柳生但馬守 柴錬立川文庫 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1992年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167143138

感想・レビュー・書評

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  • 様々な短編がよかった。

  • これの解説で確認してみましたが、どうやら「赤い影法師」は、やはり柴錬立川文庫よりも以前に書かれていたようです。

    それはともかく。
    今回もネタバレしつつ。

    相変わらず幸村様の慧眼ぶりは凄まじく、やっていることはシャーロック・ホームズのようではあるのですが、現代の感情やら事情やらと照らし合わせたら、賛同しかねることも出てきましたね。

    まあ、淀君に「大阪安泰のために家康と寝ろ」と言うのはまだしも(まだしも?)、秀吉のご落胤が邪魔だからといって、その顔を潰してしまってはいけません。
    ここでわたしの幸村株がぐっと下がりました。
    まあ、武将としては優秀なんでしょうけれども。
    マキャベリストぶりがすごいなとこのとき思いました。
    あの天真爛漫な佐助にそれを命じるのもまた酷です。そりゃあ佐助だって、「お主様もむごいことをなさる」「わしはもう二度とごめんだわい」と言いたくなりますよ……。
    幸村様の命令第一で、幸村様が大好きな佐助が、顔を潰す毒を仕込んだあとは、すぐに主のもとへ帰れなかったのだから、その衝撃の大きさがわかろうというものです。

    ご落胤が悪党であったならまだ……という感じですが、作者はあえてそうしなかったのではないかとも思います。
    真田幸村は勧善懲悪の男ではありませんし。
    彼は常に「豊家のため」と働いていますが、そこまでして尽くす要素が豊臣家のどこにあったのだろうと考えもします。
    現実の話やら巷間にあふれている逸話ではなく、この、柴錬のえがく真田左衛門佐幸村という男の感情のことです。

    そんな、時に非情を見せる幸村が、佐助のおこないに感動をおぼえたりもします。
    「佐助、何を致しておる?」
    「観賞用の樹木を植えます」
    「何故だ?」
    「百姓が、侍は地を荒らすだけ荒らして後始末をせぬ、耕し、草木を育てることの苦労を知らぬ、と罵っていたからです。それで……」
    いろんな木の苗を説明される幸村……。
    佐助が苗を植えようとしているのは、間もなく戦となり、また踏み荒らされるような土地です。それでも「生き残るかもしれない」との想いから植物を育てようとする佐助に、深く感動するわけです。

    いい!

    佐助が可愛いじゃないですか。
    この話、上記のご落胤の話の直後に収録されているのですが、非道をおこなった幸村が、すぐさまそんな愛らしい佐助に感じ入るものだから、その落差にちょっと狼狽えてしまいましたよ……。

    その他、いろいろな話がありますが、幸村と佐助の出番はいささか少なめ。
    やっぱり、「猿飛佐助」「真田幸村」がバイブルかな……という気がします。

    少ない出番ながら、余裕で微笑んでいる智将は、やはり恰好よいですが。

  • 柴錬立川文庫。真田幸村と猿飛佐助主従が大阪の冬の陣がはじまるときから大阪夏の陣に至るまでの期間に起こる数々の出来事を体験する。これらの短編集。意外な人物が登場したりして楽しく、気軽に読めるお話ばかりです。

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著者プロフィール

1917年-1978年.岡山県生れ。慶應義塾大学支那文学科卒業。在学中より「三田文学」に現代ものの短編を発表。戦後、「書評」の編集長を経て、創作に専念。1951年、『イエスの裔』で第26回直木賞を受賞。以後、時代小説を中心に創作し1956年より「週刊新潮」連載開始の『眠狂四郎無頼控』は、剣豪小説の一大ブームを起こす。1969年に『三国志英雄ここにあり』で第4回吉川英治文学賞を受賞主な作品に『赤い影法師』『御家人斬九郎』『剣は知っていた』『決闘者 宮本武蔵』『チャンスは三度ある』など多数。

「2022年 『第8監房』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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