行動学入門 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1974年10月9日発売)
3.44
  • (43)
  • (80)
  • (196)
  • (15)
  • (2)
本棚登録 : 2002
感想 : 95
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167124014

作品紹介・あらすじ

行動は肉体の芸術である。にもかかわらず行動を忘れ、弁舌だけが横行する風潮を憂えて、男としての爽快な生き方のモデルを示したエッセイ集。死の直前に刊行された。(虫明亜呂無)

みんなの感想まとめ

行動と認識の関係を深く掘り下げた本作は、著者の三島由紀夫が自らの思想を語るエッセイ集です。特に、行動学の章では、目的に向かって猪突猛進することの難しさと、その重要性が描かれています。口述筆記による文体...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「認識」と「行動」の二項対立を問い続けた三島由紀夫により、自決の一月前に書かれたエッセイです。

    「書かれた」と言っても、ほぼ全てが口述筆記によるものとのこと。
    文章は「話すように書け」と言われることもありますが、三島が紡ぐ言葉はまるで評論文を読み上げているが如く、いわば書くように話しているよう。
    駒場キャンパスにおける東大全共闘との討論も然りですが、静謐で美しい言葉で組み立てられています。

    やる後悔よりもやらない後悔が多い人、なかなか自分で決断ができない人などにおすすめです。

    「行動学入門」の章は、学生運動や赤軍にかかる描写が興味深く思われました。
    綿密な計画を練り、機を待ち、背水の覚悟を以てして、一定の目的に対して猪突猛進していくものであるからこそ行動は難しく、また一方で、何らかの変革を試みるのであればそういった純度の高いものでなければならないのだと感じます。

    「革命哲学としての陽明学」の章は、私に陽明学の知識がないため、なかなか内容の理解ができませんでした。
    能動的ニヒリズムなど、ニーチェの超人思想と重なる部分があるのかなとは感じたものの、そちらにも明るい訳ではないので関連はよくわかりません。
    別途陽明学に関する書籍を読んだ後に、再度ここへ戻ってきたいと思いました。
    と記したところで認識論の域を出ないのであり、陽明学の柱である知行一致説の表明する「知ツテ行ハザルハ未ダコレ知ラザルナリ」がいかにストイックであるかを痛感します。

  • 書店で見つけて目を引かれた。書籍名は「行動学入門」。そして著者名はなんと「三島由紀夫」。
    三島由紀夫が書く行動学の入門とは一体どんな本なのか、気になって買ってみた。

    本書は3部から構成されているので、各論にて書評。

    ○行動学入門
    表題作。正直言うと、ほぼ理解できなかった。
    時代背景も違えば、思想背景も違うためなのか、書いてあることが頭に入ってこなかった…。
    そんな状態なのに断定口調が多いので、圧倒的な置き去り感。

    ○おわりの美学
    これこれ!こういうのが読みたかったんです。
    当時の「女性自身」に連載されたというエッセイ。まさしくゲイが書くコラム、その元祖といった感じ。痛快ながらも、冴え渡る文章。読み物としてなかなか楽しめた。
    特に「個性のおわり」が好みだった。
    三島由紀夫が当時の世の中をどう見ていたのか、少し垣間見えたような気がした。

    ○革命哲学としての陽明学
    またまた難しい感じ、だけど、表題作よりは親しめたと思う。
    大塩平八郎を軸に、陽明学について論じる、というとお硬い感じだけど、確実に現代に通ずるものがあった。

    「社会は肉体の安全を保証するが、魂の安全を保証しはしない。心の死ぬことを恐れず、肉体の死ぬことばかり恐れている人で日本中が占めらているならば、無事安泰であり平和である。しかし、そこに肉体の生死をものともせず、ただ心の死んでいくことを恐れる人があるからこそ、この社会には緊張が生じ、革新の意欲が底流することになるのである。」

    なるほど。
    「君たちはどう生きるか」のような、個人の生き方に関する根源的な問いを投げかけられたような読後感。

  • 「世界の果てにひろゆき置いてきた」で東出昌大が読んでいた一冊。先日命売りますを読んでから気になって購入。あまり著者を知らないが、革新派で強烈な思想の持主くらいのイメージがあり、行動の基礎が垣間見れた気がする。久しぶりに難読で頭に入ってこない部分がたくさんあったが、陽明学に基づく行動に関心が出るくらいには興味を持てた。1974年当時も戦後男児の女性化、モヤシ化が進んでいたといわれているなら、現代に来たら気を失ってしまうと思う。むしろ男らしいの在り方(良いか悪いかはわからないが、個の自由度)がここまで変わっていることを見せてあげたい。
    それでも変わらない危機感として、陽明学で言及されていた「心の死するを恐れず、ただただ身の死するを恐れる」には共感できる部分があると思った。医療のゴールが不老不死ではないと思うのが、とにかく生きることに意味があるとは思えない。年齢を重ねるごとになんだこの大人と思う人も増え(これも多様性?)、考えはないが現状を維持したい人が多いように思える。なぜ生きるのか、みたいな大きい議論に答えを求めるつもりはないが、人間なんだから常に考える必要はあるはず。
    人間はどこに向かっているのやら。


    行動学入門で印象に残ったことメモ。
    ・行動の定義:一定の目的の武器を持って目的に向かってまっしぐらに突進すること。肉体的活動である必要がある。
    ・行動から発したリーダーが権力をもって行動できなくなる。
    ・行動の心理:想像力の不安とわからないことの魅力がプラスマイナスイコールゼロであり、無駄であるが、その心が肉体を動かす。
    ・行動の効果:マスコミに注目され、不安を与えることが効果なら意味がない。ただ、無意味であることを理解して起こす行動には効果が生まれる可能性がある。
    ・行動は待機することでエネルギーをためる。
    ・行動力があることは無計画であることを指さない。
    ・美は客体(ナルシズムは自己を客体とした二重操作)、行動は主体。
    ・人数が多いと行動のボルテージは下がる。団結力は言うことを聞くことではない、自発的な意思で全能力をかけて団結する。←難しいため、中心人物個人の炎も重要。

  • 最初に読んだ三島先生の著書。
    行動に対しての賛美や意味合い、ナルシズム。
    とにかくかっこいい。
    こういう人物が今の日本人にいるとすれば、政治をやるだろうと思っていたらその方は本当に日本のために動いた。
    最終的に切腹死をした人間の行動学として読んでおきたい一冊。

  • 若者よ、モヤシのようなインテリになるな!現代にも通じる視座と機知に富んだ文章でとても面白かった

  • ・一瞬へと圧縮された行動が、主体の人生の価値を体現すること
    ・行動の組織化に伴う、統率者の行動欠如
    ・行動の不惑性について
    ・行動の正当性と、「見られている」ことについて
    ・行動の超合理性と無効性がその効果の条件であることについて
    ・行動に結実する待機について
    ・行動と美、主客の関係
    ・行動美の一回性について
    ・組織と、行動の無頼性について
    ・行動の反社会性について

    --
     「行動主体」は、「見られること」に迎合してしまうリスクをはらんでいる。超合理性や無効性は、この迎合を断つ理屈立てとしてはいいかもしれない。

  • 明るい時の三島由紀夫・・・好きだー!読んでいて、なんだか興奮してくる感じが面白かった表題のエッセイ「行動学入門」も好きだけど「おわりの美学」が個人的には好きだった。文章の硬さと内容の軽さのバランスがちょうどよかった。

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00190382

  • 初の三島由紀夫エッセイ。なんだこれ!めちゃくちゃ刺さるの一言。
    文章の重さと軽さのバランスが絶妙で痛快極まりない。時代に合わない部分もあるけれど、男性の力強さや思考回路は学びになります。
    終わりの美学パートはとことん面白いです。笑いが止まらないところも多々。学校のおわり、個性の終わりは爆笑しちゃった。

    人間足るもの行動してナンボ。「行動は肉体の芸術である」って言葉がかっこよくてとても好き。

    メモ
    40 行動と待機
    104 学校のおわり
    109.115美貌のおわり
    135 個性のおわり
    173 嫉妬のおわり

  • 1970年11月25日の自決決行まで、ほぼ全ての人が三島の決起を予想していませんでした。たしかに、三島の漠然とした異変に気付いていた人も少なくはありませんでしたが、まさかそんなことまでしないだろうと考えていたのです。

    ですが自決後時を経て、まさにこの本で三島の予言していた通りになったのでした。『行動学入門』には三島の思いが真っすぐ述べられています。自分はこれからやるぞ。行動するぞ。俺は口先だけの人間だけではないんだと強く迫ってくるような迫力があります。

  •  本作には作者の行動に対しての美学が突き詰めて言及されておりました。特に行動というのは一瞬の輝きであり、一度抜いたらもう戻せない刀のようである、という考えに惹かれました。一度動き出したら止まることの知らないもの、そう考えると恐ろしい気持ちになると同時に、それ故に行動には覚悟が必要である、と考えました。
     本作は「葉隠入門」とも密接に関わる内容になります。そちらもぜひお読みいただきたいです。作者の晩年の行動につながる思考が垣間見えます。

  • 前1/3は三島由紀夫らしい理屈張った感じだが、中程から不道徳教育講座よろしくブラックユーモアとウィットに富んでたいへん面白い。
    旅行の終わり という章があるが、男の勝手な理論ですが、さもありなんと思ってしまった。

  • おわりの美学ハイパー面白かった

  • 読了
    2026/07/01

  • 軍絡みの例えが多く、行動学入門という抽象的なタイトルを名乗るには思想が偏りすぎているとおもう

  • OLの終わりっていうエッセイが面白かった!

  • 三島由紀夫の著書を初めて読んだ。
    代表作を読んでみたい。

  • 三島由紀夫のエッセイは2冊目
    普遍的なテーマについて書かれている
    令和の現代に読んでも興味深く面白い
    ユニーク

  • 小説で垣間見れるのは一部だが、本人の考えを余す所なく知れる。何を考え何が最後の行動に繋がったのか。認識か行動か。また金閣寺が読みたくなった。そしておわりの美学以外全てが口述筆記というから驚く。西郷が愛読したという大塩平八郎著『洗心洞箚記』も読みたくなった。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00202310

全81件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三島由紀夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×