それから 門 (文春文庫 な 31-2 現代日本文学館)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167158040

作品紹介・あらすじ

三十を過ぎても定職につかず、漫然と生きる長井代助には、かつて愛した女性を親友に譲った過去があった。彼女と再会した代助を襲う衝動、それは真実の愛か、理に悖る愛か-。近代人とエゴイズムの問題に切り込んだ『それから』。罪を負った代助の"後日の姿"を冷徹に見つめた『門』。永遠の名作二篇を収める。

感想・レビュー・書評

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  • 【始】誰か慌ただしく門前を掛けて行く足音がした時、代助の頭の中には、大きな俎下駄が空から、ぶら下っていた。

    【終】代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した。

  • 読了

  • 恋愛とは難しいもの
    好きな人を好きだと認めるのもまた難しい
    ましてその人が友達の奥さんであれば尚更…
    夏目漱石の恋愛観、また労働観のようなものも垣間見える感じがしてただの恋愛小説とは言えない
    人を好きになるということ、働くということとはを考え込んでしまった
    それにしてもこの時代から既にライスワークとライフワークの話をしている人がいるとは思わなかった

  • 前回読んだのは高校生のころだったか。批判覚悟で言えば、あらすじは以下。
    主人公は親のスネをかじっている30代のニート。親から結婚を口酸っぱく言われるが、学生時代に好意をいだいているも今は友人の妻になっている女性を忘れられずにいる。生活がうまくいっていないその女性から。金に工面を依頼されたのをきっかけに往時の思いが再燃。親が持ってきた良家との縁談をの断って、好きな女性と一緒になることを望む。
    筋を通そうと意を決してその夫に思いを打ち明けるも、友人でもある彼は絶交を告げる。病に臥すその女性との面会も拒絶する。追い打ちをかけるように主人公に待っていたのは親からの勘当。生活のあてがなくなった主人公は「僕はちょっと職業を探してくる」と錯乱状態に陥り街へ飛び出したところで話は終わる。
    個人的には、主人公が身勝手に思えてあまり同情できない…

  • 主人公に苛立ちをおぼえた。

  • 自分自身、10代20代のころに「名作」と呼ばれる本を読んでこなかったことを、後悔しています。
    少しでも取り戻そうと、今さらですが、意識して読むようにしています。
    そこで、近代の日本文学の礎として名前が挙がる夏目漱石。
    学校の課題図書で1冊は読んだ記憶があるのですが、それっきりであることに気づき、代表作として題名が挙がる作品を、読んでみることにました。
    長編小説『それから』、『門』の2作品が、1巻の文庫に納められています。
    『それから』は、裕福な家庭に育った次男が主人公。
    定職につかず、親からの金で気ままに暮らす主人公。
    そこに旧友が妻を伴い、戻ってきます。
    自らの結婚と、旧友夫婦との関係に悩む主人公。
    優柔不断な彼が出した結論は・・・という展開。
    物語としては起伏がゆっくりな印象があり、また主人公には正直、共感はできないなあと、感じました。
    しかし、封建社会から近代社会への転換期に人々がどのように感じて暮らしていたのか、この小説を読んだことによって理解へのきっかけを得られたように思います。
    『門』は、(巻末の解説によると)『それから』の続編的な作品。
    過去を引きずって暮らす、一組の夫婦。
    ひっそりと暮らしていた夫が、社交的な大家と接するうちに、自らの過去と向き合うことになって・・・という展開。
    こちらの作品は、因果応報や人生の苦悩との向き合い方といったようなことを、学ばせてもらいました。
    2作品とも、新聞連載になった作品とのこと。
    100年近く前の文章ということもあるかもしれませんが、「明治の新聞小説は、ずいぶんと哲学的で難しい内容だったのだなあ」と感じました。
    今回読んだ2作品は、晩年に書かれた作品のようなので、前半期に書かれた作品も、読んでみたいと思います。

  • 読むのに苦労したけど、
    同じ歳の主人公が、
    『結婚』について思い悩む姿に
    ちょっと共感

    頭でっかちな主人公を、
    いやだなと思いながらも、
    でも端々にちょっと共感できるところがあった

    続きが気になる

  • 先に読んだ三四郎と合わせてこれで三部作読了。
    得るものはそれぞれにあるけど、個人的には門が一番好き。
    随分昔に書かれた話なのに、どれも現代人の心象を描いているのが不思議。今も昔もエゴイズムとの闘いは変わらずという感じ。

    「それから」のめくるめく混乱を孕んだラストの描写には村上春樹氏の某作が想起された。主人公の今までを考えると三千代との行く末はあまり明るくないような…。
    「門」はつつましく閉じた中で暮らす夫婦二人の生活のじんわりとした暖かみが良い。
    その中で幾度となく思い返され互いを苦しめる罪、逃れようと策を打っても安楽を得られないことに愕然とする主人公。とてもリアリティを感じる一作だった。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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