天と地と 下 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167135454

作品紹介・あらすじ

領土拡張に積極的な武田晴信と北信・川中島で闘った景虎は初めて敗れた。雪辱に燃える景虎の許へ房州の里見氏から北条氏康の横暴の訴えが届く。小田原城を包囲した景虎は関東管領に就任し、上杉の家督も譲られ上杉政虎と名を改めた。そして永禄四年(1561)に、上杉・武田両軍は雌雄を決すべく川中島で一大血戦を企てることに。

感想・レビュー・書評

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  • 上中下と一気に読んだ。上杉謙信の幼年期から描かれていて勉強になった。今は、川中島古戦場には何も無いけど、今度は違った物が見える気がした。

  • 長尾景虎の魅力が、痛いほどに伝わる最終巻でした。いやー、面白かった。

    戦の天才景虎を以てしてもやすやすと近づけさえしなかった晴信に対し、義のために京都や関東にも目を配りつつ、最終的に雌雄を決する一大決戦に向かう姿は、戦国時代のロマンが詰まっています。
    しかしこの血生臭い中に、温かくも残酷で、でも清潔な乃美との恋が繊細に描かれているのが、絶妙なアクセントになっていると思います(むしろこっちがメインだったり…?)。物語の終わり方には賛否両論あるでしょうが、この悲恋が、生涯独身を貫き出家するという景虎の人生に繋がるのだろうと想いを馳せることができ、私はとても好みです。

    何より私が景虎に惹かれるのは、いじらしいほどに彼が真っ直ぐだからでしょう。晴信との対比が色濃いこの最終巻ではその実直さが際立ちます。悪く言えば頑固なのでしょうが、川中島で単騎乗り込み信玄に斬りかかる武勇さは、政虎だからできるのだと思わせてくれます。そういう意味でも、彼にはロマンが、魅力が詰まりに詰まっている。

    物語の記述も、史実に基づき委細な調査をなさったのでしょう、眼前に風景が広がってくるかのような描写で素晴らしかったです。また登場人物が皆それぞれに魅力的で、読んでいて全く飽きが来ませんでした。ここまで長い戦国の歴史小説を読んだのは初めてでしたが実に面白かった。また何か読んでみようかな、と思います。

    蛇足。乃美とのシーンに次いで好きなのは、藤紫を有無を言わさず斬った場面。短気で潔癖な景虎、ということなのでしょうが、なんとも清々しかった。しかし予め許すと決めていたのに本人を前にして衝動に突き動かされるなんて…とは思うものの、それこそが景虎らしくて良いなと思ったのです。

  • 最後の上杉謙信と武田信玄の合戦は、読み応え抜群であった。
    だが、その他の場面は、少し退屈であった。
    そして、突然物語が終わってしまったのが残念。

  • 一度の恋と川中島の戦い。何だか唐突に終わってしまった感じ。

  • あまり日本歴史小説を読んだことがないのだけど(読んだことがあるのは、今のところ、吉川英治『三国志』、井波律子『三国志演義』、吉川英治『太閤記』、垣根涼介『信長の原理』『光秀の定理』、真保裕一『覇王の番人』)久しぶりにムラムラムラっと急に歴史小説が読みたくなった。

    誰がいいかと考え、やっぱり人気のある武将、尊敬できそうな武将が読みたかった。

    そこで、女子に人気がある上杉謙信である。

    この小説の中で読んだ限りだけど、政虎、確かに女子人気はわかる。
    若い頃から賢くて、正義のために筋を通したことを好む。
    自分でなんでも決めて突き進むところが良いところでもあり、悪いところでもあった。
    あとがきを読むと、武田信玄との対比が書かれていて面白い。謙信は高血圧、信玄は低血圧とか。本当かわからないけど。

    政虎と信玄の戦術。
    裏の裏、どこまで考えれば良いのか。
    負けると悔しいんだろうけど、ゲームの中じゃなくて、本当に人を切って打って殺してる戦争だから恐ろしい。

    松江キャラは良かった。こんな強い女の人なかなかいないだろうね。

    乃美は架空の人物だけど、切なくて泣いたわ。
    さっさと結婚してたら良かったのに!って思う。
    とにかく、お互いの気持ちがちゃんと伝えられた点は良かったけど…

    この本の欠点は読み仮名が少ないこと。
    よく知ってる人なら読めるのだろうけど、人物名や土地名は全てに読み仮名がほしかった。勝手に想像で読むと違ってたりする。名前が長すぎてルビ入れるのが無理だったからかなぁ。とにかく、そこがストレスだった。

  • 最後の上杉政虎と武田信玄との決戦は、結果を知っていても興奮した。

  • 情勢や背景の説明が長い気がする。

  • レビューは上巻に

  • 壮大なスケールで大河ドラマにも抜擢された本。最近の大河ドラマにあるような全ての人が善人、薄っぺらさもなく読み応えあるが、戦乱部分は頭がついていかず飛ばし読み。
    謙信の幼少期は全然知識がなかったのでもまれてここまでの地位にいったのや、周りの豪族らの謀反もあったとは意外だった。
    分かりやすい内容で謙信をまとめてあるのでこの本だけでも充分謙信の事が分かるが、武田信玄を重点に置いてあるので、甥と北条の人質の事や信長については全然触れられていないのが残念。

  • 面白かったー!

    上杉謙信に対してのイメージは、
    『軍神』『天才』『毘沙門天』って感じしか無かったのですが、
    この小説を読み終わった今、以下を更に付け足す事にします。

    『クソ真面目』『融通が利かない』『短気』。

    あれ、、、?僕?
    笑。

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著者プロフィール

(かいおんじ・ちょうごろう)1901~1977。鹿児島県生まれ。國學院大學卒業後に中学校教諭となるが、1929年に「サンデー毎日」の懸賞小説に応募した「うたかた草紙」が入選、1932年にも「風雲」が入選したことで専業作家となる。1936年「天正女合戦」と「武道伝来記」で直木賞を受賞。戦後は『海と風と虹と』、『天と地と』といった歴史小説と並行して、丹念な史料調査で歴史の真実に迫る史伝の復権にも力を入れ、連作集『武将列伝』、『列藩騒動録』などを発表している。晩年は郷土の英雄の生涯をまとめる大長編史伝『西郷隆盛』に取り組むが、その死で未完となった。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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