新装版 斬 (文春文庫) (文春文庫 つ 2-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167157197

作品紹介・あらすじ

最も人道的な斬首の方法とは、被刑者に何らの苦痛もあたえず、一瞬のうちに正確にその首を打ち落とすことである…。"首斬り浅右衛門"の異名で恐れられ、七代二百五十年に渡り世襲として罪人の首を切り続けた山田家の一族。その苦悩と末路とは?豊富な資料に裏打ちされた、第67回直木賞受賞の異色歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 1972年の直木賞受賞作品。250年間に渡り「首斬り」を生業とした山田一族の7代目浅右衛門を描いた歴史小説。圧倒されました。

  • 時代の変遷とともに処刑人山田一族の苦悩を描いた作品。斬首刑という文字を見れば、残酷な印象を受けるのだが、その残酷さを感じさせない作品だった。処刑する側のことを表現した作品を読んだのは初めてで、最後まで飽きずに読み切った。ラストの斬り収め、の描写は度肝を抜かれた。
    資料引用が多く、読みながら私自身も調べたりして読了まで少々時間を要したが、個人的には色々知ることと考えさせられることが多い作品だった。

  • 間に入る説明文の部分が読みにくく、最初時間がかかったが、後半、どんどん引き込まれる。最後の1ページでさらに驚かされ、結果、めちゃくちゃ余韻の残る一冊でした。さすが直木賞。
    あの時代背景と、山田家の凋落がうまく呼応してるからこその深み。ある程度の時代背景説明は仕方ないのかなともあとになって思った。

  • どこまでが史実でどこからが創作なのか、検索してみたくらいでは細かいところは分からなかった。ドラマティックな部分は興味を引くが、これは著者の願望のようなものでもあるのかなと。
    人が扱う刀にどれほどの威力がありどのように骨が断ち切れるのか、人の首を刎ねるというのがどういうことなのか、私は作り物でしか知らないから想像の域を出ない。でも人体と刃物の克明に書かれた記述を見ると、生命は脆くもあり強くもあると思った。
    死に方にこれまでの生き方が出る。自分でも死ぬときにやっと分かるのかもしれない。死刑囚側の話や時代背景に多くを割かれていたので、時代の転換期に生きた一族の話をもっと読みたかったなと思う。

  • 着眼点は面白いし、幕末~維新にかけての激変日本を、この観点から描かれているのは興味深い。ただ、いかんせんウンチクのために費やされている頁数が多く、古典表記ママの部分も多々あるせいで、個人的にはちょいちょい興を削がれる結果に。そういうのに抵抗がない人には良いのかもしれないけど、正直、結構しんどかったです。何やかや読了までに時間かかったし(多分、本書に取り掛かったのはかれこれ1か月前くらい)。途中から、上記の読みにくい部分は読み飛ばすことにしたら、そこからはスイスイ面白く読めました。最初からそうすれば良かった。でも、いみじくも本人が述べているように、首切り稼業の業を感じさせるラストには震撼。結果、読後満足度は結構高かったのです。

  • 江戸時代の断首処刑人の話。直木賞受賞の名作。今では入手困難な本に。何故、古い名作を絶版にするのか。出版社には再考願いたい。

  • 讀過的幕末小說也不少,但難得可以讀到這麼具獨特性的一本小說!

    山田淺右衛門家,雖然名義上是浪人,但代代身為德川家御佩刀御試御用的試刀家工作,試刀本身具有優渥報酬﹑並且兼任斬首的工作。身為同心的代役,幫同心做掉這個避諱的工作,相對之下獲得可以自由以屍體試刀、可以取人膽作藥方的獨佔權。因此山田家雖然身分低賤,然而財力竟可匹敵一萬石大名。故事從幕末12歲的吉亮試斬開始,經過父親6代吉利的訓練並且具備天生的資質,很快地肩負起這個工作。吉利年輕的後妻素傳牽動著山田家兒子輩的心。父執輩處刑的多半是幕末的志士,大時代轉為天皇親政的明治期,接著萬事萬物都往西洋風開始急進,山田家自動轉任為監獄的斬首處刑專門職員,失去了試刀和人膽的財源;西化政策讓他們一家急速朝向崩壞的境界,父親隱居後,哥哥吉豐和在吉不知如何面對這種漸漸崩壞的將來,分財產之後開始縱情酒色,山田家斬首的重心移轉到吉亮身上。父親老年得女,甚至可能是吉豐的種。政府觀摩西方引進絞刑台、槍擊刑之後,吉亮的工作漸減,處刑對象很多都是暗殺要人的不平浪人,當然他也觀察每個人面對死境的百態。不過後來一家崩壞的結果,父親不得已殺了二哥,吉亮在高橋お伝的淒絕抵抗處刑中崩潰,大哥也來日不多。最後吉亮接了最終的斬首工作,似乎為了蒐集反政府資金的浪人竟然是自己疼愛的弟弟。

    這本書寫的是山田一家邁向崩壞的經過,作者本人的記事方法文學性並不那麼強,然而因為題目的特殊性和題材相當引人好奇,還是令人難以釋卷。這本書的視角開創出前人未及的新境地,因此就主題性個人給予很高的評價。

    作者出生於樺太無法回故鄉,一直忍著這種流離失所的感覺。他說到這本書並不是給嗜血的人讀的,他也不是為了這個目的寫,這本書是給"何かにじっと必死に耐えている人々に読んでいただきたいのである....その耐え忍びのために心の臓からしたたり落ちる一筋の血の色が、この作品の中の血の色どりと重なり合って同じ色であることがわかっていただけたら(下略)"。這一段讀起來真的可以感受作者心在淌血。大環境下失速崩壞的無力感讓人無所適從而走上自暴自棄之路,望向人類工作會被機器取代的未來這種不寒而慄的感覺,對我來說這本書的主題絕非可等閒視之的痛切感。

    解說寫得相當出色,他提到所謂的文明似乎就是把殘酷和直接危害隔絕起來,多半的疾病都有藥可治療,讓我們遠離殘酷、死亡和危害,但是在影像資訊流通的時代,我們的感受,人與人之間的關係,「どんどん間接的になっていくほかはない」。人與人開始間接地交集,感覺也開始也變得抽象、不感症,大規模的屠殺死亡這類的事情,現代的死,跟物體消滅一樣,感受到的變成是一個機械、物理的現象,活著這件事也變成間接的,帶著曖昧的性格。然而解說者指出,書中山田家的人並未因為家 職的抽象道德根據或正義論(以他們的角度非常可以了解這是相對的)而苦惱,反而只是很即物性地煩惱眼前失去家職和社會地位,但解說者認為這正是作者設定的目的,避開現代只有間接、抽象的生活方式下的現代人容易走向反省性的角度,他從極度直接的、直接的生活,直接而單純的存在的角度執筆,這正是這個小說的目的。

  • 首切り役といえば子連れ狼の拝一刀を思い浮かべるが、これはフィクションである。実在したのは山田浅右衛門である。7代に渡り「首切り役」という「賎職」に携わった当主の意識を描いている。知らなかったが明治になっても暫くは斬首刑は執行されていた。そして、最後に執行されるのが‥。
    これは是非読んで確認して欲しい。
    斬首といえばフランスのギロチンが有名だが、こちらはサムソン家が有名だ。何方の処刑人も最後は死刑制度に疑問を感じていた。死刑制度は執行するものがいてこそ存在している。

  • 斬首、切腹という文化についての深い洞察。
    そして、犯罪というのがいかに社会情勢を映し出すものか、ということがよくわかる。

    何かに耐えている人に、と著者があとがきに書いていたが、運命を受け入れ、それを全うしようとする人たちのための書物かもしれない。

  • 江戸時代後期から明治時代にかけて実在した、斬首刑執行人の物語。
    代は代われども、その凄絶な仕事は変わらない。
    が、彼らにも家庭があり悩みも想いもある。喜びも。
    特異な仕事に就く家系にあり、さらに大きな時代の変化に翻弄されながらも矜持を持って生きる姿。
    凄まじい生を垣間見た。

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