神の汚れた手(上) (文春文庫 そ 1-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167133177

作品紹介・あらすじ

夜明けに生誕があれば真昼には堕胎がある。生と死の両方に手をかすのが産婦人科医である。小さな病院で展開されるドラマを通して、無モラル的状況と生命の尊厳を訴える。(上総英郎)

感想・レビュー・書評

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  • この作者の曽野綾子と、塩狩峠の三浦綾子を途中まで混同しながら読んでしまった。二人ともクリスチャンだからだろうか。余談である。

    舞台は三浦半島の産婦人科。出産に関わる人間ドラマを通じて、死生観を考えさせられる。養子を欲しがる夫婦もいれば、訳ありの妊娠に対処しなければならない妊婦。物語には、やはりこれは作者の宗教観を語らせるためとも思うが、神父が登場し、産婦人科医と神父の対話も。単純に、知らない世界を覗くような感覚。好奇心でページをめくりながら、人生を変えさせられる一冊。

  • 何回か読んでる。曾野綾子さんの小説は一歩離れたところから見ている感じが好きで、テーマは重いのだけれど、でもどこかさらりとしてる気がする。

  • 久々の傑作。中絶手術という重厚なテーマを扱いながらどこかコミカルに成される人間描写。綿密な取材で補完された医学知識も圧巻。ネタバレになるから言えないのが惜しいけど最終章がまた秀逸なんよね。

  • 産婦人科の様子がわかったような気がしました。貞春のような人と結婚したい。

  • 『中絶は果たして悪か?
    産婦人科医院を舞台に展開されるさまざまなドラマを通して真の生命の尊厳を訴える衝撃の問題作』

    ということで。

    ふーとか、へーとか思いながら読み進む。
    <下>に手がでるかどうか。。。

  • もっと一方的な中絶反対モードを予測したが、そうではなかった。さまざまな事情がある人がいることを知った上で、曽野さんは中絶反対なのだ。

  • ブックオフで100円で買いました。
    ブックオフ…良いですよね。話題作とか興味が歩けど定価で買うほど興味は…と言う本はもっぱらここで!重宝しております。

    産婦人科の医師が主役で彼の病院に訪れる患者さんと友人・知人の話が色々と出てきてお話を作り上げていきます。話と言うよりは各人のそれぞれの事情と症例、そして道徳観念と考え方が描かれ、自然と自分なら…と考えさせらることが多いです。この小説は1986年に書かれていますが今もそれほど事情は変わらないのだろうなあ…
    堕胎を行う人、子供が欲しくても授からない人、障害を背負って生まれる命そして生まれなかった命。きれいごとだけでは語れない世界だと思います。自分なら、自分の友人なら、どうする?どういうアドバイスが出来るのだろう。どういう結論をだすのだろう。

    余談ですがいまだに世の中の価値観は普遍的でもありますよね。異動になると新人さんがたいてい聞かれるのは『彼氏(女)はいるの?』で、いるとなると『結婚はいつ?』となり既婚者だと『お子さんはいるの?』と言う段階を追った質問だったりします。まあ子孫繁栄がないとこの社会が滅んでしまいますからねえ… 
    まあでも価値観は変わりつつあるのかもしれません。少しずつ、少しずつ。

  • 横須賀の産婦人科病院が舞台。
    産婦人科医である主人公は出産や中絶、不妊治療が日常である。
    一般の人よりも生死に直面しているだけに、その考えはドライではあるが非情ではない。

    五体満足に生まれたけど里親にだす親たち
    常染色体異常が見つかったため、中絶を選択した夫婦
    中絶手術に失敗したが前向きに未婚の母になる女性


    小説の中では、様々な選択がなされる。
    これらは胎児や子供の意思ではなく大人の事情によるものだ。
    彼らの選択に当事者以外はただ祈ることしかできない。

    医療技術の進歩に伴い、多くの命は救えるようになった。
    反面、自然淘汰が行われなくなり、ただ生かされている命もある。
    正しい・正しくないという問題ではないが、自分の倫理観を改めて問われる一冊である。

  • 上巻は少し読むのに時間がかかりましたが
    結婚もしてなく子供も居ない私ですが「いつか」の時
    また読み返したい。

  • 産婦人科医・貞春の周囲で日々起きている生と死。
    人の命を絶つ、ないしは生かすことのその是非について。

    読むのに時間がかかってしまいましたが…なかなか面白かったです。
    筆者の価値観が作品にも強く滲み出てるかんじ。
    それにしても、小説で主役になる医者ってのは、大体ニヒリズムっぽい人が多いですね。職業柄でしょうか。

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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