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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167130015
作品紹介・あらすじ
一九四二年南方洋上で戦死した長男を偲んで、戦時下とは思えぬ精神の自由さと強い愛国心とによって執筆された感動的な記録。ここに温かい家庭の父としての小泉信三の姿が見える。
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この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
戦争という異常な状況の中で、深い愛情と精神の自由さを持つ父親が、戦死した息子への思いを綴った感動的な記録です。著者は、息子の信吉が25歳で亡くなったことを受け止めつつも、戦争を断じる言葉を持たず、代わ...
感想・レビュー・書評
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戦没した子を思う親の心情が溢れる名著。
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小泉信三先生、
ご高名ながら
浅学につき
天皇陛下のご教育係だっけ?
程度の知識しかなかったのですが
若くして戦死された息子さんの伝記とも言える
この文章、胸に沁み入りました。
端正で緩みなく、美しいです。
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ベストセラーを読む
著者は慶應義塾塾長。戦死した一人息子の記録。
淡々とした静かな文章の奥に、父親の深い愛情を感じる。
昭和17年10月22日戦死
昭和18年春〜19年4月2日執筆
一冊を読んで最初に感じたこと。戦争というものが如何に異常なことかということ。
ひとり息子を25という若さで奪われたにも関わらず、この状況を、戦争を、国を、断じるような言葉が見当たらない。
ならば、戦争を肯定しているのだろうか。『親としてわが子の長命を祈らぬ者はない』という一文や復刻の依頼に「あの本を出すのは、また、あの本を読まなくてはならぬ。僕にはそれはとても悲しいことなんだ」と断られたことなどは、無念さの表れだろう。
立派過ぎる親を持つ子が問題(事件)を起こすことは特に珍しくもないというより、そうした偏見のようなものが私には刷り込まれている。
しかし、この本を読む限りは好青年。仕事にも真面目に取り組み、コミュ力も抜群。
それは、家族の中にユーモア精神が根付いているからに他ならないのではないかと思った。
日々の小さなことを面白がり、共有して更に面白がる。そんなことの繰り返しが、人を真っ直ぐにするのかな、なんて考えた。
読んで良かった。 -
「戦没した子を思う親の心情があふれる名著」
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慶應義塾大学の学長である父小泉信三による、戦死した子、主計士官小泉信吉の記録。
子を愛した親の戦争。 -
戦時中に慶應義塾の塾長だった著者が、息子信吉氏の人となりや家族との心暖まる交流を書き記し、また、戦地から送られてきた数々の書簡を披露して、信吉氏を追悼した書。
親族一同が慶應義塾出身で父親が経済学者にして慶應義塾の塾長という、絵にかいたようなハイソな知識人一家に生まれた信吉氏。笑い上戸でガツガツしたところのない穏やかな人となり。家族との中むつまじさは読んでいて羨ましいほど。父親に「二十五歳で信吉が後にした人生は、幸福に満ちた人生であるとともに、彼れに望む限りのものを既に与えたともいえる人生であった。」と言わしめる信吉氏の生涯は、戦争へと向かう暗い世相の中にあって、とても満ち足りたものだったようだ。
本書には、戦時中に書かれたものであるためか、戦争に対する批判は一切ない。また、著者は偉大な教育者として若者の精神を鼓舞する側に居たようで、この辺のところは差し引いて読まなければならないのかも知れない。
淡々とした筆致が、却って著者の信吉氏への思いの深さを感じさせる。 -
慶應義塾大学の元塾長、小泉信三が太平洋戦争で戦死した長男信吉について著した回想記。25歳での戦死である。
戦争のことよりは、赴任地との間で遣り取りされる手紙を中心に父と息子または家族の絆を綴ったもの。
父と息子が強い想いと絆で結ばれつつ、その中でも礼節が重んじられる。共に思いやりを持ちつつも親子間では適度な距離感を保っている。
父親にとっての理想の息子であり、息子にとっての理想の父親がこのような関係なのだろう。
もちろん、胸に迫るくる場面では涙なくして読み進めることはできない。
以下引用~
・若し彼が生きてこの戦闘から帰ったなら、彼はやはりこの戦闘をも、あまり壮烈凄惨なものとしては描かず、ただ日常の事件のような風に物語り、或いはその間に幾分戦友の、或いは彼自身の滑稽な場面をさえ見出して語ったであろうことこれである。
彼は決して沈勇な士ではない。ただ物事を大事らしく言わない、こういう趣味流儀の人間であった。前に掲げた彼の艦上通信も、第一線に立つ軍人としては少し呑気すぎ、旅行に出た学生の見聞記のようで、実はここに映し出すのも如何かと思ったくらいである。
勿論、彼とても幾分は力めて、父母に艦上生活の愉しい一面のみを語るという心遣いはあったかも知れない。・・・・
彼とても、軍人としての責務や死生の事を考えなかったという筈はない。ただ彼は言葉に出してそういうことを語るのに不精であった。これも人間の一つの型であろう。 -
4167130017 266p 1988・11・25 6刷
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(1979.09.28読了)(1975.01.11購入)
*解説目録より*
1942年南方洋上で戦死した長男を偲んで、戦時下とは思えぬ精神の自由さと強い愛国心とによって執筆された感動的な記録。ここに温かい家庭の父としての小泉信三の姿が見える。
☆関連図書(既読)
「昭和史[新版]」遠山茂樹・今井清一・藤原彰著、岩波新書、1959.08.31
「太平洋戦争 上」ロバート・シャーロッド・中野五郎編、カッパブックス、1956.06.20
「太平洋戦争 下」ロバート・シャーロッド・中野五郎編、カッパブックス、1956.06.30
「もはや高地なし」ニーベル・ベイリー著、カッパブックス、1960.10.15
「大東亜戦争肯定論」林房雄著、番町書房、1965..
「続・大東亜戦争肯定論」林房雄著、番町書房、1965..
「秘録 東京裁判」清瀬一郎著、読売新聞社、1967.. -
戦死した息子(小泉信吉)を想いながら父親(小泉信三)が書いた記録書。
戦争の内容や特別なドラマが描かれているわけではない。息子がどんな人間だったのか、思い出しながら彼の歴史を整理して、この本をささげようとしただけの著書だ。
しかしながら、親の子を想う気持ちがよく伝わる。
母親に比べて父親は子どもを理解しきれないものだと思うが、この著書の中では父親が、自分から見た息子がどんな性格であったか、何を趣味にし、何を好む人間だったかを思い出しながら切々と信吉の姿を書いていく様子がとても切なく、父親の愛情は母親の愛情とは別の形で確かにあるものだと感じさせられる。
著者プロフィール
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