もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1998年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167139230

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  • 石坂泰三の伝記。石坂泰三は、戦前・戦後にかけて活躍した経済人である。その主な経歴を記すと以下の通りだ。
    1886年 誕生。1886年は明治19年
    1911年 東京帝国大学卒業→逓信省入省
    1915年 逓信省を退官し第一生命に入社
    1938年 第一生命社長就任(52歳)
    1947年 第一生命社長辞任(61歳)
    1948年 東芝取締役就任(62歳)
    1949年 東芝社長就任(63歳)
    1956年 経団連会長就任(70歳)
    1965年 日本万国博覧会協会会長就任(79歳)
    1968年 経団連会長退任(82歳)
    1975年 逝去(88歳)

    石坂泰三の活躍は、東芝社長時代の労働争議対応、12年に渡る経団連会長としてのもの、大阪万博を成功に導いた万博協会長時代のもの等が知られているが、一目で分かる通り、かなり歳をとってからの功績である。第一生命社長を退いてからしばらくは、いわゆる「浪人時代」があり、縁あって東芝の取締役・社長に就かなければ、そのまま終わっていた可能性もあり、典型的な大器晩成型のキャリアである。
    また、石坂泰三のもう一つの特徴と思えるところは、トップになってその実力を発揮するという部分だ。東芝には社外役員として関わり、その後にトップに就いている。経団連、万博協会長には、初めからトップとして(あるいはトップ候補として)関わりを持っている。日本の企業トップで有名な方は、創業社長あるいは内部昇格された方が多い中で、やや異質な特徴を持っていたのではないかと感じた。

    城山三郎の作であり、取材は行き届いているし、また、物語の構成も文句なく、楽しく読んだが、私としては、「何故高齢になって活躍できたのか」「何故トップとして、より力を発揮したのか」について、もう少し触れて欲しかったな、と感じた。

  • 石坂泰三の伝記
    ごうかいな人間が日本にはたくさんいたなぁという感じ

  • 経団連会長や東芝会長などを務めた石坂泰三の伝記。

    経済人として戦後復興期に日本経済に貢献した石坂泰三。その人となりは、わかりやすそうで、わかりにくい。何かしらの思想があったのは伺えるけど、城山三郎氏の推測の域を得ず、また、時にその推測と矛盾した行動をしているように思える。本人亡き今、確認する手立てはないが、企業人として引退したあとに経団連や万博会長を引受けたときの胸の内はどういうものだったのだろう。仕事に情熱があったというより、亡き妻を忘れるために引き受けたとも見えるのだが。。

  • 為したことが多すぎる

  • 城山文学も今まで手を出していなかったが、実に面白かった。このような大人物はもうでないのかなあ。

  • 勧められて読んでみた。
    掴みどころのない石坂氏の生き様が物語となっていた。最後まで掴めなかったが、妻や息子を想う気持ちに心動かされた。
    それがしかの1日の意味を私も考えたい。

  • 明治の人だなあと感じた。こういう人物は今いるのかなあ…。息子を進みたいという道を進ませていれば…という後悔は想像しただけでこちらも切なくなった。

  • 小細工を弄するなかれ。無事是貴人。それがしの1日を大切に生きる気概を持って正道を歩み続けた経済人也。

  • 無理を通せば道理引っ込む的な成功者が戦後のさばった。今なら世間から袋叩き
    そういう時代もあったという事。戦国時代、天下人はそう生きただろう。
    豪快で浪花節的で面白いちゃ面白い伝記もの

  • 友人の薦めで手に取ってみた一冊。高度経済成長期の時代に経済界の重鎮として活躍した石坂氏の評伝。なかなか懐の深い多才な人物で、とても興味深く読めた。作者はおそらく石坂氏の中に理想的なリーダー像を思い描いていたように思う。

  • 安売りしてたのでなんとなく購入。石坂泰三といわれても、聞いたことなかった。しかし、今はこの本に出会えてよかったと思う。日本には時代時代にいろんな傑物がいる。彼らはとても優秀で、かつ人間味豊かで、かつ大仕事をやってのけた人間ばかりだ。

    この時代も好きだ。隠れているけど。日本の成長を牽引した人物たちはやはりすごい。

  • 近代の日本の歴史を支えてきた人の名前を知らずして、情報の少ない大昔の歴史を学ぶことも必要かもしれないが、近代の情報が多い歴史を学ぶことも必要だと思う。

    その人達が何を同学び、どう考え、判断してきたかは非常に勉強になる。

    私がちょうど生まれたとし、生まれた街で開催された、大阪万博の長を努めていた方が、こんなご高齢な方であったとは思いもよらなかった。

    いつの時代も、日々勉強を続けることが必要なのだと、身につまされる思いで、この本を読むことが出来た。

  • ページ数はそこそこありますが、文体もさくさく読めるので、おそらくほとんどの方にとっては想定よりは早く読了できると思う。
    (教養深い登場人物につき、俳句など挿入されているので、その辺は丁寧に読みたい)

    登場人物からのエピソード、強烈な発言、、、で進行していきます。
    理想論を語りつつ俗っぽさもあり、頑固親父といったところでしょうか。


    少し前の課長が主人公に似ている(あそこまで毒気はないけれど)。いい上司に恵まれたと思った。

  • この作家の他の作品も読んでみよう。

  • 弔辞というか伝記というか。割と今の世にもいるようなタイプの人な気がする。タイトル詐欺というかこのタイトルはもっと創業者系の伝記の方が似合う気がする。雇われにしろ創業にしろトップにはトップ同士の世界があり、他の登場人物が随分魅力的だった。筆者の書き方なのか、この人物の人徳なのか。 当然ながら旧態依然の話が多いと思いつつ、そうは改革もできない、未だこんな世界で生きてかなきゃいけない人々がいるんだよなと思うと悲しくもあり頼もしくもあり。 あ、あと亡き妻の話に割くパートが多いのはこの筆者だからこそと思った。

  • 万博公園には何度も行っているのに、石坂泰三の像には気づかなかった。日比谷の第一生命ビルも、今度、見に行こう。まなぶところの多い、昭和の気骨人の生涯です。

  • facebookの記事で知り購入。

    どれだけ厳しく、勤勉な人なのかと思い読み進めたが、人生に芯・筋が通っており、厳格で正義感があり、かと思えばユーモアと知性も兼ね備え、また勤勉で素直、愛情豊かな方であった。

    読み進むにつれて石坂氏の人物像に惹かれていくし、憧れ、理想像であることに確信をもった。他の石坂氏関連の本も読み、人生の教科書としたい。

  • 城山三郎が描く経済人の物語はやはり面白い。第一生命、東芝社長を歴任、経団連会長を6期12年、大阪万博会長を務めた石坂泰三。「権力に近づかぬこと、自ら権力を持たぬこと」「経済界は自主自立に徹し、自由経済の原則に則ること」「少年のように健全に成長し、立派に国際社会の仲間入りをすること」など、今聞いても納得することばかり。スタンフォード大学には「イシザカ・ルーム」があるということを、恥ずかしながら知りませんでした。また、上智大学元学長であるピタウ神父が、著者からのインタビューに対し、日本に来て良かったと思う点に「石坂泰三氏と本田宗一郎氏に出会えたこと」と答えており、これも知らなかったなあ。

  • 活力が生まれる。

  • 石坂泰三。
    「日本の陰の総理」「財界総理」と謳われた、財界人のお話しです。
    次男と妻を早くに亡くした哀しみを忘れず、頼まれた厄介事には「男が社会で仕事をしていると、しんどいことでも引き受けざるをえないことがある」と立ち向かう姿。
    政や官にも全く媚びない姿勢は、自己保身の強い現在、別な世界の人の様。
    それでも若干読みにくさを感じ、ペースが上がらなかったのは移動時間が少なかったからだけではなく、本人に会わずに書かれた小説だからかもしれません。
    「官僚たちの夏」を超える城山作品は無いのかな…

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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