珠玉 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 208
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167127114

作品紹介・あらすじ

アクアマリン-掌のなかにきらめく、記憶の海の色。ガーネット-流された血と流されなかった血の物語。ムーン・ストーン-男のいのちの1滴のしたたり。3つの宝石に托して語られる3つの物語。これは、時代を駆けぬけて逝った小説家が、死の直前に書き遺した限りなく澄明な白鳥の歌である。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎「十六の話」より
    *老医師、中華料理店主、阿佐緒は 全て 空の転じたもの
    *開高健は 「珠玉」によって みずからの生を送り、みずからの葬儀をしつらえ、みずから声明梵唄をとなえた

    開高健 「 珠玉 」3つの短編小説。最後の「一滴の光」だけだと変態小説だが、司馬遼太郎の書評を 参考に 3編連作の遺作として読むと、著者の死を迎えた空の境地が見えてくる

    珠玉=宝石=尊いもの。3編とも尊いものとは何かを問うている。「掌のなかの海」では 息子の記憶。「玩物喪志」では 作家としての志。「一滴の光」では 慈悲の世界

  • 読んで損なし。

  • 2012.7.8 読了

  • タイトルの「珠玉」の文字通りの宝石を核として、開高健らしく酒にまつわる話を3つ。

    内容は「ザ・文学」とでもいうような、改行のほとんどないカチカチの硬派で、しかも石にまつわる幻想風景のような話が挟み込まれるので、まあ読みにくい。

    途中は開高健らしい、中国の故事やいろんな昔話、物に関する蘊蓄がたくさん詰まっており楽しめるのだが、他の作品に比べると、それらが読み手に襲い掛かってくるような、そういう勢いは少ない。

    最後はエロ絡みにまとまるも、いつものウィットや皮肉というものも感じられず、ただただ真面目で重い印象であった。

    初めての開高健なら、他の作品が良いでしょう。

    子供向けではないが、エロ描写まで我慢して読み進めることのできる子供はほとんどいないだろう。

  • 「開高健最後の文学作品」というタグがあるらしいんですが、まあ、それはおいておいて。

     3つの石をモチーフに記憶や現在が描かれる”石小説”、もしくは作家本人の回顧、老境小説と呼んでもいいでしょう。
     光の当たりかたによって表情を変える石の煌きのように、人の人生も光の当て方でいろいろに映しだされる、記憶が引っぱり出される、もしくは今現在の輝きをふと感じる。

    「文學」というものは具体的に存在しなくてね、「文學する」「文學している」という状況があるのだ、というのはあたしの師匠の受け売りなんですが、人生の間に間に「文學する」瞬間がある。その瞬間瞬間を石の煌きにリンクさせた、というのが本作の、文学作品としての値打ちではないでしょーか。

     老境小説だなーって思って読んでいると最終話でいきなりふんだんなエロ展開が待っているので、期待していいぞ!

  • 掌のなかの海、老医者の高田先生は息子を海で亡くし、船医となり世界の港を探し廻るが、アクアマラリンという宝石を握りしめて、寂しがり屋と話す。第二は中華料理の主人から預かったガーネットと老子の話、第三はムーンストーンと彼女の話、探していたものは、女出会った最後に解る。一挙に読めた物を巡る人の話、本屋で探す本、題字を見るだけで、本が判る‼︎安岡先生も同じような話を書いていた。

  • 開高健の遺作、1990年に初めて読みました、この人のノンフィクションに凄く影響を受けました、
    正直 物語には 当時19歳位ですがあまり好きでは無かったのですが… なんか 知性とボキャブラリーに酔わされて(^ .^)y-~~~ 高級クラブの勘違いしたネエチャンみてーな文章が鼻について(^-^; さて43歳になって読み返すと( ̄□ ̄;)!! 凄いもんです 紡がれて 磨り潰されて 寝かされた文章が胸をうちます! 「本当に毎日楽しかったら芝居なんかしない」 と 言った役者さんがいましたが、この人は心に灯った小さい炎を消さないように 体を折り曲げながら 言葉を紡いで死んでいったのだと感じました。
    食を語り 酒を語り 戦争を語り 女を語り 釣りを語り… 最後の物語のelementは宝石でした…
    アクアマリン ガーネット ムーンストーン
    海の色と 血の色と 月明かりの色 静謐と言う言葉がぴったり当てはまる話です(^ .^)y-~~~

  • 命が尽きる間際、自分が巡らす回想の中には、どこのどんな光が見えてくるのでしょう。
    開高健は手術後にこの作品を仕上げ、その年に亡くなりました。

    物書きの同一人物を語り手に、30年前、20年前、そして今を舞台に、アクアマリン、ガーネット、ムーン・ストーン、3種の宝石を散りばめた3篇です。

    海に消えた息子を探し訪ねる先で買い求めたアクア・マリンに、老父が見る各地の海、息子への思い。

    博打好きの中華料理店主が紙にくるんで渡してきたガーネットに、主人公の男が見るタイの夕日などの回想。

    六本木のはずれで見かけて買ったムーン・ストーンに、一瞬見た青い光。

    回想とともに語られる心持ちに、重しがかかったような硬さと追われる身のような臆病さが感じられます。

    「掌のなかの海」の先生、「玩物喪志」の中国料理店主、
    「一滴の光」の女性阿佐緒といった登場人物たちにも、
    終着点の定まらない漂流感を見出すことができます。

  • 石が買いたくなった。
    読んだあと、何か温かいものがとどまりつづける。
    すこしだけ開高健の人生を見ることができた気がする。

  • 単行本

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著者プロフィール

開高 健(かいこう たけし、かいこう けん)
1930年12月30日 - 1989年12月9日
大阪府、天王寺区生まれの小説家。大阪市立大学法文学部法学科在学中、同人誌活動を始める。洋書輸入商、壽屋(現・サントリー)宣伝部を経て、作家活動を開始。
1958年、『裸の王様』で芥川賞、1968年『輝ける闇』で毎日出版文化賞、1979年『玉、砕ける』で川端康成文学賞、1981年菊池寛賞、1987年『耳の物語』で日本文学大賞をそれぞれ受賞。ほか、主な著書に『日本三文オペラ』『夏の闇』『私の釣魚大全』『人とこの世界』などがある。

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