アダルト・チルドレンという物語 (文春文庫 の-8-1)

  • 文藝春秋 (2001年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167157180

みんなの感想まとめ

親子や家族、他者との関係に苦しむ人々に向けたこの作品は、アダルト・チルドレン(AC)の生きづらさを解明し、回復のための具体的なヒントを提供しています。機能不全な家庭環境で育った人々が感じる孤立感や自己...

感想・レビュー・書評

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  •  『母が重くてたまらない』と『依存症』がよかったので、同じ著者の旧著を読んでみた。読む順番が逆になってしまったが、本書は著者にとって最初の著作である(元本は1996年刊)。

     本書の単行本時のタイトルは、『「アダルト・チルドレン」完全理解』というものだった。その書名のとおり、「アダルト・チルドレン(AC)」についての概説書である。「AC」という概念が生まれた経緯から説き起こし、著者自身のカウンセリング経験をふまえて豊富な実例を示し、後半ではACの「生きづらさ」を克服する道筋まで示している。

     周知のとおり、ACはもともとは子ども時代にアルコール依存症の親のもとで育った人を指したが、しだいに裾野が広がり、「機能不全家族」の中で育って「生きづらさ」を抱えている人すべてを指すようになった。
     著者による概念規定はさらに簡潔で、「自分の生きづらさが親との関係に起因すると思う人」はみなACなのだという。

     信田さよ子の本は、わかりやすくて深い。本書もしかり。ACの概説書としても優れているし、現代の家族問題、親子問題を考えるにあたって示唆に富む好著であった。

     以下、印象に残った一節を抜き書きする。

    《感情というものは、包丁のように、使わないと錆びてしまいます。》

    《実際問題として、子どもたちはどんなことで傷ついていたのでしょうか。父親に殴られることや、父親が昼間から飲んで暴れるというようなことだったのでしょうか。いいえ、違うのです。このような理由は、三番目か四番目でしかないのです。
     アルコール依存症の家族に育った子どもたちがいちばん傷ついているのは、夫婦のいさかいなのです。父と母とのあいだに繰り返されるドラマをずっと見ていること、その観客でいることのおびえ、自分のせいではないかという罪悪感。これらのほうが、直接殴られるより子どもにとってははるかに苦痛です。》
     
    《子どもにとって、家族の崩壊は世界の崩壊です。家族を離れては生きられません。世界そのものなのです。もし自分が維持しなければこの家族は壊れるのではないかという恐怖感にさらさられると、子どもが懸命に家族を、親を支え、守るという倒錯が生じます。》

    《記憶を重りにたとえた場合、重りで自分自身というはかりが壊れたら困るので、はかりが壊れてしまうような重りは乗らないようになっています。そのような記憶は、全部忘却、あるいは否認という形で底に沈んでいて、その人がだんだん力をつけてきて、はかりの耐える重量が上がってくると、底にある記憶が浮かんでくるのです。だから、新しいことを思い出すということは、その人がある記憶を抱えられるだけに回復したり、変化したことの証です。》

    《世の中に、よく親を殺したいと言う人がいますが、あの気持ちはどこから出てくるのでしょうか。これはまだ親との関係が清算されていないからです。殺したいというほどの憎悪は愛情の裏返しで、もっといい親になってもっと自分をなんとかしてほしいという“要求”がどこかに残っているのです。》

    《本当の自尊心とは幻想をはぎ取って自分を見つめ、その自分を愛していくことではないでしょうか。》

  • 「愛という名を借りて支配するー共依存…人間はだれもが支配欲というものを持っています。」(pp.46-47)

    「見えづらい「支配・被支配」の関係」(p.66)

    「グループカウンセリングの基本は語ることです。」(p.96)

    ACの12ステップ(p.137)

    サイコドラマ(p.156)

  • 親子関係、家族関係、他者との関係で「つらさ」を感じたことのある人すべてにおくる、第一線のカウンセラーからの「生きのびる」ヒント。
    一見、何不自由ない穏やかな家族にひそむ機能不全、その家族を保つため演じつづけることの苦しさ、残酷さを解きあかし、「自分」が人生の主人公である意識を取り戻す。
    ノーが言えず自分を酷使する人、いつも自分を責めている人、完璧な自分をいつも心の中で描いている人、絶えず異性とくっついたり離れたり繰り返す人、これがアダルトチルドレンの特徴です。
    アダルトチルドレンの生きづらさの原因は、過剰に責任をとってしまうこと、孤立感、極端な自己評価の低さ、怒りや批判への怯え、自分の感情を表現する能力の欠如、絶望的までの愛情と承認の欲求。
    グループカウンセリングの中で自分と親の関係を語っていく中で、ありのままの自分の感情が見えてくる。
    アダルトチルドレンの回復のための12ステップ。
    インナーペアレントとの関係の清算は、自分の人生と親の人生の間に線を引けること。
    自分の人間関係を変えるためのサイコドラマ。
    自分が人生の主人公である意識を取り戻すための本です。

  • 文章は粗いです。男性読者や様々な世代まで対象に書いていたかと思うと、突如「私たち女性は、〜」「私たちの世代は、〜」などと書く。そこで僕などはどーんと突き放されてしまうわけです。

    そんなショックを何度も受けつつも、これほど抜き書きしたくなる箇所の多い本もそうはなかった。スーザン・フォワード「毒になる親」に続いて、多くの学びをもらえた本。ありがたかった。

  • 借りたら、信田さよ子さんのサイン入りでした。

    ACについての詳しい分析と回復のプロセスを、「自分自身のストーリー」と関連付けて語ることで位置付けています。
    キーワードは、「インナーペアレント」ということです。

    対象として、主になんと中高年のACが多く取り上げられています。

    世の中では、「自分の不幸を親のせいにすること」がタブーとされていますが、本書では、「どんどん他人のせいにすればいいのです。」「それが回復への階段を登ることです」と、言ってくれていて非常に安心した。
    また、ACは医師や専門家が決めることではなくて主観的なものであっていいということ。

    ACという言葉が、人間性の回復につながるようになればよいと思う。

  • 《両親と生きづらさの関係》
    自分の生きづらさの問題と責任を、
    一度自分から切り離して全て「親のせい」にしてみる。
    そうすると「自責の念」から解放され
    思考が柔軟になり問題を整理しやすくなる。
    自責の念、というのは多くの精神病に
    関わりがあるキーワードらしい。
    「良心の声は両親の声」(by.フロイト)。
    心のなかの両親が
    自分をいつまでも罰していることも、ある。

  • 表面上は「いい家族」であっても、アダルトチルドレン(AC)を産んでしまうという極めて日本的な家族構造を読み解いていく。親の期待はときに虐待にもなり得るということを本書は教えてくれる。ただ、自分がACだと思えばACというACの判断基準だけはどうも馴染めない。他人に「あなたはACです」と言われて初めて認められることだってあるのだから。って、こんな他人からの承認願望がある時点で私も本書で言うところのACなんでしょうね。

  • アルコール依存症の親の子であれ何であれ、近代的な家族関係の中で適切な関係を築けなくなった人をACという、ということか。 自分がACだと思えばAC、というのは、人が他者との関係を問い直す際には物語が必要ということか? というより、人が行為主体として行為するためには何らかの物語が前提されている必要があるのか? 物語の適応的な機能が(あるなら)知りたい。

  • 彼女が持っていて、ブックオフに売ろうとしていた本の中に入っていた。少し興味を持ったので、ピックアップして読む。

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著者プロフィール

信田 さよ子(のぶた・さよこ):1946年、岐阜県生まれ。公認心理師・臨床心理士。原宿カウンセリングセンター顧問。お茶の水女子大学哲学科卒、同大学院修士課程児童学専攻修了。著作に『母が重くてたまらない』『家族と国家は共謀する』『暴力とアディクション』など多数。

「2025年 『なぜ人は自分を責めてしまうのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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