おふくろの夜回り (文春文庫 み 5-9)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167125097

作品紹介・あらすじ

稀代の名文家として名を馳せた著者が、「オール讀物」の巻末頁で書き継いだ随筆集。わずか千字の中に、故郷である東北の風土やそこで暮らす人々の肌合い、或いは亡き父母を慕う心根といったものが、すぐれたデッサン画をみるように確かな筆致で表現されている。短編の名手でもあった作家の本領が伺える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の本は3冊目
    原稿用紙3枚足らずに書かれたものとは思えないほどの物語がある。そして情景が目に浮かぶ。
    読み進めて行くと様々な感情が涌いてくる。あるところでは思わず笑い声がでてしまったりとユーモアも感じさせながらもどれも暖かいお人柄が偲ばれる。

  • 一つひとつの話が素敵な物語。
    読んでいて心が安らぐエッセイ。

  • 丁寧に、丁寧に、短い文章、他愛もない日常のことが綴られていて、おそらく自分の身の周りでも起こっているであろうに、こうして読まないと気がつかない。
    幼い頃、今を大切に思い、これからをゆったりとした目で見ていきたいと思う。

  • 【確かで美しい日本語。名文家最後の随筆集】故郷に思いを馳せ、亡き父母を追慕し、日々の生活を静かに見つめる。肺腑にとどく名文の数々。確かで美しい日本語がここにある――。

  • いまは亡き人と、しみじみと語らうような時間がすごせる。やわらかく美しい、言葉の遣い手だったと思う。

  • 著者三浦哲郎さんが雑誌『オール讀物』の巻末ページで連載していたエッセイの中から特に優れたものを集めた本です。
    帯のところに『ここに確かで美しい日本語がある』と書かれていて、まさしく美しい日本語の文章を読むことができました。
    そのページに割り振られているのが千文字だったということもあるでしょうが、装飾もなくシンプルに綴られていきます。
    けれど、その行間に描かれている景色の色彩を感じることができました。

    エッセイの内容は、東北に住む母の思い出話や自身の日常についてのことで、読んでいると少し前の平和で温かい人間同士のつながりがある生活を感じることができます。
    今はなくなりかけているものだなぁと思うと、じんわりとしみてくるような心地よさがしました。
    私はここに書かれているような生活を知らないし、田舎というものを知らない東京育ちなので、年齢が高めの人や田舎から上京してきた方々はもっと身近に懐かしく読むことができるのではないかと思います。

    巻末にある文芸評論家の秋山駿さんの解説も興味深かったです。
    秋山さんは著者である三浦さんと親交があった方で作家の人柄についてそこに書いています。
    作家とはなんなのか?
    どういう姿勢で作品に向き合えばいいのか?
    それを読んでから読み返すとさらに色彩は広がって奥深く感じられました。

  • 生き抜くことを決めている著者の静かな穏やかな強さを、この短い文章の中にも感じました。

  • ひさしぶりに読んだ三浦哲郎。最後に掲載されている姉についての話「地唄〈黒髪〉の想い出」がとてもよかった。八十六歳の姉、その会話がゆっくりとしていて、愛情にみちあふれている。さりげない一つ一つの言葉にこの姉弟が歩んできた道程、そしてつよい絆というものをひしひしと感じた。この一編があるだけで、ああよかったという気持ちになった。

  • 昭和50年野犬。ニリンソウ・シドケ(モミジガサ)/トリカブト。昭和8年3月3日東北で津波。平成4年上海で竜巻。

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著者プロフィール

三浦哲郎

一九三一(昭和六)年、青森県八戸市生まれ。早稲田大学文学部仏文科を卒業。在学中より井伏鱒二に師事した。五五年「十五歳の周囲」で新潮同人雑誌賞、六一年「忍ぶ川」で芥川賞、七六年『拳銃と十五の短篇』で野間文芸賞、八三年『少年讃歌』で日本文学大賞、八五年『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞、九一年『みちづれ』で伊藤整文学賞を受賞。短篇小説の名手として知られ、優れた短篇作品に贈られる川端康成文学賞を、九〇年に「じねんじょ」、九五年に「みのむし」で二度にわたり受賞。他の著作に『ユタとふしぎな仲間たち』『おろおろ草紙』『三浦哲郎自選全集』(全十三巻)などがある。二〇一〇(平成二十二)年死去。

「2020年 『盆土産と十七の短篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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