対する役所内部のドロドロしたものや施工業者との軋轢がとても興味深く楽しめた。
    半世紀ほど前のお話なのだが新田氏のリアルな経験が切々と語られている感じ。
    それにしてもお役所という所は何十年経っても変わらないシステムなのだなぁと感心したり呆れてみたり。

  • 富士山頂気象レーダーの建設事業を題材にした実話ベースの小説。新田次郎は中学のときに読んだ「武田信玄」以来か。それにしもて新田次郎が電通大(当時は無線電信講習所)卒で、気象庁に勤めて、富士山頂気象レーダーに関わっていたとは知らなかった。
    プロジェクトXとしても官製談合の暴露話としても読め、面白かった。
    レーダーは1999年にその役割を終え、測候所も2004年に無人化されたそうな。

  • 気象庁が富士山頂に当時世界一の気象用レーダーを設置する、完成するまでの苦労話を纏めたドキュメンタリー小説。
    予算獲得、業者選定、機材の運搬、高山病対策、夏しか作業出来ない短期集中の環境、最後に省庁の壁による検査等々の苦労。
    最後の工事完了間際に襲って来た台風には宿舎が吹き飛ばされ、工事責任者も吹き飛ばされ命からがらの難工事。

  • 感動の野武士伝説

     富士山頂への気象レーダー建設物語。

     作家でもある気象庁課長が通信メーカーと一緒に一大事業を成し遂げる。名誉のため採算度外視で受注活動を繰り広げるメーカー各社。

     事業は一社でやるべきと主張する気象庁課長の主人公。ドラマがそこに生まれる。

     主人公の政治的圧力をも跳ね返す意志力。圧力でどうしてもメーカーに分割発注しないといけなくなったときの心、さらに逆転でそれを跳ね返して一社で工事をやり遂げた達成感。

     建設会社の現場監督の言葉もいい。

    工事の完成は人の数でも技術でも金の力でもなく、人の気持ちだ

     完成後のパーティーで、機械予算は取ってそこで働くことになる人のための予算が少ないことを所員から責められるのだが、黙ってそれを聞く主人公の心の動きも鮮やかに書かれている。

     富士山頂レーダー建設を背景にした主人公の心の物語であるとともに、新田次郎その人の私小説のような気がして、この作品は私にとって新田次郎作品ベスト3に入るものとなっている。

  • この時代の役人は、まだ、なにもなかったこの国の社会基盤を造り上げる、という強い熱意をもって働くことができたのでしょう。

  • 新田先生の作品の中では、今の所一番好きです。
    自分が読めてる中では、って事だけども。
    映画も、こちらの方が好きだなあ。
    まあ、これは自分ですよね〜、って感が、
    一番描かれてる作品ではあるし、
    主人公、祐次郎だよ〜、って思いはありますが、
    自分はこの作品面白かった。
    DVD出たら買うのになあ。
    「映画は映画館で観るものです」とか言った、
    祐次郎さんの言いつけで、出てないのが残念だ。

  • 時として、頭の中で「地上の星」が大音響で自動スイッチ入るような…(笑)
    もはやプロジェクトX症候群。
    それにしても、著者自身がモデルだとしたら、カッコよすぎます、葛木課長!

  • こんな小説が書けたらいいなぁ、と思っています。

  • ・10/9 読了.作者が実際に富士山レーダー建設に関わっていたなんて驚きだ.もともと公務員だったのか.ProjectX観たかったな.今は無きレーダーを見てみたい.

  • 調達、入札、納入に関わる企業小説としても、生まれた以上、一生を賭けて後に残る仕事をしたいと思わせる教養小説としても、とても面白い。

  • 山岳小説家として著名な新田次郎が、気象庁測器課長時代の実体験に基づいて富士山レーダー建築にまつわるエピソードを気象庁退職後に書いた本。小説という体裁をとっているが、彼の体験をもとに書かれたドキュメント。
    文中では社名・個人名は仮名となっているが、東芝(文中では相模無線)に対する新田氏のあからさまな敵意が書かれている点が興味深い。
    役所の意思決定の論理を把握したうえで、事業をやり遂げるために順番を追って根回しをしていくプロセスが書かれている点では、役人小説、ともいえるが、同じ役人出身の堺屋太一の著作より数段面白い。

  • 信念を持った男たちの生き方。

  • 大げさな語り口ではなく淡々と語られているせいか、登場人物たちと同じ気持ちで富士山レーダー完成に向けて邁進でき、案外サラリと読めてしまった。
    著者が実際に携わっていただけに、様々な側面から絡む人間模様は実録のようで興味深い。

  • ▼読むきっかけ
     NYマラソンツアー中に読書。

    ▼読んだ感想
     第1回プロジェクトX「巨大台風から日本を守れ」には
     描かれていない悩ましい苦しい場面も熱くなれる。
     来年も富士山に行こう。

  • 熱い男と富士山の物語。

  • NHKプロジェクトXの初回放送のエピソードとして有名になった
    富士山頂にレーダーを取り付けるという壮大な計画に関わった男たちの奮闘の物語、作者自身が登場する、自伝的な小説にもなっているのが面白い

  • 富士山頂に気象レーダーを建てる計画を軸に展開する人間模様。自身の経験を織り込みながらのエピソードは説得力がある。

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著者プロフィール

新田 次郎(にった・じろう):1912-80年。長野県上諏訪生まれ。旧制諏訪中学校、無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1974年、『武田信玄』ならびに一連の山岳小説に対して吉川英治文学賞受賞。

「2024年 『火の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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