鬼平犯科帳 七 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2000年6月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167142599

作品紹介・あらすじ

悪い事をしながら善い事をし、善い事をしながら悪事を働く。心を許し合う友を欺して、その心を傷つけまいとする。全く人間とは奇妙な生きものよ……とは鬼の平蔵の心の底からの述懐である。盗賊でも市井の者でもみな普遍の業を心にしまいこみ、矛盾を抱えながら生きてゆく。その虚実を突きながら、情を持って応える人生の達人・鬼平の魅力いやますシリーズ第八巻。「用心棒」「あきれた奴」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」「あきらめきれずに」の六篇を収録。

みんなの感想まとめ

人間の矛盾や複雑さを描くこの作品では、鬼平とその息子辰蔵の成長が描かれています。辰蔵はまだ未熟ながらも、父の背中を追いかける姿が愛らしく、彼の頼りなさが周囲の人々と共鳴しています。江戸の街には盗人や元...

感想・レビュー・書評

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  • 『雨乞い庄右衛門』
    盗賊の頭の雨乞い庄右兵衛は、病を得て田舎で療養に入っていた。江戸に残した妾のお照は一味の若い男を寝所に引き込んでいた。
    庄右兵衛は最後の勤めをしようと江戸に上がる。そしてその後を付ける男たち。

    『隠居金七百両』
    長谷川辰蔵は、火付盗賊改方の長官鬼平の長男だが、刀の腕はからっきし、悪友に教えられた女遊びに明け暮れるお気楽人生を歩んでいる。
    辰蔵が今目をつけているのは茶屋の小女のお順。しかしお順の父次郎助は、盗賊のお頭白峰の田四郎の隠居金を預かっており、そのためにお順は男たちに誘拐されてしまう。

    『はさみ撃ち』
    薬種屋「万屋小兵衛」の女房おもんは、貸本屋の友蔵との屋敷内での色ごとに夢中になっていた。
    しかしこの友蔵は盗賊一味の引き込み役で、屋敷に入り込むためにおもんに近づいたのだった。
    そんな二人の情事と、小細工を仕込む友蔵の様子を主の小兵衛が盗み見てつぶやく。「ふ…盗人をやめた盗人の家へ、現役(いまばたらき)の盗人がへえってきやがった。これは面白くなってきた」

    ==昔気質の盗賊の鮮やかな手際。このような話は読んでいてもスッキリします。

    『搔堀のおけい』
    「あっしはこのままじゃあ、おけいのアマに取り殺されてしめえます」
    盗賊から足を洗い、今では鬼平の密偵を努めている大滝の五郎蔵に泣きつくのは、昔面倒を見た盗賊引き込み役の砂井の鶴吉。おけいという女に可愛がられすぎて成婚尽き果てているという。
    搔堀のおけいは、目を付けた金満家に取り入り妾や女房に収まり大金を盗み出すという一人場たら気を続けている。四十を超えてもなお男たちを骨抜きにする女の魅力を持っていたが、今まで散々男におもちゃにされた体の不満を若い鶴吉を可愛がることで発散させていた。

    ===この時代に、一人で男を渡り情事と盗みで生きてきた女が、心底可愛いと思って若い男を抱きつくすというのもなんとも物悲しいと感じる。

    『泥鰌の和助始末』
    若くてグレていた頃の鬼平、その友人岸井左馬之助は、剣客の松岡重兵衛に道を正してもらったことがある。その松岡重兵衛は盗賊の仕事を手伝いながら生き甲斐のない退屈な日々を送っていた。
    そんな松岡重兵衛に近づくのは泥鰌の和助。泥鰌の和助は大工でとして目を付けた屋敷の普請に関わり忍び込むための細工を弄しては盗賊一味にその情報を売っていた。
    そして泥鰌の和助は最後の大仕事をしようとする。自分の一人息子を死に追いやった大店への復讐を行うのだ。
    松岡重兵衛が盗みに関わっていると察した昔の義理と、盗賊改としての勤めに揺れる鬼平と左馬之助。

    ===鬼平の長男辰蔵が出てきますがまだまだ青二才。シリーズが進むと少しは成長するのだろうか。まあ同じく青二才だった兎の忠吾もだんだん面白みのある働けるやつになっているので、辰蔵もちっとは物になるのかなあ。

    『寒月六間堀』
    非番の鬼平は、息子の仇討ちをしようとする井口瀬兵衛老人を知る。この頃の武士の仇討ちは、父や兄の仇を討つことが掟であり、子や弟妹や妻などの仇を討つことは変則だったのだ。
    ボロボロの服で食うにも困るその日暮らしを贈りながら二十年かけて息子の仇を追うこの老人に、鬼平は身元を告げずに助太刀を申し入れるのであった。

    ===身分を隠して弱気を助けるってまさに時代劇だ。しかし自由だな、江戸時代のお勤め。

    『盗賊婚礼』
    昔気質の盗賊には鉄則の三箇条があった。「人を殺めぬこと、女を手込めにせぬこと、盗まれて難儀をする者へは手を出さぬこと」
    それを正しく守る傘山の弥太郎のような盗賊はすでに時代遅れとなりつつある。
    そんな傘山の弥太郎のところへ、大阪を拠点とする鳴海の茂蔵が渡りを付けてくる。
    先代の傘山と鳴海との間で、互いの倅と娘とを娶せようと約束を交わしていたのだ。しかし義賊たる掟を守る傘山の弥太郎とは違い、鳴海の繁蔵はならず者を雇い忍び込んだ家人を殺し女を犯す急ぎ働きへ方向転換をしていたのだ。

    ===鬼平は昔気質の義賊たる盗人には一定の敬意を示し、彼らも鬼平を正しく怖れます。このような盗賊が出てくる話は感じよく読めます。

  • 鬼平犯科帳 (7)

    この巻では、鬼平さんの長男・辰蔵さんも頑張っております。(「隠居金七百両」、「泥鰌の和助始末」)
    とはいえ、まだまだ父上には到底及ばず。このちょっと頼りないけど憎めないところが、“兎”の忠吾さんと似ていますね。
    それにしても、鬼平シリーズを読んでいると、江戸中至る所に“盗人又は元・盗人”が居るなぁ・・。と思ってしまいます。

  • まだ一人前でない鬼平の息子辰蔵が頻繁に登場する。それにしてもよく昼間から酒を飲むなあ。11.8.19

  • 寒月六間堀より
    つまりは、人間というもの、生きていくにもっとも大事なことは‥‥たとえば、今朝の飯のうまさはどうだったとか、今日はひとつ、なんとか暇をみつけて、半刻か一刻を、ぶらりとおのれの好きな場所に出かけ、好きな食物でも食べ、ぼんやりと酒など酌みながら‥‥さて、今日の夕餉には、何を食おうかなどと、そのようなことを考え、夜は一合の寝酒をのんびりとのみ、疲れた躰を床に伸ばして、無心にねむりこける。このことにつきるな。

    鬼平の言葉は味わい深く、身に染みます。常に場面が目に浮かび、映画的でもあります。

  • 雨乞い庄右衛門
    隠居金七百両
    はさみ撃ち
    搔掘のおけい
    泥鰌の和助始末
    寒月六間堀
    盗賊婚礼

    「雨乞い庄右衛門」左馬之助に国貞を渡すことになった平蔵の顔を想像すると面白い。
    解説に「「行間に絵のある」文章」とあり、なるほどと思った。

  • 前の巻から、話が柔らかくなったような気がする。すいすい読み進む。

  • 鬼平犯科帳 七巻。
    今回は、平蔵さんの息子 辰蔵が、ちょいちょい出てくる。
    へたれっぷりが、おぼっちゃん。という感じがしてしまう。
    平蔵さんも、大変だ。。

  • 掟に従いつとめをする真の盗賊というのは、もはや職人の域だなと思いました。
    元盗賊の老人の元に忍び込んだ盗賊が返り討ちにあう、「はさみ撃ち」が面白かった。「泥鰌の和助始末」で惣七に「虫けらめ!」と言い放った鬼平さんかっこいい。今回は息子の辰蔵も頑張ってました。辰蔵のへたれっぷりは誰に似たのやら。
    鬼平さんが人生の終わりを感じさせるようなことを久栄さんにこぼすシーンが切なかった。このシリーズ先は長いけど、どんな風に完結するんだろうなぁ。楽しみなような、怖いような。

  • 今回の鬼平も安定の面白さ。

    隠居金七百両、泥鰌の和助始末が面白かった。

    どちらも鬼平の息子が事件に絡んでくるのだが、鬼の平蔵も息子の前では悩んだり、放蕩息子を少し見直したり、我が子可愛いさに。。。といった父親の横顔を
    覗かせている。

    また、泥鰌の〜では、恩師と慕っていた人間をお縄にする葛藤も描かれていて、仕事としての鬼平と1人の素の人間としての鬼平がよく表現できているのが、興味深い。

  • 単なる「正義は勝つ」に終わらない鬼平ならではの人情味っぽい雰囲気がある話が多い気がした一冊でした。5、6巻に比べると7巻のが好きだったかな。それにしても、あんなにちょこちょこ元盗賊を配下にいれて大丈夫なんだろうか…。無駄な心配と思いつつ気になってしまうのでした。

  • 池波正太郎の連作時代小説『新装版 鬼平犯科帳〈7〉』を読みました。
    池波正太郎の作品は先日読んだ『新装版 鬼平犯科帳〈6〉』以来ですね。

    -----story-------------
    「長谷川平蔵と自分とが、もう切っても切れぬ間柄になってしまったことに、私は気づかざるを得ない」(作者の言葉)。
    ますます円熟味をました筆先から次々と新しい鬼平像が描き出される…。
    「雨乞い庄右衛門」「隠居金七百両」「はさみ撃ち」「掻掘のおけい」「泥鰌の和助始末」「寒月六間堀」「盗賊婚礼」の七篇を収録。
    -----------------------

    文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1971年(昭和46年)8月号から1972年(昭和47年)2月号に連載された作品7篇を収録して1980年(昭和55年)に刊行された作品……実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳、鬼平犯科帳シリーズの第7作です。

     ■雨乞い庄右衛門
     ■隠居金七百両
     ■はさみ撃ち
     ■掻掘のおけい
     ■泥鰌の和助始末
     ■寒月六間堀
     ■盗賊婚礼
     ■解説 中島梓

    この年20歳の平蔵の長男・辰蔵は、剣術の稽古そっち退けで、女あそびに打ち込んでいる……いまは“芋の煮ころがしのような小むすめ”に夢中だ(「隠居金七百両」)、、、

    緩急自在の鬼平の魅力ここにあり……ほかに「雨乞い庄右衛門」「はさみ撃ち」「掻掘のおけい」「泥鰌の和助始末」「寒月六間堀」「盗賊婚礼」の全7篇を収録。

    テレビドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳シリーズ……原作となる小説も面白いです! 本作品の収録作では、

    盗賊雨乞いの一味を捕らえる手柄を立てて、平蔵愛用の銘刀・国貞を褒美に貰い受けた左馬之助……武士に二言はないと言いつつ平蔵が泣き出しそうな顔になるという結末が忘れられない『雨乞い庄右衛門』、

    引退した元盗賊で商家の老主人が、年下の妻が引き入れた盗賊を出し抜く……平蔵も舌を巻くほどの見事な手際が痛快でユーモアたっぷりの『はさみ撃ち』、

    若い頃の平蔵と左馬之助が盗人稼業に手を出しかけたところを一喝して踏みとどまらせた恩人で現在は盗賊の用心棒となっている松岡十兵衛と相対する平蔵の苦悩、平蔵の長男・辰蔵の空回り、本格の盗みをする泥鰌の和助の最後のお盗めの理由、和助に狙われて小津屋の顛末……複数のエピソードがぴたりと嵌る『泥鰌の和助始末』、

    筋を通す男・長嶋の久五郎がムッチャ格好良い……最後の最後に傘山の弥太郎の父への恩義から、鳴海の繁蔵を裏切る展開に感動させられた『盗賊婚礼』、

    が印象的だったかな……連作短篇のカタチを取っており、1篇ずつでも愉しめるのですが、それぞれの短篇が繋がって大長篇としても読める構成なので、順番に読み進めると大河ドラマ的な愉しみがありますね。

    巻が進むに連れてどんどん面白くなっていきますね……第8作以降も順次、読んでいこうと思います。

  • 自分の手を汚さずに
    まんまと横取りをしてしまおうとする
    何とも悪賢いヤツがいたり、
    残酷非情なやり口に
    我慢がならなかった男がいたりと
    池波正太郎の筆が冴える七篇を収録。

  • 安定の長谷川平蔵

  • このシリーズはたいてい粂八やおまさといった元盗賊の密偵が昔の顔見知りを偶然見かけて盗賊一味が江戸にやってきた気配を掴むか、平蔵が独特の勘で道ゆく人の何気ない素振りから怪しさを感じるかのパターンですが、それにはまらない寒月六間堀が今回は良かったな。
    あと、盗人の三箇条を守るか否かで平蔵の対応が変わるという分かりやすさも良い。

  • 雨乞い庄右衛門 盗賊のお頭殺し
    隠居金七百両 生みの親より育ての親
    はさみみ撃ち エロ盗賊
    掻堀のおけい 毒婦
    泥鰌の和助始末 大工小僧
    寒月六間堀 老武士の敵討ち助太刀
    盗賊婚礼 瓢箪屋の料理は惜しかった

  • ※読了2回目と思われる
     売却済み

  • 2020.9.16 読了


    鬼平いるところ 事件あり、みたいな展開(笑)
    コナンくんみたい。。。

  • 池波節かあ、そういうのあるのね。
    私はそんなに時代物を読んでないから、差がまだわからないけれど…。
    読みやすいなとは思う、まるでライトノベルのよう。

  • 解説も鬼籍に入った中島梓(栗本薫)で、久しぶりの再会という感じだった。彼女が言うように鬼平は、簡潔にして滋味に富む文章だと思う。女性は魅力的に、食べ物は美味しく、日本酒は旨く感じる。読み手の中で勝手にイメージが膨らんでしまう、そんな文章だ。「はさみ撃ち」はなかなか面白い。元盗賊の店へ忍び込む盗賊を、元盗賊と火盗改メが互いに知らずに追う展開は、読んでいてニヤリとしてしまう。「盗賊婚礼」の結末は悲しいものだ。畜生盗めの盗賊団の中にも心ある人間がいたことが救いと言えよう。

  • 鬼平犯科帳シリーズ第七巻。「雨乞い庄衛門」「隠居金七百両」「はさみ撃ち」「掻掘のおけい」「泥鰌の和助始末」「寒月六間堀」「盗賊婚礼」の七編。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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