フリッカー、あるいは映画の魔 (上) (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1999年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784167136215

みんなの感想まとめ

映画の歴史とミステリーが巧妙に絡み合った作品で、主人公のジョニー・ゲイツが映画学科での学びを通じて、古典映画の魅力に引き込まれていく様子が描かれています。1930年代の映画制作を背景に、架空の監督マッ...

感想・レビュー・書評

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  • 映画の歴史をたどる陰影にとんだゴシック・ミステリ。
    「このミステリーがすごい!」の過去のリストの中から見つけて。
    久しぶりにこんな濃いのを読んだわ~読むのに時間がかかるけど、面白かった!

    主人公のジョニー・ゲイツは1939年生まれ。
    50年代に始まる学生時代を回想するところから始まります。
    ロサンジェルスでUCLAに入り、映画に魅せられて映画学科に。
    クラシック座という小さな映画館を経営する年上の女性クレアの教えについていき、恋の手ほどきも受けます。
    クレアのパートナーのシャーキーは酒びたりだが、古い映写機を扱うことにかけては凄腕。
    シャーキーの彼女をとったことになるのかと気にするジョニーだが、そういう仲ではないらしい。

    クレアは若い頃にもさまざまな経験を経ているが、のちには映画批評家として著名人になる女性。
    ジョニーはふと発見した昔の映画監督マックス・キャッスルの作品に興味を抱き、しだいにはまり込んでいきます。
    お蔵入りしていたフィルムの素晴らしさに驚嘆し、映画草創期といってもいい時代の信じられないような技術、隠されたメッセージにも気づいていくことに。
    クレアもひとかたならぬ関心があるらしいのに、キャッスルのことは容易に褒めず、ジョニーに肩代わりさせるかのよう。
    ジョニーはクレアが教えてくれた内容を中心にして、大学の論文を書くのでしたが。
    当時の映画好きの奇人変人が入り乱れるパーティーの猥雑さ、前衛的な映画のばかばかしさも笑えます。
    「天上桟敷の人々」のフィルムを守るために、ついに人の車から失敬するに及んだり。
    時代のムードは濃厚で鬱屈も危険な匂いもありますが、主人公が好青年なので、読みやすい。
    深みのある青春ものとしても読めます。

    グリフィスやオーソン・ウェルズ、シュトロハイム、ヒューストンなど、往年の名画や俳優、映画監督の話がたくさん出てきて、少しは知っていたことも懐かしく思い出されます。
    とても知識が追いつくような内容じゃなくて、圧倒されますけど、実在人物がいかにも本当らしく絡んできたり、いろいろ知ることも出来て興味深い。
    もちろんマックス・キャッスルは架空の人物なんだけど‥
    え、そうじゃない? ‥隠れた名監督という気もしてきたほど!

  • ロサンゼルスの映画学科大学教授である「僕」はふとしたことからマックス・キャッスルという監督のことを知る。作品は三流怪奇映画ですが、映像にある得体の知れないものに魅せられる。次第に明らかになるキャッスルの正体。彼はフィルムの中にある何かを隠していたのです。やがて、彼の黒幕には、怪しい孤児たち、宗教団体が絡んでいて…。

    小説には「マルタの鷹」のジョン・ヒューストン監督、「市民ケーン」のオーソン・ウェルズ監督も登場。マックス・キャッスルなる監督は実在したのか?読者は戸惑いながらも、虚実を行き交うストーリーの面白さに先を急ぐでしょう。

    最初はややゆっくりな展開に感じますが、キャッスル監督の幻の作品がふとしたことから見つかるところくらいになると、止まらない。

    この小説のすごいところは、読者はキャッスル監督の映画を見ることができないのに、それを見たような気分になること。映画ファンなら、次々と出てくる映画の古典の題名にも、興味を覚えるだろう。特に、ウェルズが製作、キャッスルはこの撮影に協力しながらも、完成しなかったジョセフ・コンラッド原作の「闇の奥」のエピソードは面白い。

    「闇の奥」は後にフランシス・コッポラが「地獄の黙示録」の原作としても知られている。

    この小説の虚実皮膜の構成は、映画そのものとシンクロする。つまり、映画というのは、現代が発明した「ペテン装置」とも言える。映像は動いているように見えますが、それを構成しているのは1秒24コマの写真の連続で、光と影で構成されている。

    普通の監督は、いかにフィルムに光を焼き付けるかに腐心するわけですが、キャッスルは映画の中に隠す。この辺りの発想が面白い。

    それを突き止めようとする主人公は”闇の奥”へと進んでいく。文庫版はすごく分厚い上下巻ですが、読み始めると、気にならない。ミステリーファン、映画ファンを魅了する一冊。

  • 1970年代の謎の映画監督にまつわる物語。
    「このミス」の1位に選ばれたことから謎解きの要素を思い浮かべるかもしれないが、ミステリといっても「薔薇の名前」に似た謎解き。散りばめられた映画に関する薀蓄や映画論が読むものの心を躍らせる。
    上下巻あるが、あっという間に読み終えてしまうだろう。

  • 天下のポール・オースターが『幻影の書』でパクった(といわれてもしょうがないと思う)元ネタ。こっちのほうがはるかにすばらしい。

  • 感想は下巻で

  • 読んで損はなし。

  • 映画オタクのバイブル (okkun3373)

  • AmazonのUsedでわざわざ買ったのに、近所のブックオフで100円で売られいて軽くへこむ。映画の知識があったらもっと楽しめたのかも。

  • 長かったなぁ。自分でもよく挫折しなかったなと思う。この小説の時代の映画全然知らいないし。

  • 映画史的知識をめぐる虚実を織り交ぜたフリンジがいっぱい。が、蘊蓄はさておいても、物語の構成に魅力があり、ひとりの青年の成長物語と、その時代的背景が効いているので、面白く読める。

  • 未読。気分が乗るまでたどりつけないまま挫折中。でもかなりいい本らしので、いつか必ず読みたいと思い保有。

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