若きサムライのために (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1550
レビュー : 139
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167124038

感想・レビュー・書評

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  • 三島の小説を読む前に自決直前のエッセイ集である本書を手に取った。後半の対談は知識不足が故にほとんど理解することができなかったが前半の精神講話は面白かった。論ずる以前に理解することもできないのは恥ずかしい、政治についても勉強していきたい。

    彼の基本的な考えがあとがきにまとまっているので引用する

    精神といふものは、あると思へばあり、ないと思へばないやうなもので、誰も現物を見た人はいない。その存在証明は、あくまで、みえるもの(たとへば肉体)を通して、成就されるものであるから、見えるものを軽視して、精神を発揚するといふ方法は妥当ではない。行為は見える。行為を担ふものは肉体である。従って、精神の存在証明のためには、行為が要り、行為のためには肉体が要る。かるがゆえに、肉体を鍛へなければならない、といふのが、私の基本的考へである。

    • てぃぬすさん
      肉体を精神の発現としてみてるのか。小説読みたいわ。
      肉体を精神の発現としてみてるのか。小説読みたいわ。
      2019/12/09
  • あくまで個人の中限定の話であるが道徳の教科書…いや、参考書かな。参考書にしたい本。
    「お茶漬けナショナリズム」を境にして、後半の対談などは不道徳教育講座よりずっと難しく、一度読んだ程度ではインプットしきれない情報量が沢山あるが、本書を一度読めば、三島先生の伝えたいところの根本的な部分、「精神と文化」~「文武両道」~「武力とは何の為のものであるか」そういう、「文化」と「武力」の二つの異なったものを精神に修めてゆくことの大切さを知ることができると思う。
    「若きサムライのための精神講話」では不道徳教育講座のようにひっくり返されるような驚きはそこまで無い物の、わかりやすく噛み砕いて、そこのへんの所を教えてくれます。

    「若きサムライ」である我々若い読者からすれば、三島先生は知った初めから「切腹した作家」です。
    本書を読んでいると、「何故切腹してしまったのか?」という部分がなんとなくわかってくるような気がしてきます。そういう、三島先生の精神に触れる本です。
    命より大切な、しかし肉体と肉体による行動無くしては証明されない(文字では表現にしかならず、証明にはならない)「精神」が、現在も「切腹した作家」という鮮烈な6文字で我々の頭に浮かび上がっています。

  • 面白かった。
    『若きサムライの精神講話』にも後半の対談集にも、三島由紀夫が当時懸念した問題に言及している。そのまま顧みなかったから今の日本があるんだろうか、と思う点が少なからずあった。にしても、何度か思ったことだけれど「失われた美徳は二度と取り戻せないのか」という命題は、悲しいが確かなことなのかもしれない。

    一番心に残ったものは、解説の「三島自害後に生まれた人間にとって、何よりもまず『切腹した作家』と知る」だ。読んだ人も読まないままの人も、『右の人』という認識は続く。ただ、たまにいる「思想から結果が先に出ており、思考過程と論理は後付けで支離滅裂」な人とは別である。あの時代、理知的な右である三島由紀夫という人から見て、そう考える十分な理由、雰囲気というものがあったのだろう。そして、いくつかは悲しい現実となった。親が子を殺し子が親を殺すという現状は異常であるが、腹立たしいことに現実だ。
    強い感情に見合う高い知恵が、そのバランスが、狂おしいほど羨ましい。そして、おそらく感情が勝っていただけに死なずにはいられなかった、人の熱に期待せずにいられなかった心が、ただただ悲しい。けれど、その生に勝手に眩しさを感じる凡人の心を、許してほしいと思う。

  • 半世紀近くも前に上梓されたにも関わらず、21世紀の現代社会の歪みを目にしながら筆を執っているかのように新鮮さがある。

    学生運動に関しては、先鋭化され、暴力が蔓延している分だけ見えやすいしわかり易い。ここを斬るのはそう難しくはないと思う。
    だが、特定国からの経済やスパイ行為による這いよる間接侵略に打つ手が無い日本のもどかしい現状を、この時代から正鵠を射て論じていたことにはただただ感服するばかり。

    漸く時代が三島に追いついてきたというべきか。

    とはいえ、過激思想であることは事実。当時、三島の言うとおりに日本の舵取りが進んでいたら、今頃は間違いなくテロとの戦いに巻き込まれていただろう。
    9条バリアなどはまやかしだが、事実としてそれがあるおかげで戦後70年、日本の軍隊は誰も殺めていない。そこはまた尊重するし誇りにも思うべき。

    まあ大事なのは今を生きる我々が責任を持って考えること。作中にもあった、現実肯定主義ならぬ現実理想主義というイデオロギーには全面的に賛成したい。

  • もう若くもサムライでもないが読んだ。その昔二十歳そこそこで本を読みだした時に"ジャケ買い"して手に取ったことを覚えている。今あらためて読んでも面白かった。対談のところは少し前提となる知識が無いので分からないことが多かったが、それも又何度も読んでいくうちに理解出来てくるのだろうと思う。ともかくもっと勉強せねばならないと感じる。それだけ三島を前にしたら自分がアホだなあとしか感じられない。劣等感を刺激されてしょうがない。もちろんアホなんだから仕方がないのだけど…早く(まともな)人間になりたあ〜い。とベムの様に叫ぶ自分だった。文中ピクンときたところ。「記録そのものにも才能がいり、あらゆるスポーツや技術と同じように、長い修練の過程がいる。修練をしていては、人生は楽しめない。また、冒険のただ中に記録の才能を訓練することはできない。そこで、人々が、自分の人生を記録しよう、それを世にもおもしろい物語として、後世に残そうと思うときは、たいていおそいのである。」「人生というものは、死に身をすり寄せないと、そのほんとうの力も人間の生の粘り強さも、示すことができないという仕組になっている。」「かつてハイネがいみじくも言ったように、青年を決して鼓舞しないゲーテのような文学は、いかに古典的に完成していても、不毛にすぎないという見方がが生れてくる。ここに芸術に対する、相反する二つの要求が、人生の側から降りかかってくるのである。つまり、退屈した平和な時代は、ある意味では爛熟した芸術は生むけれども、その爛熟した芸術は、その生の不安に耐えられない魂を、十分に魅惑することができないという矛盾が起こってくるのである。」「服装のほんとうの楽しみは、自由自在に勝手気ままなものを、好きな場合に着て歩くことではない(中略)服装は強いられるところに喜びがあるのである。強制されるところに美があるのである。」「人生は、成熟ないし発展ということが何ら約束されていないところにおそろしさがある。われわれは、いかに教養を積み知識を積んでも、それによって人生に安定や安心が得られるとは限らない。(中略)しかし私は確信を持って言えるが、どんな自由な世界がきても、たちまち人はそれに飽きて、階段をこしらえ自分が先に登り、人をあとから登らせ、自分の目に映る景色が、下から登ってくる人の見る景色よりも、幾らかでも広いことを証明したくなるに違いない。要はその階段が広いか狭いか、横になって一列に登れるか、あるいは縦一列でしか登れないかの問題である。われわれがその階段をいかに広くしても、階段をほしいという人々の欲求をなくすまでには至らぬであろう。長幼の序が重んじられなくなると、逆転してら人々は「若さ」をもっとも尊敬しなければならなくなるにちがいない。」けだし名言の数々。またいつかあらためて読み直したい。

  • 哲学がある。
    男として筋が通ってる。
    憲法について思うところが多々あった。

    福田氏との対談が面白かったので、福田氏の著書を読んでみようとおもう。

  • 筆者は自決を遂げたがゆえに極右の印象を抱いていたが、それが変わった。守るべきものと変えるべきを峻別していていて、前者が変わりつつあったから命を懸けたのだ。峻別できるよう見識を磨くのが教養を高める必要性に他ならない。

  • 「お茶漬けナショナリズム」と
    「文武両道と死の哲学<対談>福田瓦存」が面白かった。
    ・前者は西洋との比較をやめて自然な日本人になれという説

  • たまには、読まねばならない本ですね。

  • おもしろかった。「なるほどなぁ。」と思わさせられる示唆に富んでる。三島由紀夫が現代社会を切るとどう書くのか、すごい気になる。

著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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