石坂泰三の世界 もう、きみには頼まない (文春文庫 し 2-23)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167139230

作品紹介・あらすじ

石坂泰三-第一生命、東芝社長を歴任、高度成長期に長年、経団連会長を務め、"日本の陰の総理""財界総理"と謳われた、気骨ある財界人の生涯を描いた長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 石坂泰三の伝記。石坂泰三は、戦前・戦後にかけて活躍した経済人である。その主な経歴を記すと以下の通りだ。
    1886年 誕生。1886年は明治19年
    1911年 東京帝国大学卒業→逓信省入省
    1915年 逓信省を退官し第一生命に入社
    1938年 第一生命社長就任(52歳)
    1947年 第一生命社長辞任(61歳)
    1948年 東芝取締役就任(62歳)
    1949年 東芝社長就任(63歳)
    1956年 経団連会長就任(70歳)
    1965年 日本万国博覧会協会会長就任(79歳)
    1968年 経団連会長退任(82歳)
    1975年 逝去(88歳)

    石坂泰三の活躍は、東芝社長時代の労働争議対応、12年に渡る経団連会長としてのもの、大阪万博を成功に導いた万博協会長時代のもの等が知られているが、一目で分かる通り、かなり歳をとってからの功績である。第一生命社長を退いてからしばらくは、いわゆる「浪人時代」があり、縁あって東芝の取締役・社長に就かなければ、そのまま終わっていた可能性もあり、典型的な大器晩成型のキャリアである。
    また、石坂泰三のもう一つの特徴と思えるところは、トップになってその実力を発揮するという部分だ。東芝には社外役員として関わり、その後にトップに就いている。経団連、万博協会長には、初めからトップとして(あるいはトップ候補として)関わりを持っている。日本の企業トップで有名な方は、創業社長あるいは内部昇格された方が多い中で、やや異質な特徴を持っていたのではないかと感じた。

    城山三郎の作であり、取材は行き届いているし、また、物語の構成も文句なく、楽しく読んだが、私としては、「何故高齢になって活躍できたのか」「何故トップとして、より力を発揮したのか」について、もう少し触れて欲しかったな、と感じた。

  • 石坂泰三の伝記
    ごうかいな人間が日本にはたくさんいたなぁという感じ

  • 経団連会長や東芝会長などを務めた石坂泰三の伝記。

    経済人として戦後復興期に日本経済に貢献した石坂泰三。その人となりは、わかりやすそうで、わかりにくい。何かしらの思想があったのは伺えるけど、城山三郎氏の推測の域を得ず、また、時にその推測と矛盾した行動をしているように思える。本人亡き今、確認する手立てはないが、企業人として引退したあとに経団連や万博会長を引受けたときの胸の内はどういうものだったのだろう。仕事に情熱があったというより、亡き妻を忘れるために引き受けたとも見えるのだが。。

  • 為したことが多すぎる

  • 城山文学も今まで手を出していなかったが、実に面白かった。このような大人物はもうでないのかなあ。

  • 勧められて読んでみた。
    掴みどころのない石坂氏の生き様が物語となっていた。最後まで掴めなかったが、妻や息子を想う気持ちに心動かされた。
    それがしかの1日の意味を私も考えたい。

  • 明治の人だなあと感じた。こういう人物は今いるのかなあ…。息子を進みたいという道を進ませていれば…という後悔は想像しただけでこちらも切なくなった。

  • 小細工を弄するなかれ。無事是貴人。それがしの1日を大切に生きる気概を持って正道を歩み続けた経済人也。

  • 無理を通せば道理引っ込む的な成功者が戦後のさばった。今なら世間から袋叩き
    そういう時代もあったという事。戦国時代、天下人はそう生きただろう。
    豪快で浪花節的で面白いちゃ面白い伝記もの

  • 友人の薦めで手に取ってみた一冊。高度経済成長期の時代に経済界の重鎮として活躍した石坂氏の評伝。なかなか懐の深い多才な人物で、とても興味深く読めた。作者はおそらく石坂氏の中に理想的なリーダー像を思い描いていたように思う。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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