- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167112066
作品紹介・あらすじ
天気予報を正確にするには、富士山頂に観測所が必要だ、との信念に燃えて厳冬の山頂にこもる野中到と、命を賭けて夫と行をともにした夫人の行動と心情を感動的に描く。(山本健吉)
感想・レビュー・書評
-
現代と違い登山装備もままならない明治時代、ましてや女性が富士山へ登山するとは言語道断という風潮の中、厳冬期の富士山頂で夫の観測業務を支えた妻の物語。壮絶で過酷な状況がまだ10月の話なのかと思うと、先が思いやられ読んでいるだけで辛かった。苦しくても、聡明でしなやかで慈愛に満ちた主人公に痛く感銘を受けた。あとがきは最後に読んだ方がベター。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに手にとった新田次郎の本。極寒の富士山の描写は流石でした。こういう命を賭して最初に切り開いた人たちがいたことをきちんと知る必要がありますね。
-
富士山頂に観測所。明治時代では本当に命がけであったろう。
この本はあえて(?)妻、千代子目線で書かれている。「女性」だからをものともせず行動する彼女。すごい。 -
2014.5.9(金)¥30。
2014.7.23(水)。 -
これもドラマになると云うことで読んでみました。
昔の日本人には偉大な方が多い! 今の日本人、負けてるよなあ・・・
しかし、松下奈緒は似合っていそう。撮影はすごく大変そうだが・・・ -
明治。日本が近代化を死に物狂いで目指した時代。
主人公の女性の凛然さを感じた。富士気象観測場の設置。これを発案したのは驚嘆すべきところだ。それをささえた妻の芯の強さに感服した。 -
女性の強さ、純粋な思い、また富士山頂であった実話という
部分に強烈なインパクトと感動があった一冊。 -
富士山が世界遺産に登録され、
今また富士山ブームが起ころうとしていますね。
富士山ときいて、故新田次郎さんのこの作品を思い出しました。
110年以上も前の時代に、
日本の気象を調べるために、冬季の富士山で気象観測を行った
野中到とその妻千代子の物語です。
明治28年(1895年)2月
冬期富士登山に成功した経験によって、
富士山頂の冬期滞在が不可能ではないという確信を得て、
この年の夏、野中到は私費を投じて野中観測所を設立しました。
秋から富士山頂にたてこもって気象観測をはじめるためです。
なぜ、彼はそうするのでしょう?
当時の日本の天気予報が当らないのは、
高層気象観測所がないからだというのです。
「高い空の気象がわからないで天気予報が出せるわけがない。
富士山の頂に気象観測所を設置して、
そこで一年中、気象観測を続ければ、天気予報は必ず当る」
千代子夫人にこんな言葉を残し、
野中到は富士山に立て篭もりました。
想像を絶する冬季の富士山の気候。
十分な冬山対策の装備もない時代に、
吹雪と戦い、寒さと格闘しながら、気象観測を成し遂げた野中到。
それを影でしっかりと支えた千代子夫人。
山の偉大さと自然の美しさに混じって、
明治時代の美しい夫婦の絆まで感じられました。
このころと違い、今はもっとスムーズに山に登れます。
十分な装備ももたずに登山する人々が後を絶たないといいます。
夏山を楽しむのもいいけれど、山はやはり恐ろしいもの。
自然への謙虚な気持ちを忘れないようにと願わずにいられません。 -
1867年生まれの人物を調べていたら野中到を見つけたので、それに関する小説というので読んでみた。
明治の人には明治の人の良さがあったのだと改めて感じさせられた。