人やさき 犬やさき 続 葭の髄から (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2007年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167146085

感想・レビュー・書評

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  • 「阿川弘之」のエッセイ集『人やさき犬やさき―続・葭の髄から』を読みました。

    『蛙の子は蛙の子 ― 父と娘の往復書簡』に続き「阿川弘之」作品です。

    -----story-------------
    昭和天皇ハワイ訪問時の逸話にホロリとし、娘・「佐和子」さんの日本語の誤りを嘆く。
    また、日本外交のふがいなさを憂い、「女王陛下にキスされた話」では国の品格を思う(キスされたのが誰かは本文をご覧ください)。
    歴史への洞察と、深い見識、そして屈指の名文とユーモア。
    好評の『文藝春秋』巻頭随筆、第二集。
    -----------------------

    『文藝春秋』に連載された巻頭随筆をまとめた4作品のうちの第2集。

    平成12年10月号から平成15年12月号に掲載された作品で、以下の39篇が収録されています。

     1.隠れたる名著
     2.女王陛下にキスされた話
     3.はつたりマント
     4.厠の歴史
     5.べしは正しく使ふべし
     6.十七歳の歌
     7.病牀雑記
     8.忠臣蔵
     9.二人の外務大臣
     10.三つの光
     11.車中随想
     12.人間の大工
     13.元寇に思ふ
     14.白い虹
     15.帰去来の辞
     16.だつた考
     17.憧れの日本
     18.新春読書始
     19.近藤啓太郎追悼
     20.海軍の採用試験秘話
     21.天皇陛下ハワイの休日
     22.重臣たちの証言録(一)
     23.重臣たちの証言録(二)
     24.重臣たちの証言録(三)
     25.人食ひ鮫の終戦秘話
     26.新世紀の笑ひもの
     27.謝るつきやない
     28.ポルトガル再訪
     29.日本に捨てられる
     30.さよなら三十分
     31.銀行に御注意
     32.イラク戦争是か非か
     33.支那と中国
     34.筍文化
     35.心の祖国
     36.宮様の伝記
     37.司馬遷と司馬遼太郎
     38.桂離宮修復
     39.人やさき 犬やさき
     あとがき


    やや偏った思想はあるものの、価値観が似ている感じがして、共感しながら読むことができました。


    『女王陛下にキスされた話』では、機転とユーモアでトラブルを解決して、友好関係を築いた海上自衛官の行動に共感を覚え、

    『はつたりマント』では、シドニー・オリンピックの選手団が使用した使えないマントに使ったコストに憤慨し、

    『厠の歴史』では、是非、このネタだけで本を出して欲しいなぁ… と熱望し、

    『元寇に思ふ』では、ギスギスしている大陸や半島と日本との関係は、今に始まったことではなく、紀元3世紀まで遡るんだなぁ… と改めて歴史の深さに気付き、

    『べしは正しく使ふべし』や『だつた考』では、日本語の良さと難しさ、そして日本語をキチンと学んでいない(教えてもらっていない)ことに後悔し、

    等々… 感情移入しつつ、愉しく読めましたね。

  • 名文。

  • <blockquote>「私は恋愛に関しては庶物崇拝教徒であり、ファナチックであり、ラジカルで生一本である・・・・・・私は女を自分より上のものとして見る。自分の方から女を仰ぎ見る。それに値する相手でなければ女とは思わない」<br />これが谷崎潤一郎「雪後庵夜話」の一節である。〔12〕</blockquote><br /><blockquote>「幸ひ損傷も軽かつたし、別段気にしてをりません。エリザベス女王陛下にキスされて光栄です」〔21〕</blockquote>★なかなか粋なことをおっしゃるものだ。<br /><blockquote>「あのね、はつたりといふものは、自分より下の人間には効くかも知れないけど、少し上の者の眼から見れば、ただ馬鹿馬鹿しいだけだからね。」〔26〕</blockquote><br /><blockquote>アラブ人が豚を食はないのは、蒙古人支那人の住まひの、厠の下に豚が飼はれてゐて、豚は人間の排泄物を食べて肥るのを、昔からよく知つてゐる為だといふこと。〔33〕</blockquote>★本当にそのような理由によるのだろうか?<br /><blockquote>江戸時代の後桜町天皇以来三百年ぶりの女帝〔68〕</blockquote>★女性の天皇が即位したことがあったのだろうか?寡聞にして知らないのだが。<br /><blockquote>近くの聖マリアンナ医大病院の救急救命センターへ運び込まれ、あちこち怪我の処置をしてもらつて、午前一時半やうやく帰宅を許された。〔77〕</blockquote>★もしかして阿川先生は割と近所にお住まいか?<br /><blockquote>こんにちの皇室の祖先に金印を授け、「今汝を以て親魏倭王と為す」と宣した西暦三世紀中葉に始まり、対等の国交を望んだ聖徳太子の国書に激怒して一旦は日本征伐を思ひ立つ七世紀初頭の随の煬帝、蒙古族が打ち建てた十三世紀の元王朝から二十一世紀の江沢民共産政権まで、彼ら心奥の中華意識には千八百年来少しも変らぬ一貫性があり、大陸文化の恵みに浴した周辺の「不庭の俗」どもに命令口調でものを言ふぐらゐ当然だとの自負があるのではあるまいか。〔84〕</blockquote>★『日本辺境論』の一節を思い出す。<br /><blockquote>白い虹が中天にかかつて太陽を射抜くかたちを示すのは、凶事、兵乱の前兆だといふ古い言ひ伝へである。〔87〕</blockquote><br /><blockquote>「治乱興亡は一時のことであります。学問道徳は永遠のことであります」〔97〕</blockquote><br /><blockquote>「学期学年の試験の前になると、先生はわれわれに注文をつけた。『国語は正しく書いてほしい。竪書きにする。何々だつたという言い方は止めてほしい。ちゃんと、であったと書く』――」〔101〕</blockquote><br /><blockquote>「日本が大和武蔵を持つてゐるのは、貧乏人の娘がとんでもない晴れ着を二着持つてゐるやうなもんだ。それあるが為、あすはしけんだといふのに、着飾つて帝劇へ芝居を見に行きたくなつたりする。当然試験には落つこちる。ろくなことは無い。あの世界一の巨艦二隻が日本を亡ぼすぞ」〔134〕</blockquote><br /><blockquote>文筆家が曾て「公言」したことを破り去るのは、どう考へてもやはりいやであつた。週明け早々、予定通り解約の手続きを済ませた。老妻の通帖に千七百七十何万円かが返つて来た。〔197〕</blockquote>★阿川先生は頑固すぎるのでは。それともこれが「矜持」というものだろうか?<br /><blockquote>国家像や人間像を善玉か悪玉かという、その両極端でしかとらえられないというのは、いまの歴史科学のぬきさしならぬ不自由さで、(中略)他の科学に、悪玉か善玉かというようなわけかたはない。たとえば水素は悪玉で酸素は善玉であるというようなことはないであろう。そういうことは絶対にないという場所ではじめて科学というものが成立するのだが(以下略)」<br />此の長い歴史小説を、今も多くの読者が読みついでゐる魅力の根源は、全篇通じて変らぬ此の「科学的」司馬史観に在りと感じた。〔234〕</blockquote>

  • 初読だと思ってたら既読.しかし一応斜め読み. ……まさに老害ですな.他人の文章に口喧しくケチをつけてるヒマがあったら「電気ショックのようなショックが走った」なんていう中学生でもやらない間抜けな表現を推敲しなせぇよ爺さん.というより編集者が注意してやれよ.大御所だから怖いってこともあるまいに.

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著者プロフィール

阿川弘之
一九二〇年(大正九)広島市に生まれる。四二年(昭和一七)九月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。四六年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『雲の墓標』、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『米内光政』、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)、『南蛮阿房列車』など。九五年(平成七)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる。七八年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。九三年、文化功労者に顕彰される。九九年、文化勲章受章。二〇〇七年、菊池寛賞受賞。日本芸術院会員。二〇一五年(平成二七)没。

「2023年 『海軍こぼれ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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