双六で東海道 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2010年12月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784167138233

みんなの感想まとめ

多彩な話題を取り上げたエッセイ集で、著者の博学さとユーモアが光ります。古今東西の文献をもとにした蘊蓄や、興味深いエピソードが豊富で、時には艶話や下世話な話題も交えながら、読者を楽しませてくれます。特に...

感想・レビュー・書評

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  • 「本を読むことはなぜこんなに楽しいのか。それは自分の知らないことが途方もなく多いからである」という一文があったが、丸谷才一の本を読むとまさしくそう思う。古今東西の文献や書籍をもとに、蘊蓄の限りを尽くしてくれ、その上に著者の想像力逞しい推論を付け加えてくれる。まあ、半分以上の話題で、艶話、下世話なエロ話、男色の話が出てくるので、この爺さん好きだよねえと半分呆れる。どうでもいいような話もあるけど、それも楽しみの内。ときどき、知らない人物の詳細な説明があったりして、ふっと眠くなったりするけど。それにしても、コノワタってそんなに旨いのかしらん?海鼠の内臓なんて気色わるいけどなあ。そうそう、春嶽や小楠といった立派な人物について知ることができるのはいい。

  • 2006年刊、初出は「オール読物」連載のエッセイ17篇。
    毎度のことながら、書名はダミー。双六や東海道は出てこない。以下はマイベスト3。
    「ほら、ほら、あの……」。肝心の時に、名前が出てこない、どんな人かは思い出せるのに。心理学でいうところのTOT現象。その対策の紹介――某有名代議士は、日頃から会話中に何度も相手の名前を入れるそうな。関容子は、おじいちゃま(e.g.,堀口大學、先代中村勘三郎)にインタビューする時には、名前がすぐ出てくるようにヒントや合いの手を入れるそうな(でないと、時間がかかってしょうがない)……などなど。
    「遅刻論」。遅刻しまくっていた丸谷少年に始まって、松井秀喜、宮本武蔵、武士vs.農民的時間、七人の侍、そして真珠湾攻撃まで、遅刻がタスキでリレーのようにつながってゆく。展開がみごと。
    「森浩一さんの研究を推薦する」。考古学者の森浩一は食道楽、自分の食事の記録を統計的に分析している。なにか賞をあげたい。というわけで、前段にはイグノーベル賞についてのウンチク。余談として、森浩一が松本清張と一緒に食事した時のエピソードも紹介している。これが可笑しい。

  • 丸谷才一といへば『裏声で歌へ君が代』?
    あるいは『輝く日の宮』?
    いいや、やはりあの歴史的仮名遣ひ(ただし漢字は新字体)?
    さう、この歴史的仮名遣ひを押し通したところに、何か独特な政治的スタンスがありさうで、ちよつとこはい気がしてゐたのだ。
    そんなことがあつてか、読むべき作品はありさうなのに、今まで全く読んだことがなかつた。

    本格的な作品ではなく、これはエッセイ集。
    筆致もユーモアに富み、適度に砕けてゐる。
    これくらゐがビギナーにはよかつたやうな。
    とりあへず、今回、自分も歴史的仮名遣ひで書いて、丸谷イズムにちよつとなじんだことを表現しておく。

    博学で、大変な読書家であつたことが印象に残る。
    ご本人の専門であつた英米語文学だけではなく、歴史学、民俗学、美術など話題が幅広い。
    古き良き時代の文人つて、こんなふうだつたんだなあ、と改めて思ふ。
    大体、いつも使つてゐたターコイズ・ブルーのインクを探しにわざわざ伊東屋へといふ生活なんて…。

    いろいろと面白い話もあつた。

    例へば乃木大将の自決の第一報が入つた新聞社の様子。
    生方敏郎の本からの話として載つてゐた。
    記者のみならず、写植工などからも、乃木の自決を迷惑がつてゐたにも関わらず、実際発行された新聞の文面は「噫軍神乃木大将」と持ち上げたとか。
    新聞記事だけを材料に歴史を見てゐると危ない、といふ話だつた。

    和同開珎がどのやうに広められたか。
    ハンモックと擬娩の習俗。
    歴史学者森浩一さんの自身の食事の記録。
    高島俊夫さんが『使える四字熟語』(ちくま文庫)を激烈に批判した逸話。
    ほぼすべてのページに間違いがある…それは見てみたい気もする。
    バーバ・ヤガーがかくもロシアの民話のあちこちに出てゐたといふこと。

    つゐいろいろと書き連ねてしまつたが、ほんたうに面白かつたので…。
    かういふ書き手は今はゐないのかなあ。

    最後に、表題の「双六で東海道」、これはどこから来たのだらう?
    ボーっと読み過ごしてしまつたのだらうかねえ。

  • 「原宿ブックカフェ」にて紹介。遅刻論が収録されているとのこと。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“コンクラーベ”で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/644

    下北沢B&B 嶋浩一郎さんが真琴つばささんへ向けてプレゼンした1冊。
    『初対面の真琴さんにいきなりこんなことを話すなんてあれなんですけど、高校時代の時に、朝寝坊でめちゃめちゃ遅刻してたというお話を聞きまして(笑)今日は、遅刻に造詣が深くなる本をお持ちしました!』(下北沢B&B 嶋浩一郎さん)

    見事、真琴つばささんの今読みたい本に選ばれました!

    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 知的で笑えるエッセイ
    亡くなられたのが本当に残念です

  • 私の知識ではついていけない話も多いのに読み進めずにはいられない、何かが。
    丸谷せんせの文章は大好物です。

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著者プロフィール

大正14年8月27日、山形県生まれ。昭和25年東京大学文学部英文学科卒。作家。日本芸術院会員。大学卒業後、昭和40年まで國學院大學に勤務。小説・評論・随筆・翻訳・対談と幅広く活躍。43年芥川賞を、47年谷崎賞を、49年谷崎賞・読売文学賞を、60年野間文芸賞を、63年川端賞を、平成3年インデペンデント外国文学賞を受賞するなど受賞多数。平成23年、文化勲章受章。著書に『笹まくら』(昭41 河出書房)『丸谷才一批評集』全6巻(平7〜8 文藝春秋)『耀く日の宮』(平15 講談社)『持ち重りする薔薇の花』(平24 新潮社)など。

「2012年 『久保田淳座談集 暁の明星 歌の流れ、歌のひろがり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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