栄光なき凱旋 下 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2009年8月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167131135

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

歴史と人間の複雑な関係を描いたこの作品は、第二次大戦を背景に、アメリカにおける在米日系人の苦悩や人種差別問題に焦点を当てています。詳細な調査に基づいた描写が、フィクションでありながらも深い学びを提供し...

感想・レビュー・書評

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  • はからずも「永遠の0」に続いて第二次大戦関連の長編。アメリカが抱える問題をかくも詳細に記述してあることに驚きを覚える。在米日系人が開戦でどうなったのか、日本ではほとんど語られていない歴史に焦点をあて、白人社会の根深い人種差別問題を指摘しつつ、何人かの日系人の人生が綴られている。もちろんフィクションだが、その背景は綿密な調査を元に記述されており、「永遠の0」とは違う意味で大いに学ばされた。

  • 上、中、下巻を通して、その人の育った環境や教育によって人間の行動は大きく変わるのだということを考えさせられた。後半になるにつれて先の展開が気になるようになった。上巻は頑張って読む。

  • 正義と正義がぶつかる戦争。
    人の数だけある正義。
    色々な歪みや犠牲者が出るから
    怖い物です。
    当たり前のことだけれども、
    当たり前でないからぶつかり、
    傷つくのだろうなぁ。
    本当に怖い行いです。

  • 3人の心理描写が多すぎてせっかく良いラストまでが長すぎて苦痛。

  • 180730*読了
    戦争の過酷さが身に染みました。
    祖国で枕を高くして寝る人々のために自らが犠牲になる。まさしく死にものぐるいで戦う。殺さなければ殺される。気が狂うほどに追い詰められる兵士たち…。
    こんなにも酷い戦争がこれ以上起こらないでほしい。
    現に今でも内紛や戦争が起きている国があると思うと胸が苦しくなります。

    最終的にジローの物語へと帰結していくわけですが、マットとヘンリーの運命も哀しいものがありました。

    義父から譲り受けなければ決して読むことがなかった、この小説。恐ろしく辛い戦争の事実をこうして胸に刻ませてもらった、本との縁に感謝します。

  • 1ヶ月ぐらいちびちびと読みすすめていたのだが、クライマックスは不覚にも感動してしまった。
    同じ主題で読んだことのある山崎豊子の「二つの祖国」と必ず比べられると思うのだが、山崎豊子のほうはぐいぐい読ませるのに対し、「栄光なき凱旋」はつっかえつっかえ読んでしまう印象。重厚感は「栄光なき凱旋」が勝ちかも。でもどちらも面白かった。
    ヨーロッパ戦線で活躍した日系部隊がアメリカ史上でもっとも多くの勲章をもらった(つまり死傷者多数)というのは全くの初耳。勉強になった。
    でも、たしか「二つの祖国」の中でもヨーロッパ戦線の話はあったような・・・
    (主人公の弟がヨーロッパ戦線を戦う)

    どちらにしろ比べられてしまうのはしょうがないかなと思った。

  • 信保裕一の描く、アメリカにおける日系人は意外の歴史を積み重ねている。それは日系人に限らず、白人に対するマイノリリーティーの声なき声を糾合した作品ともいえる。
    全体のトーンは、アメリカ人であるが日本人の親から生まれた複雑な心境のうえに、真珠湾攻撃名がなされ、いわれなき逮捕や強制的な収容所生活が及ぼす日系人社会内の軋轢やいさかいが丁寧に描かれている。
    本作品は戦争文学なのか?戦争現場における恐怖や、人を殺すことでしか得られない自身の安全、人を殺してしまったことについての罪の意識とそうやって自身の愛国精神を示すことが、日系社会に与える影響、一緒の戦いの中で失われていく友人の命と自分だけが生き残ってしまう罪悪感。どれをとっても自分の尊厳や立ち位置とその振る舞いがもたらす他人からの目線への意識があぶりだされており、人間のもつ複雑性と他人との関係性から表出する単純性だ。いつも正義や自身の筋を通すということだけではない、いろいろな感情や振る舞いが激烈な激しさをもって伝わってくる。

    もう一つは厳然として存在する白人を頂点とした差別社会に対する激しい感情のぶつかりだ。何故アメリカ人なのにジャップと罵られるのか。そもそも何故日本はアメリカと戦わなくてはならなくなったのか。それはなにも日本や日系人だけではなかった。アジア全体が白人社会から受けていた差別や黒人者ヒスパニック系が受けていた差別なども存在し、ではあんたは差別していないのか?という逆の指摘に日系人社会における持てる者と持たざる者との差異やこころの歪みを改めて認識するのである。

    かなりの長編であるが、スピード感を失わず、かといって軽やかに描いているわけでもなく十分なん重厚感を伴っており、解説にあるとおり本当に映画をみているような描写が続いた。この後どうなるのか?といった物語へののめり込みを感じた作品だった。

  • 第二次世界大戦下の日系アメリカ人の苦悩がすさまじい。

  • 80
    日系人はそれぞれの戦場でそれぞれの戦いに挑むこととなる。
    そして彼らは戦争という舞台で決して表舞台に立つことの許されない日系人としての立場に苦しみながらも、戦うという意義をみつけ、戦争に巻き込まれていく。
    そこにはいつ誰が死神からのキスを受けるかもわからない激烈な戦場があり、死はすぐ足元に転がっているのである。
    戦場においてのみ、日系人であろうが、白人であろうが関係なく平等に死と直面する。

    日系人という複雑な立場だが、アメリカに忠誠を尽くし戦場に立つ男たち。
    何が正義で、何が真実なのか、考えさせられる。

  • もう、これは、読むのがしんどかった。
    でも、読むべ気づき作品でした。

    ラストに救われる。。

  • 日系人の第二次世界大戦での苦労をこの小説で教えられたような。最後あたたかく迎えられたジローがその人たちのおかげで死ぬことなく第二の人生をスタートすることにしたってところで終わりだけど、最後の最後で泣けた。

  •  全3巻の大作である。終戦後、知人を死に至らしめた罪を償うために刑期を終えて出所したジローは、その後の人生を閉じよう決心していた。しかし、既に亡くなっている戦友の家族に会うことで、ジローが生きる希望をみつける件に泣かされる。

  • ヨーロッパ戦線では、ヘンリーと共に地獄を見た。使い捨てにされる、日系人部隊は、軍から同胞の扱いをされていない。
    それでも、生き残るため、『祖国アメリカ』のために、死に物狂いに戦う四四二連隊。
    戦場に神はおらず、居るのは死神だけだ。
    読んでいるうちに、『日本軍』の戦争を読んでいるような気分になる。これはまさに日本人の戦い方だ、と気づく。
    ジローも、ヘンリーも、どんなに日本を“憎い”と言い、また、自分をアメリカ人であると言っても、彼らの思考回路の端々に、日本人のDNAを感じてしまう。・・・なぜか、マットには感じないのだけれど。ハワイ組は特別?彼らの明るさには、いつもなんとなく救われた気持ちになる。
    ジローの言動には、『なぜ、そういう態度をとってしまうかな、また誤解される』と、ハラハラしどおし。
    彼はいつも、悪魔に取り憑かれたような苛立ちの人だった。

    最後にハワイを訪問する場面が良かった。
    この物語は、パールハーバーで集約されて終わる。
    父母の生まれた日本にも、自然に敬礼を送れる、ジローが浄化されたようで嬉しかった。

  • ハワイとロサンゼルスに住んでいた日系アメリカ人が、真珠湾攻撃を機に太平洋戦争に巻き込まれていく。今だからまた愛国心とは何か、国と国とはどうやって結びつくのかを考えさせられた。ジロー、ヘンリー、マットのそれぞれの戦いはその時代を知らない私の心に深く刻まれた。

  • [BOOKデータベースより]

    日本の敗色が濃くなる中、日系兵と苦闘はつづいていた。ジローとマットは敵地に潜入し、入手した極秘文書を日本軍に取り戻させるという危険な任務に挑み、イタリア戦線に投入されたヘンリーは、すさまじい戦闘に地獄を見る。終戦を迎え、凱旋した彼らを待ち受けていた未来とは―。青春群像大作、堂々の完結。

  • 下巻は読むのが辛かったです…。

    辛かったけど、臨場感あふれててグイグイ引き込まれて、
    あっという間に読んでしまいました。

    特にヘンリーの部分は、「もうやめて~」と思うのだけど、
    目が離せなくて。
    彼がやってしまったことは、私は非難できない。
    自分でも、「前線に出なくてよくなるかも」と思ったら、
    やってしまうかもしれない。

    最後は、悲しいけれども清々しい気分にもなりました。

    この本、実は「読み終わったら即座に売りに…」と
    読む前は思っていたのですが、読み終わったら売れなくなりましたよ。

    同じ日系人兵士のことを描いたドラマが、橋田さんの脚本で
    ちょっと前にやっていましたが、私は主人公を演じた人が
    あまり好きではないため見なかったので、今後悔しています。

    私は戦争は大嫌いだけど、どうしてか戦争を扱った本を
    よく読んでしまう。
    嫌いだからこそ、二度と起こさないためにも知っておく
    べきだと思うから。

    この、日系兵の人たちの活躍は、のちの日系の方々にとって、
    ちゃんと報われた形になっているのだろうか。
    そうであることを心から願います。

  • パールハーバーを境にアメリカに住む日系人の壮絶な生き様が描かれている。
    立場が見下され、全て白人に奪われていく中で戦争に参加する事で地位を築いて行き、最前線で生死を分け合って戦っていく。

    戦争風景もかなり事細かに表現していて、凄まじく過酷!

    ただ、パールハーバーや原爆等下などをもっと詳細に描いて欲しかった。

  • 日本の血を引きながらアメリカ人として暮らす日系人の戦争を描いた作品。日本人の日本人たる由縁とは一体何なんだろう。他の国と比べると独特な気がする。描写は濃厚で満足。

  • さすが、真保裕一。日系アメリカ人の若者3人の運命が、第二次世界大戦で翻弄される話。重厚な人物描写とストーリーで、泣けました(;_;)

  • 上に記載の通り

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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