芙蓉の人 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1975年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167112066

作品紹介・あらすじ

天気予報を正確にするには、富士山頂に観測所が必要だ、との信念に燃えて厳冬の山頂にこもる野中到と、命を賭けて夫と行をともにした夫人の行動と心情を感動的に描く。(山本健吉)

みんなの感想まとめ

厳冬の富士山頂で繰り広げられる夫婦の物語は、命を賭けた観測業務を支える妻の献身と精神力を描き出しています。明治時代、登山装備も整っていない中で女性が富士山に挑むことは決して容易ではなく、その中での主人...

感想・レビュー・書評

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  • 現代と違い登山装備もままならない明治時代、ましてや女性が富士山へ登山するとは言語道断という風潮の中、厳冬期の富士山頂で夫の観測業務を支えた妻の物語。壮絶で過酷な状況がまだ10月の話なのかと思うと、先が思いやられ読んでいるだけで辛かった。苦しくても、聡明でしなやかで慈愛に満ちた主人公に痛く感銘を受けた。あとがきは最後に読んだ方がベター。

  • 久しぶりに手にとった新田次郎の本。極寒の富士山の描写は流石でした。こういう命を賭して最初に切り開いた人たちがいたことをきちんと知る必要がありますね。

  • 富士山頂に観測所。明治時代では本当に命がけであったろう。
    この本はあえて(?)妻、千代子目線で書かれている。「女性」だからをものともせず行動する彼女。すごい。

  • 2014.5.9(金)¥30。
    2014.7.23(水)。

  • これもドラマになると云うことで読んでみました。
    昔の日本人には偉大な方が多い! 今の日本人、負けてるよなあ・・・
    しかし、松下奈緒は似合っていそう。撮影はすごく大変そうだが・・・

  • 明治。日本が近代化を死に物狂いで目指した時代。

    主人公の女性の凛然さを感じた。富士気象観測場の設置。これを発案したのは驚嘆すべきところだ。それをささえた妻の芯の強さに感服した。

  • 女性の強さ、純粋な思い、また富士山頂であった実話という
    部分に強烈なインパクトと感動があった一冊。

  • 富士山が世界遺産に登録され、
    今また富士山ブームが起ころうとしていますね。
    富士山ときいて、故新田次郎さんのこの作品を思い出しました。

    110年以上も前の時代に、
    日本の気象を調べるために、冬季の富士山で気象観測を行った
    野中到とその妻千代子の物語です。

    明治28年(1895年)2月
    冬期富士登山に成功した経験によって、
    富士山頂の冬期滞在が不可能ではないという確信を得て、
    この年の夏、野中到は私費を投じて野中観測所を設立しました。
    秋から富士山頂にたてこもって気象観測をはじめるためです。

    なぜ、彼はそうするのでしょう?
    当時の日本の天気予報が当らないのは、
    高層気象観測所がないからだというのです。
    「高い空の気象がわからないで天気予報が出せるわけがない。
    富士山の頂に気象観測所を設置して、
    そこで一年中、気象観測を続ければ、天気予報は必ず当る」
    千代子夫人にこんな言葉を残し、
    野中到は富士山に立て篭もりました。

    想像を絶する冬季の富士山の気候。
    十分な冬山対策の装備もない時代に、
    吹雪と戦い、寒さと格闘しながら、気象観測を成し遂げた野中到。
    それを影でしっかりと支えた千代子夫人。
    山の偉大さと自然の美しさに混じって、
    明治時代の美しい夫婦の絆まで感じられました。

    このころと違い、今はもっとスムーズに山に登れます。
    十分な装備ももたずに登山する人々が後を絶たないといいます。
    夏山を楽しむのもいいけれど、山はやはり恐ろしいもの。
    自然への謙虚な気持ちを忘れないようにと願わずにいられません。

  • 1867年生まれの人物を調べていたら野中到を見つけたので、それに関する小説というので読んでみた。

    明治の人には明治の人の良さがあったのだと改めて感じさせられた。

  •  えーっと、最初普通の小説だと思って、読み始めたんですが……。
     途中で、あれ? って、思ったら。
     これ、実は、実話を元にして書かれた話だったんですね。
     事前知識が何にもなく読み始めたので、ちょっと戸惑いました。

     で、まぁ、私が戸惑ったのは正直、どうでもよくてね!

     読みながら。
     友達が、この本を僕に送りつけてきたのは、また別の誰かが、友達に。 
    「この本、おすすめ!」てくれて。
     それを読んで、感動したから、僕にも……って、思ってくれたんだそうですが。

     うーん……何で、これだったんだろう……?
     って、気がちょっとした。

     いや! いいんだよ! いいんだよ!
     あの明治の時代に、女の人が夫を追って、富士山の山頂に行って、挙句。
     ひと冬を、気象観測して越そうと思ったんだから、すごい話だと思ったよ!

     でもなぁー、でもなぁー……って。
     ひねくれものの僕が呟くんですよ。

     かなり、偉大な功績であることは間違いないんだけど。
     そもそもが、一人で2時間おき、24時間の観測をしようなんて考えたことが無謀だったとしか思えないし……。
     それにゴーサイン出す方も、出す方だよな、と思いながら。

     そんでもって、子供を置き去りにして山を登ったのも、すごいとは思うけど。
     僕だったら、それはしないかな……って、思っちゃった。

     確かに、彼女の生き様はすごいと思うけど。
     でも、僕は同じ立場に立った時に、彼女と同じ選択をしたいとは思わない……
     と、思ってしまうので、感動は低い。

     あーあ、本人ここを知らないからってこんなにディスっちゃっていいのかしら?(苦笑)

     なんていうか、僕にこれをくれた友達は、大層、純粋な子でしてね(僕の友達にしては、本当に珍しいタイプなんですがw)。
     黒いものを「あれは白いんだよ」って教えられたら。
    「えー、あの色も白っていうんだ!」って。
     思いっきり、素直に信じ込むタイプなんですよ。

     だから、その分、生きにくいんだと思うんだけど。
     それでも、そこまでひねくれることなく、その素直さを持ち続けられたのは、すごいなー……と、思うんですが。

     いささか将来が心配(笑)

     いやまぁ、同い年……っていうか、同級生なんで、いい年なんだが……。
     素直すぎるのもの問題だよね……っていう!

     だから、まぁ。
     素直に「いいんだよ!」って勧められたら。
    「この本いい!」ってなるんだろうが……。

     いささか、僕は、彼女と会わない間に(僕が引っ越ししたので7、8年連絡取ってなかった)、ひねくれてしまったので(いささか?)。
     なかなか、僕の心には響かない……(苦笑)

     つか、女の人の「強い」(いろんな意味で)話って、虚実合わせてたくさん、読み過ぎてるんで、今更……ねぇ?
     何より、自分自身がそんじょそこらの女のひとよりも強くなってしまったので、余計に……。

     僕は、「誰かのために」生きる女の人より、「自分のために」生きれる女の人が好きです。
    (ここまで、書いてようやくすっきりしなかった理由が↑であることに気が付いたw)

  • 新田次郎氏のテーマである強い女性小説

     壮絶。

     実話に基づくとのことだが戦争映画を見るような壮絶な戦いが描かれる。

     エピローグがあっけなく余韻が響きわたる感じだけに、高山病の野中夫妻救出作戦は、その背景となる富士山よりも高く大きなクライマックスを示す。

     明治という、今から考えるとおかしな常識に支配された時代と強敵富士山を舞台とした、ある人物の人生の一瞬がここにある。いい作品だ。

    • kantadamouhuさん
      「おかしな常識」という表現に違和感を感じる。

      何故なら、今の常識も未来から考えれば「おかしな常識」だからである。
      この表現は、自己中...
      「おかしな常識」という表現に違和感を感じる。

      何故なら、今の常識も未来から考えれば「おかしな常識」だからである。
      この表現は、自己中心主義の域から脱していない証左であり、近代を客観的に観察できないことをわざわざ表明しているようなものである。

      2012/01/31
  • 「芙蓉の人」明治の女性の生き方に強さを感じる一冊です。

  • うっかり冬に読んでしまったんです。凍ります。
    これは夏にこそ読むべきなのだな。新田次郎。

    ワタシが中学生のとき、富士山測候所の話は英語の教科書教材になっていました。真冬の富士山。こう書いただけでも、なにやら冷たい雰囲気になってくるではありませんか。吹雪をものともせず、厳冬の富士山頂に測候所を築き、観測を試みた夫婦の話です。

    感動もさることながら・・・・・ぶるぶるっ。
    感想文用にもいけます。

  • 06001

  • 到が大学予備門(現在の東京大学教養学部)を中退してまで成し遂げようとした思いは、どこから生まれてきたのか。
    そんな到を認めて支援する野中家、そして中央気象台。普通の予備門中退者であればそこまで認められることはなかったのではないか。
    野中家のポジショニング、そして到の人間的魅力にもっと迫ってみたい。
    そして、そんな到を陰に陽に支え続けた妻・千代子。
    本書の解説等では「明治を代表する女性」として...

    【開催案内や作品のあらすじ等はこちら↓】
    http://www.prosecute.jp/keikan/046.htm
    【読後の感想や読書会当日の様子などはこちら↓】
    http://prosecute.way-nifty.com/blog/2009/01/46-e81f.html

  • my root.名前の由来。

  • 「日本の天気予報を正確にするために、富士山頂に観測所作る。」

    その信念に燃えて真冬の富士山頂にこもる夫・野中到を支える千代子。
    芯が強く情が深い明治女性に、胸を熱くする場面が多々ありました。

    うだうだと悩みを打ち明けた数日後、上司がこの本を薦めてくれたのですが、この本の中に女性として強く生きるロールモデルを見つけたような気がします。

  • 明治時代の、あるひとりの女性のゆるぎない強さ。

  • 気象予報技術向上のため、日本最高峰である富士山頂での気象観測の必要性をとなえ、自費で観測所を作り越冬観測を試みた夫婦の物語。
    当初、夫の野中到単独で行う予定で、奥さんには絶対来るなと言っていたが、大変過酷な仕事をする夫を放っておけず内緒で登ってくる。そして、二人三脚で過酷な観測へ挑む。
    結果は途中で救助にあったが、この意思は確実に今の気象予報技術に生きている。
    気象を学ぶものとして、学ぶことも多かったし、夫婦の絆ってすごいって感じた。

  • 富士山に測候所を作るという使命感に命を賭けた男とその妻の壮絶な物語。
    富士の持つ、日本一の山というイメージを別の一面から見つめ直せる一作

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著者プロフィール

新田 次郎(にった・じろう):1912-80年。長野県上諏訪生まれ。旧制諏訪中学校、無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1974年、『武田信玄』ならびに一連の山岳小説に対して吉川英治文学賞受賞。

「2024年 『火の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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