猫も杓子も (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年2月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784167153441

みんなの感想まとめ

自由奔放に恋愛を楽しむ30歳の阿佐子の物語は、創作活動からテレビ出演まで多彩な彼女の日常を描き出します。昭和43〜44年の時代背景を感じさせない彼女のハジけたキャラクターと、田辺聖子独特の心地よい会話...

感想・レビュー・書評

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  • 創作活動からテレビ出演まで、マルチに活動する阿佐子、三十歳。仕事に精を出す傍らでいくつもの恋を同時進行させ、それぞれに一喜一憂の日々。そんな自由奔放な生き方の、バランスが少しずつ崩れていく。
    描かれたのが昭和43〜44年ということだが、そんなことを感じさせない阿佐子のハジけ感よ!!田辺聖子節の効きまくった丁々発止のやり取りがとにかく心地よい。こんなキャラクターを昭和40年代に…と驚きながら読んでいると「戦中派」という言葉と共に、グッとその時代に引き寄せられるときがあり。そういうギャップも田辺作品の好きなところ。個性豊かな登場人物ばかりで、とにかく飽きない。
    自分に自信のある、魅力的なアラサー女子に複数の男達、というと「乃里子三部作」。似た設定が多いので、その原点となる作品なのかなと感じた。ちなみに、本作を読むきっかけとなったのは、乃里子シリーズ3作目「苺をつぶしながら」に阿佐子がチラッと登場していたから。「猫も杓子も」読了後、改めて「苺を…」の阿佐子の場面を読み返し、その後の阿佐子を知ることができてよかった。勿論単体で十分面白いけど、こういう楽しみがあるのは嬉しい。年齢不詳の実業家ミセス、芽利も両作品で登場してるし。
    「夢見小説」と田辺さんが呼んでるように、確かに女性の願望を詰め込んだような展開だけど、甘さだけで胸焼けさせない、スパイスとリアリティをしっかり効かせた作品となっている。

  • 才能を活かして仕事をばりばりこなし、実は30歳ながらハタチそこそこに見える童顔キューピー顔の阿佐子。

    年下のボーイフレンドやおじさんをとっかえひっかえ、何にも縛られず楽しく暮らしているのだが…。

    おせいさんの小説は会話が楽しい。あほ!言いながらいちゃこらしたりする関西人のニュアンスが生々しくて面白い。肉食男子に肉食女子、そこかしらでくっついたり離れたり。

    仲の良い雇用主の男にも平気でしれっと誘いをかける山ちゃんみたいなタイプが一番怖いなぁ。

  • すごく良かった。
    やっぱり本の中の関西弁にもとても親しみがわく。
    “おべんちゃら”とか、すごく可愛いことば。

    男の人に関しての考え方とかにも、とても共感できる。
    国包さんや、悟に対しての考え方とか。
    スッと入ってきたなー身体に。

    面白かった。

    “わたしは人間の声に興味がある。顔のイメージとむすびついてると、なぜか、へんに安心する。”

  • んー合わなかった。
    主人公30歳の女性、奔放な生活、気持ち悪い。
    40年くらいが舞台でこれか。
    解説の青山七恵さんが二十代って?

  • なんだろうか。自由奔放で、まさに思うがまま、自分の欲望に正直に生きる浪速の女。ところどころで時代を感じさせるのであるが、現代でも充分に通用する恋愛模様が素晴らしい。
    大阪弁でのやりとりがまた面白い。

  • 田辺さんの関西弁と、細かい心の描写、すこし斜めから世間を見てる感じは大好きですが、この本の主人公に共感できず。
    また出てくる男女全員が全く魅力的じゃないため入り込めずに読了。

  • 絵を描くことを中心にテレビに出たりラジオに出たり、小説も書けば演技もする。旺盛に仕事に勤しむ30歳の阿佐子。
    恋愛の方も然りで若い恋人の他にも狙っている男や偶然の出会いでちょっと盛り上がってしまう妻子持ちもいる。
    真面目に実直に生きることをモットーにしている人間からしたら顔をしかめずにいられないような阿佐子の日常は、大阪の気質や大阪弁とうまい具合に溶け合ってなんとも粋に描かれている。
    そんな面白おかしい日々も少しずつ雲行きが怪しくなってくる。いつまでも気楽に楽しくはいられないのか…。諦念のようなものがうっすらと見え隠れする終盤に、なんだか阿佐子に裏切られたような気がするのが不思議だ。

  • 犬みたいに懐っこい男、大人の色気たっぷりの男、どこか抜けてる草食系の男。
    それぞれ大好きで憎たらしくて愛おしい。ゆらゆら揺れる心、自由な三十路女の行く末は…。

    私が生まれる前に書かれた作品ですが、恋愛事情は現代と変わらないじゃないか、と驚いてしまいました。
    こてこての関西弁が、より圧倒的なパワーを感じさせますね。

  • 設定に最後までなじめなかった・・・
    阿佐子の気持ちは分かるんだけど、欲張りな感じがどうも うーーーん・・。

    生きていくなかで、失うものがあるとは思わないけど、何かを得るとしたら何を自分は手放すことになるんだろう?と立ち止まって考えたいと思う人間なので。

  • のりこシリーズと話の構造は似ているのですが、ラストはほろ苦め。女が自由に生きようとすると、いろんな男を傷つけたり、傷ついたり。それでも人生は続く。アラサー小説。私は好きです。

  • いままで読んできた田辺聖子作品の中では、ちょっと違う感じがします。
    ヒロインは、大阪で人生を謳歌する女性。複数の人と関係をもちつつ、それぞれ分けて恋愛を楽しんでいます。最後のところで、「田辺作品にもこんなもっていき方があるんだ」と驚きました。それは読んでからのお楽しみですが、ただ強く楽しく生きるだけじゃない。ドラマがあるからこそ、人生は重く深みを増すのだなと思いました。

  • みーんな、おばかちゃん。

  • 2012.7.23.mon

    【経路】
    田辺聖子さんの大阪弁がしっくりくると聞いて。

    【感想】
    •欲望に正直に生きる楽しさの底で、人生と孤独の関係も知っている30女の恋愛遍歴小説。
    •田辺さんの大阪弁好きがよく伝わる。「アレして」とか「ぼちぼち」でみなまで言わない美徳とか、恋人とのテンポのいい会話とか、色気を含むまろやかな京弁とか、舞台も梅田や本町でテレビ局がでてきたりで世界観に愛着。
    •「仕事も男もちゃらんぽらんに生きるのも全部すき!」と開けて堂々と言える年齢不詳キューピー顔の30歳、良いやん。
    •不倫は全部欲しくなったら身の破滅。側面をちらつかせてはならない。
    •恋心と芝居心は半々がいちばん楽しく長くうまく行く。

    【うーん】
    •悟が最期そうなる必要があったのか。
    •冬木に魅力を感じない。色気より食い気はやだ。

    【共感】
    •眼が迅い。何もかもが見えすぎる、見えすぎる不公平と悲しみ
    •頭の上澄みのところが、キーン!といたくなるような恋の辛さ
    •あたし、もし自分を美人や、思うても外へ出すのん、きらいですわ。ぜいたくに使いたいわ。たった一人のために使いたいの。自家消費したいんですよ。
    •女というものは箸箱のように、いつも威厳を手もとに引きつけてなくちゃいけないのに
    •人がなぜ結婚するのか、わかった。いっしょに家に帰るためである。
    •テレビ局=軽佻浮薄が鉄筋コンクリートに支えられているような建物
    •縛られたり禁止されたりするのがきらいだ。そのくせ、向こうが気にしてくれないと物足りない。
    •人生はトランプゲームじゃないのでカードは配り直せない
    •煩悩の味つけで不味くならないように、おいしいところだけを、ちょいちょいつまむ。
    •人間は、毅然とした、断乎としたところがなくちゃ、いかん。
    •わたし自身と、わたしの好きな肖像とが、ぴったり合致する
    •女の涙はたいてい、自己憐憫に味付けされて甘くもたのしいものである
    •美しくするも醜くくするのも、すべて人間の気持ちのもちかた次第で、ものごと自体は事実にすぎない。

  • 自由奔放に複数の恋をたのしむ一方、仕事も精力的にこなす三十歳の阿佐子の恋の顛末。
    乃里子三部作と話が良く似てる。

    恋が生まれる瞬間の輝きや、恋の熱に浮かされながら冷徹にその行く末を見つめる視線。
    健気さと奔放さが同居した三十歳の女ごころが、余すところなく描かれている。

    自分の中で言葉にできなかった感情を、艶っぽい大阪弁でリズム良く、的確に言い当ててくれる。
    女の人の持ついろいろな感情がぎゅっと濃縮されているようで、面白かった。

    ラストの喪失感には心をわしづかみにされ、深い余韻が残った。

  • 40年前でも、肉食女子はいたんだな。
    つか、登場する女子がみんな肉食だ。

  • 長崎旅行の帰り空港で購入。
    帰りに黙々と読んだ。

    様々な性格や恋愛スタイルをもつ男性と、
    恋愛をして、仕事をして、のびのびと生きる
    「好きに生きたい」でも歳はそこそこにとっていて・・・
    な女性の話。

    山本文緒とか唯川恵の作品もそうだけど(たぶん)
    こういうけだるい女性というか楽天的でありながら
    厭世的な生き方をする女性主人公がでる作品というのは
    読んだあと必ず自分の生き方はこれでいいのか、と
    どっと疲れてしまうので苦手というか・・・
    結局好き勝手に生きている人が羨ましいから妬みがでてきてしまうんだと思う。

    でも作者のビジュアルからは想像できない
    甘ったるいだけの作品かと思いきや、比較的最後はすっきりした。
    ずっと彼女の作品は見たかったから読めてよかった。

    あと、主人公の阿佐子のビジュアル描写がすごく
    可愛らしくて、好感がもてた。

    きっと彼女の生き方に眉をひそめる人もいるだろうけど、
    女はみんなきっとこうなんだ。

  • <選んだ理由>
    大阪の、それも御堂筋が出てくる小説が読みたくなったから。

    <感想>
    男女の仲とはこんなにも、深くてどろりと混ざり合うものなんやなあ。
    正直、ちょっとこわいかった。

  • 田辺さんには、かなわない・・

    特に阿佐子と国包の関係においての
    阿佐子の気持ちは鳥肌が立つほど繊細で的確。


    阿佐子が田辺さんと重なるのですが
    著者がモデルなのでしょうか??

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  • 自由気ままに自立して生きる女性って今は巷に溢れているけど、当たり前になった時代っていつ頃なんだろうか。今でも風向きによっては、まだまだ強いな、と感じるもの。この時代って結構キツかったんじゃなかろうか。それにしても自称『人生の美食家』と謳っているこの女性はとっても強くしなやかで素敵!自由気ままに生きられるって、自分の人生に責任持ってるから出来る事なんだろうな。そんな人でありたいものだ~。

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著者プロフィール

田辺 聖子(たなべ・せいこ):1928年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒業。64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、以後精力的に書き続け、87年『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞、93年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、98年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。2008年に文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。19年6月死去。

「2026年 『けったいな関係 田辺聖子傑作短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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