新装版 鬼平犯科帳 (11) (文春文庫) (文春文庫 い 4-62)
- 文藝春秋 (2000年8月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167142636
作品紹介・あらすじ
鬼の平蔵のもとで働くのは勇猛な者ばかりではない。勘定掛としてはまことに有能な川村弥助は、小心で地震が大の苦手。しかし愛する妻をさらわれた時、この臆病者は変貌した──鬼平の部下への思いやりが光る「泣き味噌屋」。木村忠吾が男色の侍にさらわれ危機一髪!の「男色一本饂飩」。長谷川平蔵が長谷川平蔵に闇討ちされる? 奇想天外な「土蜘蛛の金五郎」。盗んだ金を元に返した老盗人の名人芸「穴」。他に「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」と七篇を収録。
感想・レビュー・書評
-
「男色一本饂飩」いきなり忠吾の受難。男色の盗賊のお頭に監禁されて忠吾貞操のピンチで笑い事ではないけど笑ってしまった。なるほど、忠吾は今でいうところの「マシュマロ男子……」なのである。(池波風)
「穴」元盗賊のご隠居が隣の家からお金を盗んで人知れず返しに行く話。同じような粋ないたずらを鬼平さんにしかけた盗賊のじいちゃんがいたなぁと思い出した。
「毒」で鬼平さんの最期がさらりと語られていてびっくりした。シリーズはまだまだ続くけど、いつかは終わってしまうんだなぁと思うと悲しくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鬼平犯科帳 (11)
「男色一本饂飩」では、“兎”こと木村忠吾さんの“操”が大ピンチ!忠吾さんて、“トホホ・・”な事になる事が多いですが、今回はその最たるものですね。お気の毒でしたが、そんな彼が皆に愛されている事もわかりました。
「泣き味噌屋」では、臆病すぎる同心・川村さんが登場。
改めて鬼平さんが、部下に対して平等に思いやる事ができる方だと実感。本当、素敵なお頭ですよね。 -
「男色一本饂飩」忠吾ほられかける
「土蜘蛛の金五郎」平蔵vs.左馬之助
「穴」いたずらもほどほどに
「泣き味噌屋」弱虫同心頑張る
「密告」隠し子(嘘)
「毒」毒を掏ってしまった
「雨隠れの鶴吉」録之助の持ち込み -
※読了2回目と思われる
売却済み -
映像の鬼平犯科帳、最近ちょこちょこ見てますが、当時は全然見てません。平蔵は、松本幸四郎、丹波哲郎、萬屋錦之助と続いたのですね。池波正太郎 著「鬼平犯科帳 11」、2000.8発行。7話が収録されてます。第1話「男色一本饂飩」での豊島屋女中お静の活躍が見事。第2話「土蜘蛛の金五郎」での平蔵の乞食浪人姿での振る舞いが愉快。
-
雨隠れの鶴吉。引き込みの鶴吉が、乞食坊主の井関緑之助に語った言葉も、身に染みます。
「物事には、いちいち理屈をつけるものではない。人間という生きものは理屈とは全く無縁のものなのに‥‥どうも、得てして理づめに生きたがるのがおかしい、とね」
池波正太郎先生からの奥深いメッセージが感じられて、グッときますね。
鬼平ワールドはいい。たまに帰ってきたくなります。 -
男色一本饂飩
土蜘蛛の金五郎
穴
泣き味噌屋
密告
毒
雨隠れの鶴吉
「泣き味噌屋」同心 川村弥助と同様、妻を失った小柳が川村の心情を汲んで奔走しているのを想像するとぐっとくる。 -
面白い盗賊は救われるのか。
今回は救われてる人多いですね。どうにもならない人はどうにもならないですが…。
左馬之助さんのしゃべり方ってあんな感じだったっけ…。小関さんとキャラが被らないようにちょっとイメチェンしたのかな。 -
初っ端の「男色一本饂飩」は強烈だった。忠吾貞操の危機に、読み手は可笑しいやら胸が悪くなるやら。盗賊とはいえ、こんなお頭はイヤだ。「毒」の印象も深い。結局真相は闇に葬られたかたちに、江戸城中枢の空恐ろしさを感じる。解説のTVシリーズ裏話も良い。私が見て(再放送だが)覚えているのが松本幸四郎の平蔵だった。今もCATV時代劇チャンネルで鬼平をやっているのを観ると、懐かしさがこみ上げてくる。