新装版 鬼平犯科帳 (2) (文春文庫) (文春文庫 い 4-53)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142544

作品紹介・あらすじ

四季おりおりの江戸の風物を背景に、喜びや悲しみを秘めた江戸の人間が生きている。そこに生まれる事件のサスペスンが、こころよい人情と溶けあう独自の境地。ご存じ鬼平シリーズの第二巻は、「蛇の眼」「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の七篇を収めている。

感想・レビュー・書評

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  • 鬼平犯科帳 二冊目。一冊目よりちょっと作者に容赦がでてきたというか、この登場人物が一冊目に出てたらもっと破滅しただろうなーと思ったり(笑)

    テレビで放送されたものも見てみました。
    吉衛門版と萬屋錦之助版各2話ずつ。
    吉衛門は格好良くて「鬼」と言う感じではなかったかなあ。むしろ上司だったら頼りになりそうなお方。そしてエンディングのジプシーキングスの曲が格好いいですねえ。江戸時代の捕り物帳とメキシカン音楽がこんなにあうなんて。
    萬屋錦之介も演じていたのは知らなかったのですが、こちらの方が「鬼」ですね。しかし「小太りの浪人風」ではないですね(笑)。観た回が一巻で読んだ話で原作の人物は原作イメージ通りでよかったですが、原作で他の人物の活躍の場と名台詞が鬼平の独壇場となっていた、連続テレビの事情か(笑)

    ★★★

    「鬼の平蔵がお役目を務めている間はとても江戸でお盗み(おつとめ)はできねえ」。鬼平暗殺に失敗した”蛇(くちなわ)の平十郎”は、ついに大仕事を決意する。
    平十郎のやり口は残虐だ。大金のため盗みに入った家の住人を皆殺す。
    こいつだけは許せない、鬼平の捜査の目が広がる。
     /「蛇の目」

    鬼平の部下、木村忠吾は遊び茶屋で知り合った女に夢中。
    のんびりしてすっとぼけて仕事も有能とは言い難い忠吾がさらに女に狂ってさあどうなる。
     /「谷中・いろは茶屋」

    お富は掏摸の養父に育てられた凄腕の掏摸師。
    今では足を洗いこじんまりと幸せな暮らしをしている。
    だがお富の過去を知る男に金を強請られ、過去の腕を振るうことに。
    始めは仕方なく始めた掏摸だが、次第に快感も思いだし…。
     /「女掏摸お富」

    鬼平をてこずらせた妖盗葵小僧。
    目を付けた家の知己の声色を使い入り込み、女を犯して大した金も盗まず消える。旗本のような着こなしに高々とした鼻、紋付の紋は葵の紋、ふざけた戯言で女を犯す。葵のご紋を謀るとは徳川治世を愚弄するが行為。
    鬼平の全力の捜査にもかかわらず、せせら笑うように押し込みを続ける葵小僧一味。
     /「妖盗葵小僧」
    押し入られた家のおかみが犯されたと噂が立つと見物人が押し寄せ、堪らなくなったおかみが実家に帰ると実家に見物人がおしよせ…、
    セカンドレイプという言葉やそれが人を傷つけるという概念ができたのはほんの近年だなあとつくずく。


    もと盗賊の弥市は、鬼平の与力佐島忠介の人柄に惚れ密偵となった。
    所帯を持ち思いもしなかった平穏な日々を過ごしている。
    だが弥市を恨む盗賊が江戸にもどったと知った弥市は…。
     /「密偵」

    お騒がせの木村忠吾がまた女に惚れた。今度は素人娘。所帯を持つところまで考えている。ところがこの娘の父、実は往年の大盗賊だったから鬼平たちが動き出す。役に立つのか立たないのかよく分からん忠吾の騒動ははたしていかに。
     /「お雪の乳房」

    大店の隠居と言った風体の万五郎だが、実はもと大盗賊、荒稼ぎと急ぎ働きで多くの血を浴びてきた。
    そんな万五郎もついに病に倒れ、内縁の女に金の隠し場所を知らせるが…。
     /「埋蔵金千両」
    まあ金を巡ってすったもんだで人間心情はかなりドロドロなはずなのに案外さっぱりした結末…なのかなあ。

    ★★★

  • 鬼平犯科帳 (2)

    火付盗賊改方といえば、鬼平さんをトップに佐嶋与力や酒井同心といった敏腕メンバーばかりと思いきや、今回登場した“兎忠”こと木村忠吾は、仕事より惚れた女に夢中という困った同心です。
    この惚れっぽい兎忠さんが、成り行きで結果的に手柄をたててしまうような展開が面白いです。
    一方、女への憎悪から非道を繰り返す“葵小僧”も登場。なかなか捕縛できずにヤキモキさせられました。

  • 1に登場した盗賊が、きっちり捕まってすっきり。
    でも、捕まえても捕まえても、まだまだ出てくる盗賊。

    「谷中・いろは茶屋」がおもしろかったな。
    平蔵さんも女に入れ込んだ経験があるから、わかるんだろうね。
    最後の平蔵さんとのやりとりが、なんだか好きなんだー

  •  『鬼平犯科帳』第2巻、これもするすると、水が引く気に流れるが如く読んでしまった。思うに、TV版でもそうだが、欲に捉われた人がもたらす思わぬ結果やその空しさ、呆気なく失われる命の儚さとそれへの哀惜に、日々の生活の中で「諸行無常」を感じている私の心が感応してしまうからだろう。そして、何故か「こういうものだ」と安堵してしまうのである、人も生命体であるのだから、と。そのなかで「兎忠さん」こと、木村忠吾の有り様は、何処か明るく微笑ましい。そして、その無邪気と言っていいぐらいの仕事以外への欲が、事件解決へと繋がっていく。世上の欲が事を起こすのだから、それに通じている者がそこに近くある(自覚的かどうかは別にして)、平蔵はその事をよく分かっていたからこそ、忠吾を仕事があまりできないからといって邪険にはしなかったのだろうし、若い頃の自分の無軌道さからも、理解していたのだろう。その意味では、最後の「埋蔵金千両」のおけいも、「無邪気」と言っていいぐらいの欲の持ち主。それが「執念」と言っていい欲の持ち主の元盗賊の亭主の上前を撥ねるのだから、面白い。
     「欲さない」のではなく、「欲に捉われない」。これが世俗の人間として良き在り様なのかな、と感じた一冊でした。

  • かなり長いシリーズらしいので、読み飽きないように工夫が必要だと感じた。
    たとえば、登場人物の相関図を描きながら読むとか。
    たった2巻目までを読み終わっただけなのに、登場人物の入り混じった関係は、はたして整合性が取れているのかと思ってしまうほど。
    図解してみようかな。

  • 鬼平の勘ばたらきが、事件を見通す。
    不自然なわずかな目の動きを見逃さない。
    大盗と呼ばれていても、スルスルと手繰り寄せる。
    鬼平の手練手管は、尋常ではない。
    イヌがよく活躍して、シッポをつかんだら最後。

    いろは茶屋で溺れる木村忠吾は、何とも言えない若さがある。
    お松にほれて、その後、お雪にも惚れる。
    乳首がちじれているとは、どんな風なんだろう。

    女スリ お富のスリとしての快感。
    それが、身を滅ぼす。
    何と言っても、葵小僧がすごい盗賊だ。
    というより、妖怪ですね。

  • ドラマでは尾美としのりさん扮する木村忠吾登場。忠吾のとぼけぶりが人間くさくて、このシリーズの面白さを増している。

  • 惰性で…読んでいたら
    なんとなくハマっていっていることを自覚した。

    きっとナンダカンダいいながら
    最後まで読むと思う。

    短編集の集まりなので
    入浴中の読書に。

  • 【蛇の眼】蛇の平十郎の最後
    【谷中・いろは茶屋】兎忠の色好みがお手柄に
    【女掏摸お富】やめられないとまらない
    【妖盗葵小僧】なかなか捕まらないエロ盗賊
    【密偵】密偵はつらいよ
    【お雪の乳房】忠吾いい加減にしろ
    【埋蔵金千両】引退盗賊と女の埋蔵金を巡るドタバタ

  • ※2006.4.14読了(2回目と思われる)
     売却済み

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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