石田禮助の生涯 「粗にして野だが卑ではない」 (文春文庫 し 2-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167139186

作品紹介・あらすじ

2019年10月テレビで話題!

三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった"ヤング・ソルジャー"-。明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から"卑ではない"ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。ベストセラー作品の待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、城山三郎さん(1927~2007年)の作品、ブクログ登録は14冊目になります。

    本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった“ヤング・ソルジャー”―。明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から“卑ではない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。ベストセラー作品の待望の文庫化。

    ---引用終了


    で、石田礼助さんは、ウィキペディアに次のように書かれています。

    ---引用開始

    石田 礼助(いしだ れいすけ、1886年(明治19年)2月20日 - 1978年(昭和53年)7月27日)は、日本の実業家。

    三井物産代表取締役社長・日本国有鉄道総裁。本名・石田 禮助(読みは同じ)。

    ---引用終了

  • 国鉄総裁を勤めた石田礼助の生涯を描いた小説。78才の石田は、公共サービスと安全対策に心を砕いた。終章に書かれている、暮らしぶりや簡素な葬儀の話に心を打たれる。

    • seiyan36さん
      おはようございます。
      この作品は読んでいないと思います。
      国鉄総裁に興味をもつことはなかったので。
      でも、ダイちゃんさんの簡潔なレビュ...
      おはようございます。
      この作品は読んでいないと思います。
      国鉄総裁に興味をもつことはなかったので。
      でも、ダイちゃんさんの簡潔なレビューを読み、本作で、昭和の国鉄時代を振り返るのもいいかもと、思いました。
      2022/08/02
    • ダイちゃんさん
      おはようございます。コメントして頂き、ありがとうございました。
      おはようございます。コメントして頂き、ありがとうございました。
      2022/08/02
  • 2014.12 記。

    サラリーマン小説の書き手としてはやはり城山三郎氏は別格だと思う。
    本書の主人公石田礼助は元三井物産社長という生粋の商社マンにして、請われて国鉄総裁に就任。戦後の混乱期、初代総裁が「不審死」するような時代だった。大赤字と非効率経営がはびこるなか、国会で議員を前に「国鉄が今日のような状態になったのは、諸君たちにも責任がある」と言い放った男。彼の奮闘を描く。

    「能率を上げるにはね、全体の統制を乱さない範囲において、独断専行をできるだけ許す」。戦前に満州の大豆投機で稼ぎまくったビジネス感覚を国鉄に持ち込むべく腐心する。それは赤字路線のバスへの切り替えから青函連絡船の安全スペックの引き上げまで、収益の観点からだけ見ればプラスなものとマイナスなものの両方を含んでいた。そこを貫くのは、徹底してリスクを取って金儲けをした経験があってこそパブリックな仕事を徹底できる、という姿勢であった。これは実感としてよく分かる。

    今ネット上には「ファッションとしてのワークスタイル」を巡るカタカナだらけの言説が溢れている。が、読み終えてみて、「時代が変わって働き方が変わる」危機感なんて不要だな、と感じる。
    カネを稼いだ経験と使命感。これがあれば時代を問わず働く場所はあるよ、と再確認できたことが私にとっての成果であった

  • 三井物産に35年勤め、戦後78歳にして国鉄総裁になった明治生まれの豪傑の話。昔の商社マンとしての働きも面白いが、パブリックサービスの精神で活躍した国鉄総裁としてのエピソードが先見の明もあり、とても興味深い。特に国会答弁や記者への歯に衣着せぬ物言い、対応は読んでいて痛快。今はいないだろうなあ、こういう人。でも是非現れて欲しい。

  • 「昭和の日』に、昭和の傑物の伝記を読み終えた。
    日米開戦前の三井物産社長、国鉄第五代総裁、石田禮助の生涯。
    戦前、物産ニューヨーク支店長時代、大西洋(太平洋ではなく)横断の海底通信ケーブルの最大ユーザーが三井物産だった、というのは、何だか誇らしい。一方、そこまで世界経済と密着してたのに開戦に流れていったのが、悔やまれる。石田禮助自身は、職を賭して反対し、財界を通じての反対活動もしたようだけど。
    国鉄総裁時代の国会答弁のくだりは、痛快で溜飲が下がる。経営者の視点とパブリックサービスに奉仕する精神のバランスが最高だ。

  • 「城山三郎」が78歳で国鉄総裁になった「石田礼助」の人生を描いた作品『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』を読みました。

    「百田尚樹」が出光興産創業者の「出光佐三」をモデルに描いた作品『海賊とよばれた男』に続き、明治生まれの傑物を描いた作品です、、、

    「城山三郎」作品は昨年の8月に読んだ『硫黄島に死す』以来なので約1年振りですね。

    -----story-------------
    三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった“ヤング・ソルジャー”―。
    明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から“卑ではない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。
    ベストセラー作品の待望の文庫化。
    -----------------------

    三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった「石田礼助」の半生記… 「石田礼助」が国鉄総裁に就任した後、国会での初登院で言った「粗にして野だが卑ではない」という言葉がタイトルとなっています、、、

    「粗にして野だが卑ではない」という言葉、印象的だし、良い言葉だと思いますね。

     ■序章
     ■1 若き兵士の如く
     ■2 ひとつのロマン
     ■3 動くものが好き
     ■4 エイブル・マンは居ないか
     ■5 「非戦闘員」のクラブ
     ■6 ミスター鬼瓦
     ■7 降りかかる火の粉
     ■8 人生の達人
     ■9 イッツ・ユア・ビジネス
     ■10 座頭市がいい
     ■11 武士の情け
     ■12 首を切られた気持ち
     ■13 女房手当
     ■14 毎日の遺言
     ■終章
     ■あとがき
     ■解説 佐高信

    国鉄総裁の起用にあたり、財界人の抜擢に執念を燃やす当時の「池田勇人首相」の強い意向により第5代国鉄総裁に就任し、在任中は、自ら「ヤング・ソルジャー」と称して「公職は奉仕すべきもの、したがって総裁報酬は返上する」と宣言し、当初は月10万円だけ貰っていたそうです… さらに鶴見事故の発生後は、給料を1円も受け取らず、1年あたり洋酒1本を受け取ったとのこと、、、

    世のために尽くしたいという信念を貫いた行動だったんでしょうね… 「野心も私心もない、あるのは素心だけ」と言われただけのことはありますね。

    「卑」を嫌うが故に、規律の無視や公私混同をのような社会ルールの違反については国鉄幹部にも厳しく指導したらしく… 業者からの接待ゴルフについては、「ゴルフは自分の負担で、自分の時間で、無理のない範囲で楽しむことがルール」と国鉄幹部をたしなめるなど、財界出身ながらも国鉄内部に対して堂々と意見を発したり、、、

    国会答弁で「国鉄が今日の様な状態になったのは、諸君(国会議員)たちにも責任がある」とか「人命を預かる鉄道員と、たばこ巻きの専売が同じ給料なのはおかしい」等、「粗にして野」だが、痛烈かつ率直な発言をしたり等、発言を巡るエピソードには事欠かなったようですね… でも、周囲の一般庶民からすると痛快な発言だっただろうなぁ。

    また、過去の慣例にとらわれず有能なノンキャリアを重要なポストに登用したり、安全に関する予算を確保したりと、硬直した大組織の変革を進めることにも成功したようです… 簡単にできることではないですよね。

    「出光佐三」との接点もあったようで、本書でも気のおけぬ友人として紹介されていました、、、

    二人の生き方には共通する、日本人としての誇りや信念があったんだと思いますね… 明治生まれの気骨を持った人たちの生き方って、学ぶべきところがあると思いますね。

    自分の生き方や仕事の仕方について考えさせられたし、とても参考になりました… この時代に日本を牽引した人たちのことをもっともっと知りたくなりました。

  • ・もう一度読みたいか:
    ・仕事に活かせるか:
    ・プライベートに影響するか:
    ・読めない漢字の量は:
    (1非常に 2多い 3普通 4少し 5無い)

  • 三井物産から旧国鉄の総裁まで歴任した
    石田禮助氏の生涯。
    タイトルは国会で代議士を前に初登壇した際のコメント
    続いて「国鉄が今日のようになったのは、諸君たちにも責任がある」と気骨ある発言。
    男です。

  • 久々の経済人の本を新幹線の中で読みました。
    仕事を生きがいにしつつも家族を愛する姿は理想の姿である。

  • 国鉄総裁 石田 禮助(れいすけ)

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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