花火屋の大将 (文春文庫 ま-2-17)

  • 文藝春秋 (2005年7月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167138172

みんなの感想まとめ

多様なテーマを軽妙な筆致で描くこの作品は、著者の豊富な知識と独自の視点が光るエッセイ集です。歴史や文化、日常の出来事から得た知見をもとに、ユーモアを交えながら深い洞察を提供しています。例えば、握手の起...

感想・レビュー・書評

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  • 17,8年前の出版かな。著者の丸谷才一は2,3年前に結構高齢で亡くなられたが、年をとってもエロいことを平気で言うというか、まさしくエロ爺だね。でも、エッセイは蘊蓄と卓見に溢れていて面白い。本の題は、内容と全く関係がない。
    「握手の問題」握手は18世紀のイギリスで古代ローマを倣って始まった。貴族の習慣ではない。
    「天童広重」天童市からごろごろ広重が出るのはなぜか。
    「コラム論からスパイ論へ」日露戦争のときスパイ活動をした明石元二郎がいなければ日本は勝てなかった?非常に清廉潔白な人柄だったそうだ。
    「一枚の花」明治からの薩長の武断政策の犠牲になった大正天皇。素晴らしい和歌と漢詩の作り手であった。
    「役者と女」京都から江戸への勅使や大名の行列には、いろんな稼業の者が紛れ込んでいて、江戸へ運んだ品物で大儲けをしていた。
    「動物誌」イギリスでは動物の中では犬と猿が頭がいいと認められていた。日本でも同様で、桃太郎のお供になったのは言わずと知れたこと。雉は地震予知の能力があると思われていた。
    その他、面白いこと満載だが、実生活に役立つというわけでない。

  • 2002年刊。初出は「オール讀物」(2001.2~02.4連載)。17篇。
    例によって、前口上は書名『花火屋の大将』の説明。役者を褒める時は、「ナリタヤ!」「オトワヤ!」あるいは「カンクロチャ~ン」(例外、しかも嬌声)。花火は「カギヤ~」「タマヤ~」、本書の場合は「マルヤ~」。私のマルヤ~は以下の3篇。
    「影武者ナポレオン」。のっけからトリビア。影武者にあたる単語は外国語にはないらしい(中国語にも英語にも)。英語で強いて表現するなら、doubleかな(サイデンステッカー先生談)。ここから、日本古来の影武者、黒澤明の映画『影武者』、そしてナポレオンの影武者へと話は展開する(ナポレオン、亡くなったのは替え玉で、本人は生き延びて、スイカとメロンの栽培・販売で大儲けした……という小説の紹介も)。マルヤ~
    「スクープ!」。日本での新聞のスクープのエピソードを、その場にいたかのように語る。皮切りは、2000年、旧石器捏造事件のスクープ。そして最後は1952年の吉田・鳩山会談。記者たちと一緒に張り込みをしているような気分になる。マルヤ~
    「天童広重」。丸谷の地元、山形ネタ。天童の旧家には歌川広重の肉筆画が山のようにあったという。なんで? これが浮世絵の政治的使用の話につながってゆく。茶道が広まったのもそれと同じという珍説も紹介している(私は妙に納得)。話の展開がみごと。マルヤ~

  • 自分にとって人に読んでもらえる文章を書けるようになることは一生のテーマに近いのだが、丸谷才一の文の進め方には憧れを抱いてしまう。豊富な知識とそれを重く感じさせない軽やかな筆致、あっと言わせる発想の転換。身近で見落としがちなトピックを大切にしていこう。

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著者プロフィール

大正14年8月27日、山形県生まれ。昭和25年東京大学文学部英文学科卒。作家。日本芸術院会員。大学卒業後、昭和40年まで國學院大學に勤務。小説・評論・随筆・翻訳・対談と幅広く活躍。43年芥川賞を、47年谷崎賞を、49年谷崎賞・読売文学賞を、60年野間文芸賞を、63年川端賞を、平成3年インデペンデント外国文学賞を受賞するなど受賞多数。平成23年、文化勲章受章。著書に『笹まくら』(昭41 河出書房)『丸谷才一批評集』全6巻(平7〜8 文藝春秋)『耀く日の宮』(平15 講談社)『持ち重りする薔薇の花』(平24 新潮社)など。

「2012年 『久保田淳座談集 暁の明星 歌の流れ、歌のひろがり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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