新装版 鬼平犯科帳 (1) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1749
レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142537

作品紹介・あらすじ

斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵。盗賊たちには"鬼の平蔵"と恐れられている。しかし、その素顔は義理も人情も心得た苦労人であ。彼を主人公に、さまざまな浮世の出来事を描き出し、新感覚の時代小説として評判高く、テレビに舞台に人気の集まる鬼平シリーズ第一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の方から鬼平犯科帳全24冊いただいたのでちょっとずつ楽しんでゆく。
    鬼平はドラマを見たことも漫画を読んだこともないのですが、
    それでも中村吉衛門の二枚目っぷり、さいとうたかお絵の強面っぷりがすぐ浮かぶくらい。
    原作でもそのイメージで読もうとしたら、”小太りで笑うと深い笑窪が浮かぶ穏やかな風貌の持ち主で、市中見回りの時はどこのくたびれた浪人かと思われるような服装”だというのだから、私の吉衛門&さいとうたかおのイメージからうまく変換できずちょっと混乱(苦笑)

    そんな穏やかな見かけの平蔵だが、若い頃は力に任せての暴力沙汰やら遊蕩三昧やら女遊びやら一通りの悪さは経験し、剣の技は常人をはるかに凌ぎ、盗人を捕まえれば自らが熾烈な拷問を加えて自白させるというかなりの剛健な男。
    そんな鬼の平蔵、鬼平が江戸の盗人たちに睨みを利かす短編集。

    ★★★
    盗賊追捕のお役目の十蔵が出会った盗人の妻。
    そのころ火付け盗賊改めの新たな御頭として、鬼平の異名を持つ長谷川平蔵が赴任してきて…
     /「唖の十蔵」
    市中警備の解説など、ご挨拶代わりの一作か。


    鬼平は、かつて父の屋敷のあった場所で過去に思いを馳せる。
    再会したかつての剣の友。そしてかつて憧れた女性は今では盗人の女房となっていた。
     /「本所・桜屋敷」
    鬼平の生い立ちが紹介されるエピソード。


    元盗人の粂八は、かつて自分の親分であった丹兵衛の新たな強盗の噂を聞く。かつては「人を殺さない、女を手込めにしない、貧しいものからは盗まない」の仁義溢れる盗賊だった。しかし今では目を付けた屋敷に押し入り皆殺しにし女は犯す最低のクズ野郎となっているという…。
     /「血頭の丹兵衛」
    盗人集団同士で手下の貸し借りしたり、大掛かりだと数年かけて家に入り込んだり、その後の換金方法など…当時の盗人のやり口が描かれていく。


    小料理屋の亭主岩五郎は、かつて盗人一味だった。
    岩五郎の元に仕事の話が舞い込み…
     /「浅草・御厩河岸」
    生きるために運命は過酷だったり、弱者は生きづらかったり、ちょっとの偶然で命運が崩れたり…


    盗人を隠居したはずの蓑火の喜之助は、自らの血をたぎらせる女に出逢い、昔の仕事へと戻ろうと…
     /「老盗の夢」
    女の私からすれば「な~にやってんだ」と思わないでもないんですが、男性からすると気持ちは分かるのでしょうか?


    親の仇討のため国を出た男は、それから二十四年、殺しで生計を立てていた。
    血の匂いを隠すための香油を纏い、狙うは長谷川平蔵…
     /「暗剣白梅香」


    盲按摩を装う彦の市は、狙う屋敷に入り込み、中から盗人仲間を手引きする役目。
    そんな彦の市は、情人としている女に間男がいると知り…
     /「座頭と猿」


    鬼平は、かつての女に声をかけられる。女は昔の男たちを強請り同然で金を得ていた。そこに便乗する浪人崩れの無法者たち。
     /「むかしの女」
    鬼平は、捕えた盗人たちを働かせる施設を管理してもいますが、
    働かせることも改心させることもおとなしくさせることも全く不可能な悪党どももいるといいます。
    P301「雷神党のような浪人崩れには打つ手がないのだよ。おそらく大丸屋へゆすりをかけたのもこいつらだろうが…そのゆすり方ひとつ見ても分かる。まるで獣だよ。世の中の仕組みが何も分かってねえのだ。獣には人間のことばが通じねえわさ。刈り取るよりほかに仕方はあるまい」
    取り締まる相手の悪党たちの特性を瞬時に察し、捕えるか殺すか判断し、そして実行できるのが鬼平なんですね。

    ★★★

  • 鬼の平蔵、ファンになりました。若い頃は無頼放埒のかぎりをつくした本所の銕さんは、火付盗賊改方の長官、長谷川平蔵となって戻ってきます。悪い奴には拷問凄まじく、躊躇もせずバッサバッサ切りまくる。けれど義理と人情の人でもあるので盗賊の子を引き取ったり、昔のおんなが苦労してるとなると、ポンと財布ごと渡してしまう。うーん奥さんも肝っ玉の据わった出来た人じゃないと務まりませんね。粂八や彦十が平蔵のために命惜しまず狗になる気持ちもわかりますよ。魅力的ですもの。普段はおだやかで笑うと右頬にふかい笑くぼのできるなんて、そんなギャップにやられてしまいます(笑)

  • 名前は聞いたことがあるけれど、実はよく知らなかった鬼平さんの世界。

    短いお話が進むにつれて、大きなお話がわかっていく構造で、これはハマるかも…。

    せっかく東京に住んでいるんだから、舞台にあるあたりを涼しくなったら散策してみたいな。

    今の司法と比べて悪人を証拠がなくても逮捕できるし、あっさりと処刑できるのがスゴイね。

  • 最初はどうなるかと思ったけど、途中から、ぱっと開けた感じ。余韻が残るし、先への期待が高まる。

  • 長谷川平蔵は斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官にして、盗賊たちから“鬼の平蔵”と怖れられている。
    が、その素顔は義理も人情も心得た苦労人である。
    さまざまな浮き世の出来事を描き出す、鬼平シリーズ第一巻。八話収録。

    舞台が「剣客商売」では華の盛りの田沼意次から松平定信政権へ移った頃なのね-
    ある話に出てきた人物がまた別の話に、な連作なので、ついつい次の話へと読み進んじゃいます。
    平蔵の奥方はできたひとだわ-私はこちらのシリーズの方が好みかな-
    こちらも少しづつ読み進めていきたいと。

    おしの十蔵―火付盗賊改方長官の交代。拷問がエグイ。
    本所・桜屋敷―平蔵の生い立ちと若かりし頃の剣術同門人・岸井左馬之助との再会。憧れの存在が…切ない
    血頭の丹兵衛―〔急ぎ盗〕を繰り返す怪盗と粂八の密偵就任。尊敬していた者の変節…切ない
    浅草・御厩河岸―昔の恩義と現在の暮らしの板挟み。長命の相という占いが当たってるといいな-
    老盗の夢―女との将来のために隠居撤回しひと盗きを画策。あーあ…差し違えたのがまだ救いかな。
    暗剣白梅香―平蔵を付け狙う刺客と敵討ちと返り討ち。まさかの邂逅。せっかくの堅気の暮らしが-もういつ出くわすかビクビクしなくていいのは良いかな。
    座頭と猿―ある女を巡る悪党たちの思惑。どっちもどっち。
    むかしの女―平蔵が荒れていた頃世話になった女の末路。人の口には…ってやつですな-

  • 時代小説。鬼平シリーズ1。短編8作。

    「唖の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厠河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」

    火付盗賊改方の長官、鬼平こと長谷川平蔵を中心に物語は続く。
    盗みが「おつとめ」と呼ばれた訳とか、盗賊にも様々な種類の人間がいること。そして鬼平と左馬之介、小房の粂八などの昔のことも書かれている。

    作者のシリーズの中で「剣客商売」を読み終えたので、こちらか仕掛人のどちらかを読もうと思っていますが、只今考え中です。
    江戸の「粋」が、自分が関西人なのでもうひとつピンときていないのかもしれません。

  • 鬼平かっこいい
    こんな上司ほしいよ。
    そしてまた食べ物がおいしそうなんです。たまらん。

  • 池波正太郎さんの小説は
    一文すらが生きている。
    その言葉に魂が震える。

  • まずい、まずいぞ…。

    いつだったかある本屋にあったチラシにシバさんの名前が見えたのでふと手にした。そのチラシは両開きになっていて片方から開くと司馬遼太郎について、逆から開くと池波正太郎について、その二人の生没年から代表作一覧までを1~2ページにまとめて比較したような恰好になっていたのだが、それをもってして初めてその二人がある一時代の「双璧」であったことを知ったような次第。そんなこんなで「まぁ、読んでみんことにはね。」と軽いノリで手にした「聞いたことあるタイトル」ではあったが…。 まずい。

    もともと時代劇にはハマったこともなかったが、数少ない「街道をゆく」江戸の街版を読んだ上で限られた時間ながら昔に思いを馳せながら自分の足で歩いた場所というのが少しずつ増えてきた結果花の都お江戸へのあこがれはそれなりに高まってきているのが実情のようだ。更にはこの街で観た幾つかのマゲ入り白黒映画がそのイメージの増強に加勢をしてくれているのだろう。

    本格的にまずい。残り二十三冊がちらつきだしている。

  • 1968年に最初の短編が発表された本シリーズ。何度も映像化もされていましたが、自分よりかなり上の世代が楽しむものと決めつけ、ついぞ手にすることも観ることも今までありませんでした。

    唯一読むことのあった時代物といえば、司馬遼太郎や近いところでは宮部みゆきのものでしたが、その宮部みゆきさん対談で「鬼平犯科帖」に言及しているのを読んだ記憶がある程度でした。

    最近、石田衣良「池袋ウェストゲートパーク(IWGP)」シリーズを読み、巻を重ねるも主人公が一向に老いることのないこのシリーズについて、Amazonのレビューに「(IWGPは)鬼平犯科帖を目指すのか」とあるのを目にし、にわかに興味を持った次第です。

    古典という認識でしたが、人物造形、紐解かれるストーリーの流れに魅了されました。前半、文章中に記号が多用されるのは、発表当時まだ若かった(といっても40歳前後の)著者が実験的に取り組んだものなのでしょうか。微笑ましく、この点もたのしみました。

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プロフィール

1923年東京浅草生まれ。60年「錯乱」で直木賞受賞。77年「鬼兵犯科帳」「剣客商売」「仕掛人藤枝梅安」の三シリーズで吉川英治文学賞を受賞した。90年没。

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