石田禮助の生涯 「粗にして野だが卑ではない」 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 140
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167139186

作品紹介・あらすじ

2019年10月テレビで話題!

三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった"ヤング・ソルジャー"-。明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から"卑ではない"ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。ベストセラー作品の待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 国鉄総裁を勤めた石田礼助の生涯を描いた小説。78才の石田は、公共サービスと安全対策に心を砕いた。終章に書かれている、暮らしぶりや簡素な葬儀の話に心を打たれる。

  • 「昭和の日』に、昭和の傑物の伝記を読み終えた。
    日米開戦前の三井物産社長、国鉄第五代総裁、石田禮助の生涯。
    戦前、物産ニューヨーク支店長時代、大西洋(太平洋ではなく)横断の海底通信ケーブルの最大ユーザーが三井物産だった、というのは、何だか誇らしい。一方、そこまで世界経済と密着してたのに開戦に流れていったのが、悔やまれる。石田禮助自身は、職を賭して反対し、財界を通じての反対活動もしたようだけど。
    国鉄総裁時代の国会答弁のくだりは、痛快で溜飲が下がる。経営者の視点とパブリックサービスに奉仕する精神のバランスが最高だ。

  • 2014.12 記。

    サラリーマン小説の書き手としてはやはり城山三郎氏は別格だと思う。
    本書の主人公石田礼助は元三井物産社長という生粋の商社マンにして、請われて国鉄総裁に就任。戦後の混乱期、初代総裁が「不審死」するような時代だった。大赤字と非効率経営がはびこるなか、国会で議員を前に「国鉄が今日のような状態になったのは、諸君たちにも責任がある」と言い放った男。彼の奮闘を描く。

    「能率を上げるにはね、全体の統制を乱さない範囲において、独断専行をできるだけ許す」。戦前に満州の大豆投機で稼ぎまくったビジネス感覚を国鉄に持ち込むべく腐心する。それは赤字路線のバスへの切り替えから青函連絡船の安全スペックの引き上げまで、収益の観点からだけ見ればプラスなものとマイナスなものの両方を含んでいた。そこを貫くのは、徹底してリスクを取って金儲けをした経験があってこそパブリックな仕事を徹底できる、という姿勢であった。これは実感としてよく分かる。

    今ネット上には「ファッションとしてのワークスタイル」を巡るカタカナだらけの言説が溢れている。が、読み終えてみて、「時代が変わって働き方が変わる」危機感なんて不要だな、と感じる。
    カネを稼いだ経験と使命感。これがあれば時代を問わず働く場所はあるよ、と再確認できたことが私にとっての成果であった

  • 三井物産から旧国鉄の総裁まで歴任した
    石田禮助氏の生涯。
    タイトルは国会で代議士を前に初登壇した際のコメント
    続いて「国鉄が今日のようになったのは、諸君たちにも責任がある」と気骨ある発言。
    男です。

  • 久々の経済人の本を新幹線の中で読みました。
    仕事を生きがいにしつつも家族を愛する姿は理想の姿である。

  • タイトルから中味を期待したのと、kindleに手頃な小説が見つからず、購入。期待ほどの中身ではなかった。
    確かに人物だし、魅力的なのだ、書きっぷりが余りに平坦。ビジネス書なのか娯楽なのか、はさ伝記なのか小説なのか、定めかねているうちに読了。

    ブクログで帯を見て、驚愕。日本人に遺された城山文学の最高峰なのか、これが!
    無責任なコピーライターだ。

  • 「粗にして野だが卑ではない」
    という生き方を貫いた石田禮助氏(元国鉄総裁)の人生。

    地位と名誉を手にしても驕ることをしない。
    慣習にとらわれず、人におもねることをしない。

    部下に仕事を任せる。
    自分は自分にしか出来ない仕事をして、全ての責任は負う。

    上に立つ人間はこうであって欲しいと思うような、力強い、そして人間的な魅力にも溢れた人。

    最近はまりつつある城山三郎作品。これで3作目になるけど、今まで読んだものに比べると軽めでさわやかな読み心地だった。

  • こういう、もはや歴史となりつつあり、だけど案外近い過去である時代に、こういう変な傑物がいたことを知れてよかった。石田のあらゆる「卑」との闘いが、パブリック・サーバントであり続けるという信念が、城山さんの熱っぽい筆で描かれている。鋭い目をしたジイさんが背筋を伸ばした表紙の石田が話す声まで聞こえてきそう。

  • 大正から昭和にかけて三井物産代表取締役、国鉄総裁などを歴任した大物財界人である石田禮助の半生を痛快に描いた伝記である。書評雑誌などでは「経営者が読むべき書」として紹介されていることが多い。
    元々、この書を手に取ったきっかけは、「官僚たちの夏」を読んでいたときに巻末に著作一覧が掲載されており、この独特の書名が妙に気になったからである。
    石田禮助という人物を、私は初めて本書で知ったのだが、このような一本筋の通った生き方を、現代において体現できる人は中々いないだろうと思う。「祖にして野だが卑ではない」という強烈なフレーズは頭にこべりついて離れない。私の日々の行動など正に「卑」である。
    自分が与えられた職務に対し頑固なまでに懸命に取り組み、更に無欲。私が最も達したい境地である。本書の記述のほとんどが高齢期以降であることから「こんな格好いい老人になりたい」と思った。
    最近、本書のほか「官僚たちの夏」「坂の上の雲」などの小説を楽しんで読んでいるが、共通の魅力は「恐れを知らぬ豪快な仕事人」というところか。仕事において、ともすれば置かれた立場や上下関係から、過剰なまでに周りを気にしたり恐縮したりすることが多い。それが標準的な勤め人の姿だろう。しかし、本書を含め上記の小説の主人公は豪放磊落そのものであり、「こんな感じで仕事が出来たら…」という勤め人の理想形である。理想形である主人公を題材にしているからこそ、サラリーマンによく読まれている訳である。一歩でも彼らに近づきたいものだ。そのためには、仕事で実力をつけることに他ならない。
    非常に読みやすく、気がついたらどんどん読み進めている感じの書であった。それはやはり、作り上げの小説ではなく、実在した人物を綿密な取材の裏打ちによって描いているからであろう。今後、もっと城山三郎氏の作品を読んでみようと思う。

  • 仕事が忙しくなったりして、少しくたびれたときにこの本を取り出します。ぐっと元気になります。5回くらい読んだ。これまでに4冊くらい買って、人に勧めた。25才くらい年が離れた恩師も、この本を好んでおられることを知って、うれしくなりました。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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