女ざかり (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 219
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167138127

作品紹介・あらすじ

美しい女主人公・南弓子は、大新聞の論説委員。書いたコラムがもとで政府から圧力がかかり、論説委員を追われそうになる。弓子は、恋人の大学教授、友人、家族を総動員して反撃に出るが、はたして功を奏するか。大新聞と政府と女性論説委員の攻防をつぶさに描き、騒然たる話題を呼んだベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 「女ざかり」丸谷才一さん。1993年。

    #

    丸谷才一さんなので、大抵面白いのです。
    丸谷さんの小説は、好きになったらもう、全部好き。噺家の語り口みたいなものなので。

    1993年ですから、まだワープロの時代。携帯電話はありません。

    舞台は、朝日新聞社を彷彿とさせる、都内の大新聞社。の、論説委員室。つまり、新聞の「社説」とか「コラム」を書く部署です。

    主人公は南弓子。40代後半?くらいなんでしょうか。「女ざかり」。
    バツイチのシングルマザー、若い大学生の娘がいます。そして、周囲には中年から老年の、社会的地位のある男たちが群がっている、モテモテ女流記者。

    そんな弓子さんが、論説委員となり、健筆をふるいます。
    論説委員の中でも、弓子さんに首ったけになる記者もいます。
    社会的地位のある大人の恋のさや当て、片想い、口説きの手管。

    ところが、弓子さんには人目忍んで長い歳月になる、妻子ある恋人さんがいて...。

    さらに、弓子さんが書いた社説が政府の逆鱗に触れて、左遷の危機に...。

    そんなドラマがありながら、物語の語り口は悠々自適の余裕を含んで軽やかに進みます。
    軽快なオールド・ジャズが流れるウディ・アレンの映画のように、人生の色気、皮肉と偶然を醸し出しながら。

    最終的には、血縁のコネから時の総理大臣に面会することで、(というか、偶然に総理の奥さんと出会ったことで)すべての危機は水に流れて目出度し目出度し。

    ついでに、娘の恋愛も進展があってめでたし目出度し。

    肩の凝らない娯楽。「へえ~」と「ふむふむ」満載の洒脱。逸話と脱線の快楽。
    今にして90年代、バブル崩壊直前のふわふわした風俗を、振り返っては納得させる読み応え。

    ...って、正直手放し絶賛なのですが、実は再読。それも、初読時は新刊で読んだはずなので、僕は21歳の大学生だったはず。

    うーん。

    正直、全くこの本の滋味豊かな豊饒さが、判ってなかったなあ...と、振り返って自分の背伸びに苦笑してしまいました。
    大人になるのも悪くないものです。

  • 自分はあまりなじめない主題だが、丸谷氏の悲報を機に読んでみた。旧かなづかいの文章が何故か読みやすい。ストーリーは一度だけでは理解できないところがある。登場人物も多くて覚えきれない。でも粋な主人公には憧れを持った。

  • 大新聞の論説委員を務める女性が、彼女の論説に対する謎の圧力に抗っていくというストーリー。

    テーマである「贈与」は登場人物の言葉を借りて語られるため、非常に分かりやすいです。なおかつこのテーマはあらゆるシーンに散りばめられ、首相の妻の登場によって、日本人の根源的な部分に根ざすものとして際立っています。

    ですが個人的には、この小説は「贈与」が全てではなく、あくまで女性のあり方を根底に据えたものと思います。仕事と子育てを立派にこなし、豊かな人脈も愛人も持つ弓子はまさに「女ざかり」。テキパキと論説を書き上げるように毎日を送っていた弓子が、自分以外の女の生に触れることによって、生に思いを馳せ俯瞰しつつ生きる段階に踏み出す姿が、この小説には描かれているのではないでしょうか。そう読むと、坪庭のシーンはいっそう象徴的です。
    そしてこの小説が発行された時代を思えば、当時また新たな変化を遂げていた日本女性と弓子とが重なって見え、なお面白いです。

  • おもしろい小説だった。物語の構成、ユーモア溢れる登場人物、どれも抜群におもしろい。一気に読めてしまう。そして旧仮名使いの文体が読んでいて心地いい。

    女主人子の南弓子は大新聞の論説委員。彼女が書いたコラムがきっかけで政府から圧力がかかる。そのせいで弓子は新聞社を追われそうになる。そこで弓子は恋人の大学教授や友人、家族の協力を得て反撃に出る。

    物語の根底には、「贈与」という日本の慣習を通して日本の奥底に潜む古代=原始的なものを探ろうというのがテーマにある。
    でもそんな小難しい理屈を抜きにしてこの作品は楽しんだほうがいい。それぐらい小説のおもしろさや物語の力を再認識させてくれる作品。お薦め。

  • 教養小説としても中身の濃い1993年の作品。
    熟年の働く女性を恋もする美しく魅力的な存在として描いたので話題になった印象があります。
    新日報の新聞記者の南弓子は、45歳で論説委員になる。
    同時期に論説委員になった浦野は、取材記者としては名物男で優秀だが、じつは文章を書くのは苦手で有名な男。
    苦笑しつつ手を入れるのを手伝う弓子。
    この二人の出世は順当な物ではなく、派閥争いで有力候補が取り除かれた果ての偶然という内部事情もあったという~大会社では意外にありそうな?なりゆき。
    弓子は若い頃に見合い結婚をして娘を生んだが、まったく家事を手伝わない夫に家庭に入ってくれと言われて離婚。
    以来独身だが、20年来の愛人がいる。週に一度講義に上京する哲学教授・豊崎と逢瀬を重ねていたのだ。
    取材で知り合った各界の魅力的な男達と友達付き合いを続ける~魅力ある女性。
    彼のことで悩んでいるときに論説で筆が滑り、中絶問題について穏当でない言い回しをしてしまう。
    最初は問題にもならないというのも社説を真面目に読む人は少なく社長も読んでいないせいとは笑えるが、どこかから圧力がかかって、閑職にとばされそうになる。
    どこからなぜ圧力がかかったのか?人脈を駆使して、弓子の闘いが始まる。
    弓子の伯母である往年の女優や、裏社会の浅岡、娘の千枝とその恋人候補が会いに行く書家や、はては首相の田丸など、さまざまな人物がそれぞれに面白い。
    更年期障害の豊崎の妻や、子供のようになってしまっている田丸の妻など、妻としての人生にも陰影のある描き方。
    日本の歴史や社会についての考察もあちこちにちりばめられていて、読み応えがあります。

  • 米原万里氏著「打ちのめされるようなすごい本 」の書名になった下りで紹介されていたのは丸谷才一「笹まくら」。それを読了しあっさり打ちのめされてしまっている自分を認識したのはしばらく前の話。とはいえその後丸谷氏のその他の著作には手が付けられていなかったこともあり、二冊目として手に取ったのが本作となった次第。

    実は本作も前述「打ちのめされるようなすごい本」の中で触れられていた。世間一般の人が「丸谷才一といえば…」という問いにこの「女ざかり」を挙げ、それを米原氏が「なにをいうとるか。」と打ち消す形において。こうしてどうも自分は世間一般の人とは逆方向で入ってきた様子ではあったことを感じつつ読み始めることになる。

    冒頭部からちらちらと現れる旧仮名使い、本編の筋をなぞるのについそれだけの時間をさかのぼらなければならないかと思いきや、意外にも背景はせいぜい1980~90年代のことであることを読み進めるにつれ知ることとなり、こういう形で意図的に使われる旧仮名づかいというものがあってよいものとして自分の中で再認識されることとなったのは、先日「日本幽囚記」を読了したおかげで旧仮名使いへのアレルギーもすっかり消えていたことも手伝っていたからにちがいない。

    女主人公版は「天璋院篤姫」以来。それと比べるのも変とはいえそれと同様楽しませていただいた。贈与論にまつわる日本人の民族意識の考察は秀逸。ストーリー以外の部分でもじっくり楽しませてくれる。

    そう、キーワードは「楽しい」なのだろう。

  • いや〜〜、本当に久しぶりの丸谷才一です。
    あひ変わらずの旧仮名遣ひの文章で、自立的な女性の話を描く、「たった一人の反乱」を思ひ起こさせる小説です。
    この時代に旧仮名遣いといふだけで、ガチガチにまぢめな小説とおもはれがちですが、しばしば爆笑といふか、スラップスティック的なユーモア感覚を見せるのがこの人の作品の特徴です。
    登場人物もかなり変わってゐます。文章の書けない新聞記者、あっけからんとした元女優の叔母、助平な書道家、変な理屈を捏ねる哲学者。
    なかなか楽しめる作品でした。(しかし旧仮名遣いで書くのはしんどい)

  • 途中で挫折。文体が古くて読み辛かった。

  • 大ベストセラーだったようですが、私には退屈でした。

  • 美しい女主人公・南弓子は大新聞の論説委員。
    書いたコラムがもとで政府から圧力

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