新装版 鬼平犯科帳 (19) (文春文庫) (文春文庫 い 4-70)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142711

作品紹介・あらすじ

双肌をぬぎ、太やかな腕を剥き出しにして、せっせと桶をつくる働き者のおろくは、息子の変事をきいて顔色が変わった。「これ、どうしたのだ?」「うちの子が、勾引(かどわか)されたんでございます」叫ぶようにいったおろくが、平蔵の手を振り切って家を走り出た。──幼児誘拐犯は、実の親か? 卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が……。「霧の朝」「妙義の團右衛門」「おかね新五郎」「逃げた妻」「雪の果て」「引き込み女」の六篇を収めた力作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 鬼平犯科帳 (19)

    ここのところ、密偵の方が亡くなってしまう事が続く鬼平シリーズ。
    「妙義の團右衛門」では、敵に探っている事がバレてしまい、密偵・馬蕗の利平治が命を落としてしまう事に。
    シリーズの内容的に、登場人物が命を落としてしまうのは仕方のない事なのですが、やはりやりきれないですね。
    「逃げた妻」「雪の果て」は2話連続して、“木村忠太郎”こと木村忠吾さんの居酒屋でのお知り合いの浪人、藤田彦七の破滅の話。
    藤田さんと先妻・おりつの受難は自業自得と言えなくもないです。お気の毒なのは後妻の方と娘さんですよね。頼りない亭主と身勝手な先妻のせいで、いい迷惑だったと思います。

  • やっぱり 鬼平シリーズは何度読んでも面白い!
    図書館で借りてきた本を読みきってしまって
    久々に手を伸ばしてみた。
    また1から読み返してしまいそうだわ

    この巻は「血のつながりより縁だよ。育ての親が大ホントの親だよ」な話が2つも入ってる
    池波さんは「腹を痛めた子を可愛いと思わない親はいない」の時代の人だろうにねぇ。
    こういうとこがリアルで、楽しさを増してるのかなぁ?

  • 幼児誘拐犯は実の親か?卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が…。ある時は鬼になり、ある時は仏にもなる鬼の平蔵の魅力を余すことろなく描く力作6篇。
    コロナ禍でモヤモヤする最近だが、鬼平犯科帳の映像化というニュースが飛び込んできた。平成の時代を中村吉右衛門版で楽しんできた私には、今から配役を自分なりに想像する楽しみが出来た。

  • 時々、ふらっと長谷川平蔵に逢いたくなります。
    盗賊改方の木村忠吾は、最近はおかしらが、若い同心でまだ新婚早々の細川峯太郎ばかりを共に連れて市中見回りばかりするので、妬ましくて仕方ない様子。
    それにしても、柿に味醂をかけて食べるのは、美味いのだろうか?きになります。

  • 「妙義の團右衛門」は切ない・・・。
    平蔵が成敗してくれたけど、戻ってこないものは大きい。
    人の死ってやっぱり大きいと思う。
    「おかね新五郎」は最後に心温まるお話だった♪
    「引き込み女」は密偵の複雑な心がよくわかった。
    でも、これもやっぱり切なかったなぁ・・・(´・ω・`)

  • 「霧の朝」幼児誘拐
    「妙義の團右衛門」ありがとう利平治
    「おかね新五郎」鉄火と剣豪
    「逃げた妻」が戻ってきて一緒に逃げてほしいという
    「雪の果て」そのろくでもない末路
    「引き込み女」もうちょっと何とかならんかったのか

  • 霧の朝
    妙義の團右衛門
    おかね新五郎
    逃げた妻
    雪の果て
    引き込み女

    「妙義の團右衛門」また密偵が一人…。分かっていながら読み進めるのはすっきりしない。
    「逃げた妻」「雪の果て」木村忠吾の馴染みの店、治郎八に通う浪人 藤田彦七との話。
    「引き込み女」おまさが女賊 お元と再会。引き込みのはずなのにまさかの展開。磯部の万吉はまた出てくるか。

  • 一度崩れてしまうと、破滅するしかないのか。

  • 本巻は親子の情、火盗改メと盗賊の内通合戦、男と女の難しい縁、と何とも盛り沢山な内容であった。怨恨から子を誘拐した賊を、当初疑われていた実の親が見つけるとは小説ならではなのだが、読んでいる間はするりと読み手の懐に入ってくる。恐ろしいことだwww「妙義の團右衛門」でしてやられた平蔵だったが、馬蕗の利平治の仇を討つことで意地を見せた時には、こちらの溜飲も下がる思いだった。

  • 「霧の朝」、「妙義の團右衛門」、「おかね新五郎」、「逃げた妻」、「雪の果て」、「引き込み女」の6編を収めた力作短編集。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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