死刑長寿 (文春文庫 の 1-14)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167119140

作品紹介・あらすじ

明治十六年生れの死刑確定囚がいた。とんでもない長寿日本一に大騒ぎの表題作。六十五歳に達した日本男児には全て勃起能力テストを受けさせるET法が制定されて…(「エレクションテスト」)。とてつもない面白さ。くだらぬ虚飾に火をつけて灰にし、野坂昭如の小説はここまで到達した。各紙で絶賛された短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 一つのながーいセンテンスの中で息つかず前のめりに話が進みまして、これが複数人の会話であれば特定の一人がずっと話している状態と同じであり、そうなると周囲は呆れるわけですからこちらも呆れるくらいに語り続けてるんです。こういうパターンだとオチが決まった…て感じだったりするんですが、野坂昭如はオチすらこの辺でいいか、みたいな切り方で、実は先もあるんだろうなあという気持ちにさせます。いくつかのタイトルはちょっとSF的でもあります。

  •  明治生まれなのに体はいたって健康、視力も聴力も問題なし。100を超えてなお元気に生き続ける死刑囚の彼には欲が無い。さて、欲にまみれた堀の外では 彼の存在を利用して自分の考えを世に広めようと躍起。けれど彼はどこ吹く風、飄々と相手をする。そのやり取りが非常に面白い。このコンセプトでここまで書きあげられるのは、さすが本物の空襲体験者。これが反対側で「火垂の墓」になるんだから、野坂昭如すごいよなぁ。

     独特の文体は日本語として非常に興味深いし、高尚な語彙が現れるたびに野坂昭如って頭いいなぁって思う。その力を全力でくだらなさに向けていているからさらに面白い。非常に楽しめた一冊。

    帯には「文壇最後のカリスマ」とあった。間違いないと思う。

  • 言わずと知れた大御所の短編集。
    しかし、この文体はいただけない。
    とにかく読みにくい。まさに老人が思いつくままにつぶやいた言葉を書き起こしただけのものと思えるほどに。

    話の内容もまったく面白みがなく、ただ設定だけを考えて、それを独特のスタイルで説明していくだけで作品が終わる。

    もしかしたら私の理解力が足りないだけなのかもしれないが、短編集なのに最後まで読み切ることができないほどの書籍であった。

  • 「エロ事師たち」「火垂るの墓」で知られる野坂昭如の短編集。
    正直よくわからなかった。
    そんな感想だとそれこそ何がなんだかわからないのでもうちょっと言うと、
    文章は面白かったが、話自体が面白いとは思わなかった。
    また読み返してみようかな・・・

  • 古いタイプの世相風刺小説で、ちょっとつらいー。

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著者プロフィール

野坂昭如

一九三〇年(昭和五)神奈川県生まれ。親戚の養子となり神戸に育つ。四五年の空襲で養父を失い、のち、実家に引き取られる。旧制新潟高校から早稲田大学第一文学部仏文科に進むが、五七年中退。CMソング作詞家、放送作家などさまざまな職を経て、六三年「エロ事師たち」で作家デビュー。六八年「アメリカひじき」「火垂るの墓」で直木賞を、九七年『同心円』で吉川英治文学賞を、二〇〇二年『文壇』およびそれに至る文業で泉鏡花文学賞を受賞。そのほか『骨餓身峠死人葛』『戦争童話集』『一九四五・夏・神戸』など多くの著書がある。二〇一〇年(平成二十七)死去。

「2020年 『「終戦日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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