海軍主計大尉小泉信吉 (文春文庫 こ 10-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167130015

作品紹介・あらすじ

一九四二年南方洋上で戦死した長男を偲んで、戦時下とは思えぬ精神の自由さと強い愛国心とによって執筆された感動的な記録。ここに温かい家庭の父としての小泉信三の姿が見える。

感想・レビュー・書評

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  • 「戦没した子を思う親の心情があふれる名著」

  •  
    ── 小泉 信三《海軍主計大尉小泉信吉 19750125 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4167130017
     
     小泉 信吉 慶應義塾長 2 18530312 紀伊 18941208 41 /横浜正金銀行支配人/嘉永 2.0203
     小泉 信三 慶應義塾長 7 18880504 東京 19660511 78 /東宮(皇太子)御教育常時参与
    /19450310 東京大空襲で、焼夷弾により顔面に大火傷
     
     小泉 信吉 海軍主計大尉 19180117 鎌倉 19421022 24 /南太平洋方面で戦死
    /信三の長男(Sinkichi)/祖父(Nobukichi)の名を継受。
     
    ♀Vining, Elizabeth Gray 19021006 America 19991127 97 /1946-1950 滞日
    ── ヴァイニング/小泉 一郎・訳《皇太子の窓 1953‥‥ 20150420 文藝春秋》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4168130444
     
     繼宮 明仁 “上皇”天皇 19331223 東京       /125[19890107-20190430]
    (終戦時の皇太子殿下)に、教育参与と、家庭教師が仕えた。
    …… 無信不立(民、信なくんば立たず)── 論語《顔淵第十二》
     
    …… 生物には親がなければならぬ!(スパランツァーニ)。
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19710228
     |
     親でなくとも、教師として、子を育てる名誉もある。
     ヘレン・ケラーを教えた“奇跡の人”アニー・サリバンのように。
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19361020
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20080610
     愛は先着順、恋は後着順 ~ ゆらりゆら 行方も知れず 恋は未知 ~
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C8%F3%BA%A7
     
    …… 結婚に関してはと言うと、子孫を残すのって生物にとって、自然
    なことなのでは?と思っておりますが、やっぱお節介ですかね。とほほ。
    https://q.hatena.ne.jp/1625619450#a1277895(20210713 17:10:03)
     
    (20210713)
     

  • 慶應義塾大学の学長である父小泉信三による、戦死した子、主計士官小泉信吉の記録。
    子を愛した親の戦争。

  • 戦時中に慶應義塾の塾長だった著者が、息子信吉氏の人となりや家族との心暖まる交流を書き記し、また、戦地から送られてきた数々の書簡を披露して、信吉氏を追悼した書。

    親族一同が慶應義塾出身で父親が経済学者にして慶應義塾の塾長という、絵にかいたようなハイソな知識人一家に生まれた信吉氏。笑い上戸でガツガツしたところのない穏やかな人となり。家族との中むつまじさは読んでいて羨ましいほど。父親に「二十五歳で信吉が後にした人生は、幸福に満ちた人生であるとともに、彼れに望む限りのものを既に与えたともいえる人生であった。」と言わしめる信吉氏の生涯は、戦争へと向かう暗い世相の中にあって、とても満ち足りたものだったようだ。

    本書には、戦時中に書かれたものであるためか、戦争に対する批判は一切ない。また、著者は偉大な教育者として若者の精神を鼓舞する側に居たようで、この辺のところは差し引いて読まなければならないのかも知れない。

    淡々とした筆致が、却って著者の信吉氏への思いの深さを感じさせる。

  • 慶應義塾大学の元塾長、小泉信三が太平洋戦争で戦死した長男信吉について著した回想記。25歳での戦死である。
    戦争のことよりは、赴任地との間で遣り取りされる手紙を中心に父と息子または家族の絆を綴ったもの。
    父と息子が強い想いと絆で結ばれつつ、その中でも礼節が重んじられる。共に思いやりを持ちつつも親子間では適度な距離感を保っている。
    父親にとっての理想の息子であり、息子にとっての理想の父親がこのような関係なのだろう。
    もちろん、胸に迫るくる場面では涙なくして読み進めることはできない。

    以下引用~
    ・若し彼が生きてこの戦闘から帰ったなら、彼はやはりこの戦闘をも、あまり壮烈凄惨なものとしては描かず、ただ日常の事件のような風に物語り、或いはその間に幾分戦友の、或いは彼自身の滑稽な場面をさえ見出して語ったであろうことこれである。
    彼は決して沈勇な士ではない。ただ物事を大事らしく言わない、こういう趣味流儀の人間であった。前に掲げた彼の艦上通信も、第一線に立つ軍人としては少し呑気すぎ、旅行に出た学生の見聞記のようで、実はここに映し出すのも如何かと思ったくらいである。
    勿論、彼とても幾分は力めて、父母に艦上生活の愉しい一面のみを語るという心遣いはあったかも知れない。・・・・
    彼とても、軍人としての責務や死生の事を考えなかったという筈はない。ただ彼は言葉に出してそういうことを語るのに不精であった。これも人間の一つの型であろう。

  • 4167130017 266p 1988・11・25 6刷

  • (1979.09.28読了)(1975.01.11購入)
    *解説目録より*
    1942年南方洋上で戦死した長男を偲んで、戦時下とは思えぬ精神の自由さと強い愛国心とによって執筆された感動的な記録。ここに温かい家庭の父としての小泉信三の姿が見える。

    ☆関連図書(既読)
    「昭和史[新版]」遠山茂樹・今井清一・藤原彰著、岩波新書、1959.08.31
    「太平洋戦争 上」ロバート・シャーロッド・中野五郎編、カッパブックス、1956.06.20
    「太平洋戦争 下」ロバート・シャーロッド・中野五郎編、カッパブックス、1956.06.30
    「もはや高地なし」ニーベル・ベイリー著、カッパブックス、1960.10.15
    「大東亜戦争肯定論」林房雄著、番町書房、1965..
    「続・大東亜戦争肯定論」林房雄著、番町書房、1965..
    「秘録 東京裁判」清瀬一郎著、読売新聞社、1967..

  • 戦死した息子(小泉信吉)を想いながら父親(小泉信三)が書いた記録書。
    戦争の内容や特別なドラマが描かれているわけではない。息子がどんな人間だったのか、思い出しながら彼の歴史を整理して、この本をささげようとしただけの著書だ。
    しかしながら、親の子を想う気持ちがよく伝わる。

    母親に比べて父親は子どもを理解しきれないものだと思うが、この著書の中では父親が、自分から見た息子がどんな性格であったか、何を趣味にし、何を好む人間だったかを思い出しながら切々と信吉の姿を書いていく様子がとても切なく、父親の愛情は母親の愛情とは別の形で確かにあるものだと感じさせられる。

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著者プロフィール

経済学者、教育家。明治21(1888)年、東京三田に生まれる。普通部より慶應義塾に学び、体育会庭球部の選手として活躍。明治43年、慶應義塾大学部政治科を卒業し、慶應義塾の教員となる。大正元(1912)年9月より大正5年3月まで、イギリス・ドイツへ留学。帰国後、大学部教授として経済学、社会思想を講ずる。大正11年より昭和7(1932)年まで庭球部長。昭和8年より昭和22年まで慶應義塾長を務める。昭和24年より東宮御教育参与として皇太子殿下(今上天皇)の御教育にあたる。昭和34年、文化勲章受章。昭和41(1966)年、逝去。著書に『共産主義批判の常識』、『読書論』、『福沢諭吉』など多数あり、歿後には戦死した長男を追悼した『海軍主計大尉小泉信吉』が刊行された。また、『小泉信三全集』(全26巻・別巻1)、『小泉信三伝』等が編纂されている。平成20(2008)年には「生誕120年記念小泉信三展」が慶應義塾大学三田キャンパスで開かれ、多くの来場者を集めた。平成28年に歿後50年を迎えた。

「2017年 『小泉信三エッセイ選 2 私と福澤諭吉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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