- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167152079
感想・レビュー・書評
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やっと読み終わった。
長崎を愛した愛八。
歳をとってからの人生が主だったが、なんとなく気持ちの伝わってくる文章。芸者の世界が見えてきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第122回直木賞
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なかにし礼の2000年に直木賞を受賞した小説。長崎に実在した芸妓の愛八の一生を、同じく実在した長崎学の祖「古賀十ニ郎」との恋愛を中心にしながら綴っている。
映画は見たことがあったが、小説ははじめて読んで、正直そこまで期待していなかったので、いい意味で期待を裏切られた。長崎の花街丸山のことだけでなく、長崎ならではの隠れキリシタンの方々の話、小浜の漁火の話など、それぞれのエピソードがぞくぞくさせるもので、とてもとても面白かった。長崎にしばらく住んでいるということがうまく効いたのだと思う。長崎くんちで必ず聞こえてくる「長崎ぶらぶら節」が、一歩間違えれば現代には残っていなかったかもしれないと思うと、二人の活躍に感謝。
ただ、司馬遼太郎もしかりだが、実在の人物を書きながら、完全にノンフィクションではない小説というのは、ともすればすべてが真実だと思いながら読んでしまうので注意が必要。 -
2015年11月2日読了。
イメージしていた話と違いました(いい意味で)。あらすじって本当にあてにならないな。
愛八姐さんカッコいい。 -
10歳で長崎丸山の芸者置屋に売られてきた愛八。同じく芸者となった姉妹に器量では劣りながらも、唄という芸一筋に励みいつしか名妓と呼ばれるようになった。そんな愛八は50歳を目前にした頃、長崎学の研究者古賀と出会う…。
長崎の古い歌を集める旅を通して、二人の心は友情とも愛情ともつかない絆で結ばれる。長崎の方言そのままのテンポのいい会話と愛八のひたむきな生き方が心を打つ。清々しい読後感である。
☆直木賞 -
「歌は言葉と音楽という二つの翼にのって空をとぶ。片一方の翼だけでは墜落するとたい。・・・」
「無学な人間はなんでもすぐに伝説にしたがる。世の中には不思議な事がいっぱいたい。・・・」
「人間は誰でも自分の想像力の及ばない物事は否定したがるもんさ・・・・」
「人間の声は化粧も出来んし、衣装も着せられん。しかし謳うときとか芝居をする時、または嘘をつく時、人の声は化粧もすれば返送もする。この時に品性がでるもんたい。上手く歌おう、良い人に思われよう、喝采を博そう、そういう邪念が歌から品を奪う。・・・」
「 -
長崎の方言は味わいがあったが物語としては凡庸で退屈。自家薬籠中の歌詞についてもっと深く掘れば良いのだが、「天から降ってくる」などとプロとは思えぬありきたりの表現は、作者の作詞行為すら下卑たものとしてとらえてしまいそう。
これが直木賞なのか。 -
今度のお盆休みに長崎に行く事にした。一番の目的は精霊流しだけれど、それだけでなく、何か読んでおいた方がいい本があるかなあと考えたら、安直だが本書のことを思い出し読んでみた。
長崎のガイドブックが何冊か手元にあるため、地名が出てくるとどこか確認しながら読み進めた。
ここが主人公が生活をしていたあたりかとか、お百度を踏んだ神社かとか、考えると現地に行くのが楽しみだ。 -
本書は小説と言うよりもノンフィクション(伝記)に近いかも...
なかにし礼さんが明治から大正、昭和の長崎で数奇な人生を送った芸者愛八(あいはち)の生涯を綴ったものです。
四十後半で淡い恋心を抱き、お座敷のない日曜日に古賀十二郎と長崎の古い歌を集めて小さな旅をします。
切なくも充実した日々...
そして、貧しい子どもや若者を見ると、何が何でも世話をしてしまう気前の良さ。
長崎の古い唄を求めて各地を巡る愛八さんと古賀先生の人間としてひたむきで誠実な生き方には、男女の物語を越えてた人生ドラマを感じさせられます。
会話がすべて長崎弁。
そういった意味でも普段の読む小説とはひと味違った楽しみ方もできるかもしれません。
映画にもなっているとの事。
私はまだ映画は観た事がないのですが、一度観てみたくなりました☆
人間の物語として味わい深く楽しむことができる小説だと思います。