- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167142339
感想・レビュー・書評
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『あごひげ三十両』
盗賊改の与力が不始末を犯した。鬼平は責任を問われるのか…。
そんな折に、岸井左馬之助が、若い頃に因縁のあった男を見かけたという。それは鬼平と左馬之助が道場に居た頃の冴えない先輩武士の野崎勘兵衛だった。野崎は真面目で地味だったが、身持ちの悪い女に入れあげて全てを失った。その野崎が、どうやら当時のその女とともに貧乏暮らしをしているらしい…。
==鬼平がお役御免になりかけるのですが、鬼平本人はむしろすっきりするかなーとか、俺の代わりが務まるやついるの?などちょっと楽しそうです。野崎事件は途中で老人虐待状態になり焦った(-_-;)
『尻毛の長右兵衛』
布目の半太郎は、つい最近尻毛の長右兵衛親分と盃を交わした。昔気質の仁義を守る盗賊のもとで修行した半太郎にとって、長右兵衛こそが自分の人生を預けるに足る親分だった。
しかし大事が判明する。長右兵衛親分が女房を持つことを考えているという。しかも相手は、自分とデキてしまい、女房にもらうつもりだった一味の おすみ だという!
==うーん、なんか色々もったいなかった!昔気質の盗賊一味がこんなことで!
盗賊三箇条
「盗まれて難儀するものには手を出さぬこと、殺傷せぬこと、おんなを手籠めにせぬこと」
『殿さま栄五郎』
盗賊の口合人(くちあいにん。斡旋役)をしている鷹田(たかんだ)の平十は悩んでいた、火間虫(ひまむし)の虎次郎から急ぎ働き(殺人を伴う強盗)斡旋を頼まれたのだが、昔気質の平十は自分の信頼する盗賊たちを血腥い虎次郎などに紹介したくなかったのだ。
悩むところに声をかけてきた懐かしい顔。やはり口利きをしている馬蕗(ゴボウのこと)の利平治だった。だがこの利平治、鬼平に見込まれて密偵になったばかりだったのだ。
利平治に話を聞いた鬼平は「それなら俺を盗賊として斡旋しろ」と言い出す。
==鬼平の盗賊なりきり話。なりきり話は、鬼平も楽しい、読者も楽しいものなんですが、案外シリアスな方向にいってしまった。
口合人は盗賊の派遣仲介業者のようなものですが「あんな悪党に、自分の大事な盗賊を紹介したくないなあ…」という人情味がよいですね。
利平治は、鬼平に捕まり、人足寄場で職業訓練みたいなことをしたり労働したりして「こんな結構な暮らしがずっとできるなら」と言うような真っ当な盗賊っぷりを鬼平が買って密偵にしました。環境が違えば真面目な職人さんにでもなったのかなあと思うし、鬼平に出会って良かったね、と思います。
『浮世の顔』
下半身を緩めたままの侍の死体と、懐に大金を入れた盗人の死体が見つかる。調べてゆくうちに明らかになる、仇討ち話と、盗賊一味の動き。
==仇討ちで、狙う方も狙われる方も女性を手籠めにしようとして身を滅ぼしたのがいい気味ではあるが。
『五月闇』
鬼平の密偵の伊三次は、過去に因縁のある強矢(すねや)の伊佐蔵が江戸に来てることを知る。自分が過去に犯した罪が蘇る。だがこの決着は自分がつけなければならない。
『さむらい松五郎』
冒頭で、前作『五月闇』のその後が書かれてるんだけど…えええ??本当にそうなっちゃったの??(@_@)
同心の木村忠吾はある男に声をかけらる。相手は盗人の須坂の峰蔵。忠吾のことを盗賊のさむらい松五郎と間違えたのだ!
峰蔵は昔気質の盗人だが、いま世話になっている親方が血生臭くて抜けたくて仕方がない、どうか仁義を知るさむらい松五郎親分のところで使っては貰えないか、とすがってくる。
鬼平は、忠吾に峰蔵との接触を続けさせ、江戸に潜伏している盗働き一味を一網打尽を図る。
==前作が重々しかったので、ちょっと軽いお話にしたのか。忠吾の成長ぶり、そっくりさんというコメディ、昔気質盗賊の苦心。
この巻はこの話で終わりですが、次の巻で彼らのその後が出てるといいなあ(密偵が増えてれるともっといいなあ)
14巻は、口合人システムだとか、ちょっと手伝うつもりのフリー盗賊が親分と正式な盃を交すようになったとか、今の親分嫌だ別の親分のところに行きたい〜と悩む真っ当な盗人とか、現在の就職活動と同じじゃないか!って思いましたよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『殿さま栄五郎』は、いつもながら楽しく読める話だったけど、『五月闇』では悲しいできごとが…
衝撃的な事件でした。
寂しいから、そろそろ、うさぎの話が読みたいよ!と思っていたら、次の『さむらい松五郎』で活躍が拝めました。
小柳さんも、元気そうで良かった! -
常盤新平の解説にあるとおり、『五月闇』は膨らみのある読後感で逸品か。
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いよいよ兇悪化する盗賊どもの跳梁。長谷川平蔵はその探索のために身銭を惜しまず、父・宜雄が遺した金も刀剣もほとんど失い、命も狙われる日々である。充実の第14巻。
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読了
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安定した面白さで、読んでてホッとします。
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”五月闇”で密偵の伊佐次が逝ってしまって哀しい。”殿さま栄五郎”では、平蔵が殿さま栄五郎の振りをするといういらんことをした故に話の展開が猶予ならない事になっており、全てやる事なす事がピタリとはまるわけではない、という部分があって良い。
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おもしろい。
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鬼平の思い通りに進まない方が面白い